2026年11月5日木曜日

怪老人日乗:11月4日(水)

きらりーんとヒトデが光っている。腰をまげてそれを拾っているおじいさんがいた。ヒトデがくるくる回って、おじいさんを海に連れ去っていってしまった。おじいさんは悲鳴をあげていた。夜空ががきゃっきゃっきゃと笑っておった。

というわけで今日はメルヘンチックに始まった怪老人日乗なのですが、こんなことを書いていても腰は若干痛いですね。今はロキソニンの湿布を貼っておりますが、この効果が切れたときに何が起きると思う……?ふふふふ……と未来からタイムスリップしてきたミステリアスな美少女役を演じている私なのである。ちなみにミステリアスな美少女の好物はせんべいだ。せんべいを手裏剣のように投げて相手を攻撃する。

ええと昨日の日記。朝ご飯をつくるために5時代に起きる。お米を炊きつつ『メタルダー』第2話を見る。ロボット犬みたいのが出てきた。いっちょまえに人間の言葉をしゃべっている。ハチ公のように立派な犬である。子どもを学校に送り出し、朝ドラ見てすぐに仕事。WEB媒体用の新刊インタビュー、せっせと書き進める。どうしても腰が丸くなりがちで、こういうのもよくないんだろうなあ。ホラーな文庫解説の原稿依頼いただくがスケジュールなどが折り合わずお断り。パワーのいる原稿だったので短期間では書けない。収録やら取材やらが入って11月も結構予定が埋まってしまった。むーん。

お昼ご飯さらりと作って食べ、そのまま原稿書き。夕方までせっせとやって18時頃に完成、メール送信。やっぱり思った時間の3倍はかかる。続いて次のやつ。大阪より奥さま帰宅。お夕飯は外で食べ、お風呂で『まんが道』4巻読む。そういえば先日久永実木彦さんに会った際、久永さんも『まんが道』が大好きだとおっしゃっていた。藤子Aの『まんが道』ってわたしの世代の作品ではないのだが、テレビドラマ版が放映されたり、文庫化などの刊行があったりして、結構同世代で『まんが道』好きな人は多い。夕方から雨。明日は取材×2なので雨だと大変だっぴゃ。だっぴゃだっぴゃといいながら、文庫解説と別冊太陽のゲラをチェックして戻す。

SNSに「宇宙人は生きている」の画像を作って投稿したら、すかさず(10分もしないうちに)京極夏彦さんから「幽霊は死んでいる」と画像つきの返信があって、あいかわず早いなあと感心してしまった。お忙しいのに私のような辺境アカウントまでよくチェックされているものである。もしかしたら怪老人日乗も読んでいるかもしれない。あべらぴゃらぴえらぷらぺらぽぴゃぺー。




2026年11月4日水曜日

怪老人日乗:11月3日(火・祝)

昨日は疲れて早めに休んだので午前2時に目が覚める。もうこのまま起きてしまえと起きてしまった。朝4時にテレビをつけると暴れん坊将軍。若者の知らない世界がそこには広がっている。朝ごはんまで5時間もあるので一仕事できるだろうと思ったのだが、案外そうでもなし。本読んだり、あれこれしていたら朝になる。うまくいかないものね……。

朝食とって大阪帰省する奥さまを最寄り駅まで送る。ついでにKADOKAWAの文学賞授賞式の参加ハガキを投函。今年もパーティの季節である。これがくると一年も終わりなんだよなあ。と感慨に耽る暇もなかった。リビングの床に座っていて立ち上がったら、腰にみゅーんと妙な感じが走る。よくアニメなどでピカッと骨が透けて見える演出があるけど、頭の中はあれである。腰のどくろ(っていう言い方はしないと思うけど)が脳内イメージに広がって、それがみゅーんと折れ曲がっていくのがなんか分かる。

アッ……とちいかわのような心の声が出る。前向きに無視して普通に生活していたが、みゅーんとなったあたりが動かすと明らかに痛い。いわゆるぎっくり腰になってしまったようであった。私は黄金の腰の持ち主で、これまでいくら長時間座っても腰痛とは無縁だったのだ。ぎっくり腰の情報なんかも「それは大変ですねえ」という距離感で接してきたのであるが、いや、これは自分がなると分かる。痛いですわ。へんな姿勢で駅まで荷物を持ったのがよくなかったのかもしれない。人間は目の前の悲劇を否認しようとする生き物なので、つとめて普通に暮らす。でもねえ、痛いんだよねえ。座ったり立ったりがつらい……。

祝日だったが子供はあちこち遊びにいって不在。もともと行くつもりだった日帰り温泉にバイクで向かう。2時間ほど出たり入ったりしつつ本読み。仕事の骨休めに行くつもりだったが、湯治になってしまった。しかし湯であっためて治るようなものではない。夜、子どもを習いごとに送り、夕飯つくって食べ(また焼きそば)お風呂に入って早めに休む。思えばこの春、肩がとっても痛くなったのだった。今はだいぶ良くなったが、しばらくつり革もつかめずに大変だった。そっちが良くなってきたと思ったら、今度は腰かあ。取材やイベントなどに大量の本を持ち込むスタイルも、そろそろ再考したほうがいいかもしれない。

U-NEXT『悪魔くん』1話みる。今日は吸血鬼の回で、なんだか毛深い男が吸血鬼になって人を襲う。吸血鬼が美容クリニックをやっていて、かっこよくなりたいメフィストがそこに行って襲われるという展開が楽しい。最後は配電盤にてビリビリに電撃を浴びた吸血鬼、泡になって溶ける。また溶けた!

早朝、家人が起き出してくるまでに『超人機メタルダー』第1話も見る。本放送を見て以来だからそれこそ40年ぶりとかである。当時はもう小学校も高学年に差しかかっており、そろそろヒーローものでもないかという気分だったのだが、弟が見ていた『メタルダー』だけは異様で、「これはなんか違うぞ」という感じで見ていた。

どこが異様だったかといえば、敵が一体ずつ出てくるのではなく、初回からぞろぞろ大挙して出てくるのだ。その中でもロボット軍団とかモンスター軍団とか4つのグループに分かれていて、今日はお前がいけ、という感じで順番にメタルダーを襲ってくるのである。子ども時代はこれに痺れた。とにかく異形な怪物がぞろぞろ出てくる、そのカーニバル的な変態性にぞくぞくしたのである。後年江戸川乱歩の『孤島の鬼』を読んでぞくぞくしたのと同じタイプの興奮というか。しかも個性的な敵が得意技をもって順番に襲ってくるというのは、明らかに山田風太郎の忍法小説のスタイル。後年好きになるものの原点が、『メタルダー』にはあったのだった。




で本当に久しぶりに見てみたのだが、敵サイドの異常さ、異形さは記憶にあったとおり。それと相対するメタルダーも機械むき出しで(まあキカイダーのオマージュなんだけど)胸なんてぐいいんぐいんとコイルみたいのが回っていて、内蔵っぽいことこの上ない。私はなぜか「脳みそ」とか「内臓」とかが大好きなのだが(みんなもそうだと思います)メタルダーはヒーローなのにつるっとしたスマートさがなく、むしろ脳みそ系内臓系のデザイン。しかもこのあたりはすっかり忘れていたのだが、旧日本軍のロボット工学の権威・古賀博士が死んだ息子に似せて作ったのがメタルダーこと剣流星だったのだなあ。こういう『機神兵団』的ハッタリもたいへんに私好みで、朝宮少年が胸をときめかせたのも当然なのだった。

ところで『メタルダー』、本放送では最終回まで見ていない。そこまで真面目にヒーローものを毎週見るタイプではなかったというのもあるが、なんだか都合がつかなくて見なかったんじゃなかったかな。でも弟が買っていた雑誌『てれびくん』に最終回が詳しく紹介されていて、それによるとパワーが強くなりすぎたメタルダーはこのままだと地球を破壊してしまう、ということになって自爆したんじゃなかったかしら。こういう自棄っぱちな感じも実にいいと思う。せっかくなので今度は最終回まで見てみよう。

2026年11月3日火曜日

怪老人日乗:11月2日(月)

なんということでありましょうか。顔面が……溶けている……というわけで明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。お正月はねえ、お餅をねえ、お風呂にねえ、浮かべてねえ……。

日曜のトークイベントの後、打ち上げで妖怪好きは精神年齢的に幼くて「小学生男子」っぽい、怪談好きはもうちょっと上で思春期っぽい感じ、という話になる。私はどうだろうなあと思ったら小学生にすら到達していない4、5歳のままでずっとやってきている風ではないでしょうか。だからお餅をお風呂に浮かべて喜んだりする。意味がない。おそろしいことである。おばれうおばれう。

ええとですね、月曜日。今週は祝日があるのだなあ。というわけでもうギリギリだと言われていた文庫解説(私が遅れたわけではなくて、締め切りの設定が異常に極限だったのだが)せっせと書き進む。9時半に家を出て歯医者さん。先日来、痛いよーとなっていた奥歯だが、無事神経が抜かれて治療が終わった。あとは上にかっこいいやつをかぶせて次で終わり。

ミステリーゾーン秋津~新秋津間を通って帰宅して、途中山田うどん的なところでお昼を食べる。的なところというのは、山田うどん系列ということです。山田うどんはお野菜をたくさん使っていてえらいけど、諸物価高騰の折、大変ではないだろうか。コーヒー2杯淹れて文庫解説を続け、16時くらいに完成して送信。こちらはずいぶん早く仕上がった。解説2本、イベント出演が土日で続いたのでくたびれた。「チカレタビー」と叫んでベッドに倒れる。ところで疲れた時にチカレタビーって叫ぶのって、私は国語の教科書に載っていた文章で知ったのだけど、元はCMなんですね。今知ったい。

配信で『悪魔くん』1話見る。これまた有名な水妖怪の回。ビジュアルが最悪に気色悪い。思うけど実写悪魔くんって、やたら人間の溶ける回が多くないか?とりあえず何かあったらお化けがぶしゃーっと口から水を吐いて、人間を泡にして溶かせばいいと思っている節があり、私などは「そこがいいんじゃない」と思ってしまう。お風呂で『怪物くん』7巻読む。手持ちの巻を読んでいたら全部欲しくなりヤフオクで買ったのである。ハニワくんの話が入っていたけど、この話別の巻にも入っているよね。しかし昔の作品は「~くん」が多いなあ。

さて11月になったので書籍の仕事をちょっと進めねばならない。今年は1冊本が出たのでいいという気もするけど、あれは去年書いたものが本になったので、来年出そうと思ったら今年から作業を進めていなければならないのだ。出してもらえるうちが花なので、水妖怪のようにぶしゃーっと出したい。

怪老人日乗:11月1日(日)

もう11月じゃないか!というわけで朝起きてご飯食べ、午後のトークイベントの支度。『幽』関係の紙資料で手元に残っていたものをトートバッグに詰める。関連書籍や雑誌もあれこれ。結局私のトークイベントのスタイルというのは、あれこれ本を取り出して見せるという形になるのであるなあ。ROLLY「虹をつかんだお話」を聴きながら支度完了。秋はこの曲をよく聴く。とってもロマンチックでいい。

外出までの2時間で文庫解説書き上げてメール送信。へえ、なんだか妙に時間がかかってしまった。身繕いして11時すぎに家を出て神保町、古本まつりをすこし眺め桝井寿郎『近代怪談集』なる本を発見して、巻末に水木しげるの鼎談が載っているというので欲しかったがやや高くて買わず。今調べたら鼎談部分の抄録は東雅夫編『私は幽霊を見た』に収められていることが判明し(読んでるじゃん!)あわてて買わなくてよかったなあと思ったのでした。困った時の東さん本である。

明大の向かいにできた妙に豪華なエクセルシオールでホットコーヒーを買い、13時くらいに古書会館入り。京極さんは11時くらいに来られていたそうで、ならもっと早く来れば良かったと思った。トークイベントの整理券、早い人は朝の7時半から並んでいたという。すごいなあ。似田貝さん、私より後にやってきた岸本さん交えて、だらりんだりんと雑談していたら出番。14時からトークイベント「怪談専門誌『幽』創刊から22年」。登壇は京極さん、岸本さん、似田貝さん、私の4人。

開始5分前、前説で京極さんがいきなり語り出す。例年ならKADOKAWA岡田さんが前説を務めているそうだが、京極さんが携帯電話は音が鳴らないように、とか言っているのがおかしい。その後私を呼び込んでくれたのはいいけれども「宇宙人は生きているでおなじみの、朝宮運河さん」という紹介でXを見ていない人はまったくもって意味不明であったろう。京極さんから「72年からトークを始める」とうかがっていたので、どういうことかなと思ったら、1972年の『幻想と怪奇』創刊から『怪』『幽』『怪と幽』までの50年のお化け系マガジンの系譜を、ずらーっと語り尽くす一大叙事詩であった。京極さん、メモも見ずにすらすらと講談のように語る。私は横で感心しつつ、合いの手を入れたりなんだり。

1980年代、『帝都物語』が大ヒットした荒俣宏と水木しげるが出会って、境港が妖怪での町おこしを考えて、水木しげるが自力で雑誌を出そうと考えて、その頃並行して雑誌「幻想文学」が生まれて、90年には扶桑社版『新耳袋』が出て、94年には『ダ・ヴィンチ』、京極さんのデビュー、ホラー大賞創設などが重なって……というあたりをあらためて聞くと、ほんとにいろんな偶然の連鎖で今の怪談、妖怪シーンができあがっているということがよく分かる。どこかひとつのピースが欠けるだけでも今の形にならない(そういう形で歴史をふり返っているのもあるけど)ので、面白いもんだなあと思いました。

で怪談之怪結成のあたりで岸本さんが登場し、恐山の売り子のあたりで似田貝さんが登場。まあこのあたりは比較的よく聞いている話である。私が白いタンクトップを着て似田貝さんに挨拶にいった、という話は何度聞いても不可解で、今日もやっぱり解決の糸口は見えなかった。なんなんだ。『幽』創刊前史がほとんどだったけれども、『日本ホラー小説史』と重なる部分がありつつも、私も知らなかった部分(特に境港の町おこしの動きや、水木しげるが『怪』を出そうと思った経緯など妖怪方面)も多くて、なるほどーというポイントの多いトークでありました。

トーク後物販コーナーに降りていって『逃げられない』『こんなはずじゃない』にサインを入れる。持ち込まれた分は完売したようで嬉しいことであった。私のイベントによく来てくださる方々の姿もあって、たいへん心強かったです。何だか授業参観のような気持ちになりましたが。しかし『幽』のTシャツを着て登壇したのに、ほとんど気づかれなかったのではないだろうか。もっとアピールすればよかった。ただの「暑がりで11月でも半袖を着ている人」になってしまった。

片づけして近くの小さなお店にぞろぞろと移動。門賀美央子さんも交えて十数人で打ち上げ。誰が病気したとか亡くなったとか、そういう話も増えてきたお年頃であるが、まあこうして『幽』方面の仕事を続けていられるのはありがたいことである。少し呑んで帰るという門賀さん、郡司さん(元『怪』)、岸本さんと別れて帰宅。文庫解説その2をちょっと書いて寝る。

2026年10月31日土曜日

怪老人日乗:10月31日(土)

昨日は終日原稿書き。お昼を買いに出た以外は、散歩にも行かなかったかなあ。文庫解説を粛々と書き進めていたように思います。本などもあまり読まず。「悪魔くん」のみ1話見る。「呪いの谷」、山彦が出てくる話だが、くるくる回っているだけでよく分からないお化けである。例によって「ひっひっひっひ」という子供が聞いたら絶対怖がる声が入っている。

で今日。朝ごはんを食べて外出の準備をしていたら家の前にワゴン車が二台。何やつじゃ、と思ったら家の修繕に来たリフォーム会社の方々であった。台風の時にシーリングライトから雨水が出てきて、ひええ、どういうこっちゃと思ったのだが、ちょっと屋根と家の間にすきまができていて、そこから吹き込んでいるらしいとのこと。コーキング作業をしてもらうが後日7万円くらい請求がくるらしい。おそろしい。

11時前に家を出て、電車を1時間半乗り継ぎ横浜の上大岡へ。初めて降りる駅である。京極夏彦さん『虚言少年 激闘編』刊行記念トークショー。私は司会進行・聞き手という役目で登壇である。会場まで来てくださいというので京急百貨店の10階まで上がっていくと、すでに入場待ちのお客さんが10人ほど並んでいる。こそこそと会場入り。今日の主宰である八重洲ブックセンター上大岡店さんの方々とご挨拶、名刺交換をする。そのうちに京極さんもこられてマイクチェックなどした後、バックヤードの控え室へ。集英社の方に用意していただいたおべんと食べる。横浜らしく崎陽軒であった。




14時からイベントスタート。集英社の作品はギャグ系が多いけれども、というあたりから初めて、『虚言少年』のモデル問題、新作が『激闘編』になった理由、嘘と虚言の違いなどについてうかがう。京極さんは当時はいていた下駄(二代目)、ラジカセ(二代目)、フリスビー(二代目)を持参されたうえ、作中で紹介されている変態水浴び倶楽部の歌まで聴かせてくれて、非常に濃い内容でありました。今日のお客さんは40人で配信なし、入れた人はラッキーだなあと思う。質疑応答含めてだいたい1時間半。最後は京極さんが「6階の八重洲ブックセンターでたくさん本を買いましょう」という話でしめて無事終了。わたしはなぜか子供の頃、親に怒られて鶏小屋に閉じ込められたという話をしてしまった。何だったんだ。しかし京極さんはいつでもワニ絵の話をしてくれるね。ありがたし。

控え室に戻ってきてゆるゆると散会。少しく疲れたので横浜駅近くのドトールを見つけてしばし休息。崎陽軒のお弁当を夕飯に買って帰る。池袋あたりで食べて帰るつもりだったが、考えてみれば今夜はハロウィンだし、へろへろに疲れているので外食する気もなかったのだ。崎陽軒2連続になるけど、まあ好きだからいいや(お昼はチャーハン弁当で、夜はシウマイ弁当)。

週末の間にやろうと思っていた文庫解説、某社担当さんよりメールが入り、「全然サバを読まないスケジュールをお知らせしてしまって、実はもう校了間近です」との恐怖新聞。サバを読まないどころか相当無理のある進行ではないでしょうか。原稿土日にほしいというので、この数日書いているもう1つを大急ぎで完成させて、今夜からでもかからねばならない。むーん。明日は朝から外出して神田古本まつりのトークイベント、その後会食という流れだし、今夜でどれだけできるかなあという感じです。月曜は午前中に歯医者だし。帰省していた頃ののんびりスケジュールが嘘のように、なんだか忙しない週末だあ。今日はいつになく日記らしい日記を書いてしまったあ。ぼかあおにぎりが好きなんだなあああああああああ。

2026年10月30日金曜日

怪老人日乗:10月30日(金)

なんというか、こう原稿をやっている。原稿Xと原稿Yと原稿Zを提出した、たくさん働いて本を読んで映画を観てパーティに行きまくった!みたいな充実した日記を書けたらいいのだが、そんなことはないのだった。いたって地味である。地味井平造である。

というわけで昨日も粛々と文庫解説書きの続き。うーん、時間かかるなー。たかだか10枚、ぴゃぴゃっと書けばいいのである。細かい「てにをは」であるとか「だが」か「とはいえ」かの違いなんて、気にしているのは書いている当人くらいのもので、文章が多少意味不明であっても人間はそのなかから文脈を見出してしまうものなのだ。ということはヴォルフガング・イーザーが『行為としての読書』で述べていることであるが、何よりこの怪老人日乗がですね、いつもでたらめに考えなしに書いているのになんとなく読めてしまうというのがですね、ああこりゃこりゃ、ひとつの証拠だよと。

と思うのだが、仕事となるとなかなかぺろっと書けないのである。ささやかな見栄であろう。見栄平造であろう。誰なんだ、見栄平造。ちなみに地味井平造は実在する。検索してごらんなさい。あなたの後ろに平造が……。

明日はイベントなので今日のうちに文庫解説を書き上げたいことである。ネットもあまり見ていないしメールもDMもチェックできていないので、いろいろ不義理をしていそうな気もする。ヴォルフガング・イーザーもびっくりの不義理である。イーザーは困っても「イーサー、イーサー」と許してくれそうだが、そもそも誰なんだ、ヴォルフガング・イーザー。出てこい。洞窟から出てこい。

洞窟で思い出したが(例によって話がめちゃめちゃに飛ぶ。このブログは本当に時速60キロくらいのスピードが出ている)さっき工事現場で警備をしている人がですね、大切そうにバナナを一房、胸に抱えて歩いていた。昼飯かなあ。ペットかなあ。ペットだったら面白いなあ。バナナを飼う男。バナナの餌は何だろうか。

あべらぴゃらぴえらぷらぺらぽぴゃぺー。





2026年10月29日木曜日

怪老人日乗:10月29日(木)

風邪からほぼ復活。昨日はあたたかい布団を出してもらって、それにくるまって寝ていた。今日はすっかり冬空であり、なんなら雪だるまが往来を転がっていてもおかしくないような天気なのだ。まだ10月なのだがなあ。

というわけで解説書きの続き。やっと目鼻がついて文章が動き出す。この目鼻がつくまでが大変で、そこまでくちゃくちゃの福笑いのような作業がしばらく続くのだが、この期間がしんどい。いつまで続くのか分からないからだ。体力も戻ったし今日でなんとかなりそう。しかしインフルでなくてよかった。土日にトークイベントが続くから、倒れるならその先にしたいところであるし、何なら倒れたくない。

久々に東雅夫さんのブログをチェックしたついでに、大昔の「東雅夫HORROR WEB」の日記を2か月分ほど読み返す(消えたと思っていたがWikipediaから飛ぶことができた)。2000年の12月と11月である。この後東さんのブログはBK-1内に移動して、そこからまた別のブログサービスに移り、ツイッター時代を経て、現在のブログになっているという流れだと思うのだが、私が一番熱心に読んでいたのはこの「HORROR WEB」時代かもしれない。当時は世紀末のホラーブームであり、読んでいるといろいろ懐かしい(中島晶也氏と笹川吉晴氏が『屍鬼』の評価をめぐって論戦していたりする)。今65歳くらいの方々が当時は40歳前後だったので、そりゃ若いし元気あるよなあ。しかし当時の東さんはめちゃめちゃお忙しそうである。今の私の3倍は働いている。

2026年10月28日水曜日

怪老人日乗:10月28日(水)

まだ風邪気味で日中は葛根湯を飲んで寝ていた。しかし高い熱があるわけでもないので、朝夕の寒さで風邪を引いただけだろう。おかげで原稿が遅れており今(21時)に仕事をせっせと進めているわけですが、この間Xに出てきていないのは、集中モードで携帯の電源を落としているからだ。あとはPCは「サイトブロック」というブラウザの追加機能を使って、一日でXが見られる時間を制限している。ついつい見ちゃうから30分まで。告知などがたまっていくけど、まあ仕方あんめえ。

甘いものがいっぱい食べたいけれども、いい大人がそういうことをすると病気になる。かなしいことだ。「オナカの大きな王子さま」というNHKみんなの歌があって、作詞作曲は小椋佳。幼稚園の頃に聞いたこの歌がとても好きであった。美味しいものが目の前にいっぱい並んでいるのに、食べられないという切なさを歌ったもので、こういう気持ちになることってあるよねえと思う。松谷みよ子の童話『子ぎつねコン』でもこぎつねのコンが前日にたくさん食べ過ぎて腹痛となり、あーんあーんと切なく泣いているという話があった。主人公らは気の毒に思って学校につれていき、コッペパンを食べさせてやるのである。松谷みよ子の童話はいいな。




2026年10月27日火曜日

怪老人日乗:10月27日(火)

くわっくわっくわ。火曜日です。今日もお昼たべながら『悪魔くん』1話見る。有名なペロリゴンの回だが、いやーこれはいい。ペロリゴン、見た目はワニに似ているのだが長い舌をべろんべろん伸ばしてよだれを垂らしまくり、しかもそのよだれでトラックでも人でも溶解させてしまうという困ったやつだ。池のほとりのお地蔵さまを壊したら巨大怪獣が出てくるという理屈もよく分からないし、最後は自分の胃液で体が溶けそうになって逃げていく。実に愉快な回でした。牧野修さんがペロリゴンは鳴き声が怖い、と常々主張されているが、実際人間が呻いているようでちょっと不気味だった。




寒かったせいか風邪気味。喉がちょっと痛い。しかし今週は出かける用事がないので、風邪でもどんとこいである。いやーほんとに、ほんとに月刊誌の仕事がなくなったら体が楽だ。わたしは小さい頃、外に出るのが苦手で、おうし座の星占い(ドラえもんの星占い百科的な本)で「おうし座は家で本を読んだり、レコードを聴いたりするのが好き」と書いてあるのを読んで、自分の性格を肯定されてほっとしたくらいなのだが、それは大人になった今でも変わらず、美術館とか映画館とか人とご飯に行くとか、そういう楽しいお出かけはしたいのであるが、それでも一人でいるのが好きは好きなのである。今は家にいくらでもいてもいいから、ずいぶん気が楽になった。

話を戻すと、風邪気味なのでベッドに寝っ転がって本読み続き。さらに解説の原稿を書き進める。やはり1案で書いてみたらもったいぶっていて面白くなかったので、それを破棄し、メモ取りを進めながら腹案を練る。これでいけるかなという方向性を思いついたのは、コーヒーを3杯飲んでからであった。コーヒー豆が高騰しており、最近は代用コーヒーのようなものも出回り始めているが、喫煙習慣をなくした今となっては、コーヒーだけが思索の頼みの綱なのである。

ところでまったく話は変わるのだが、最近『怪物くん』のコミックスを読み返している。子供の頃に持っていたものだから、それこそ4歳とか5歳から読んでいる古い本だ。読み返してみるとあらためて発見があり、というのは私の怪奇趣味のルーツはここだったんだなあ、ということである。当時は普通に「面白いまんが」というイメージで読んでいたのだが、ここにはドラキュラ、狼男、フランケンシュタインというユニバーサル映画の3大モンスターをはじめ、ミイラ、アマゾンの半魚人、アマゾンの干首男、インドの蛇使い、ブードゥー教のゾンビ、アラビアの魔術団など怪奇なネタがいっぱい入っているのだ。「コワイ山の大冒険」という珍しく日本妖怪が総登場する中編エピソードもあって、このあたりに楽しさを覚えたところから、わたしのホラー遍歴は始まっているのだと言えなくもない。

それともうひとつ、帰省時に姉と話していて思い出したことだが、怪談好きの祖母がよく話してくれた怪談にポーの「黒猫」があったというのはあちこちで語っていることだけれども、祖母は他にもペローの「青ひげ」もよく話して聞かせてくれたのだった。もちろん「お菊」「お岩」「耳なし芳一」などの古典怪談もあって、そのへんが怪談の原体験なのは間違いないだろう。祖母は人付き合いの苦手な人で、いつもモジモジして内気であったが、子供にはめっぽう優しくて怪談話になると特に生き生きしはじめるのであった。

2026年10月26日月曜日

怪老人日乗:10月26日(月)

もう月曜日かあ。今週も5日間働きましょう。締め切りがたくさんある。そして土日はトークイベント、2日連続で。どっちも京極夏彦さんと共演。土曜は上大岡の八重洲ブックセンターで京極さんの新刊イベントのお相手、日曜は神保町の古本まつりで『幽』の時代を語るトークイベントに参加。前者はあっという間にチケットが売り切れてしまったが、後者は当日の先着順で入れるので気になる方は早めに並んでみてください。といっても京極ファンが例年どのくらい気合いを入れて早い時間から並ぶのか分からないけれど。

この週末はぼやぼやと家で仕事をしていた。ぼやぼやと、というのはこれといった成果が上がらなかったからで、ゲラを読んだり解説用の関連本を読んだり時評のための新刊を消化したりという、料理でいうと下ごしらえにあたる部分の作業なので、時間はかかるがパキッと進んだ感じがしない。しかしここをすっ飛ばしていきなり原稿を書けるほど頭が良くないのである。多分すごく頭のいい人は昔読んだものでもなんでもきちんと頭の中に折りたたまれて入っているので、あらためて読み返すことなしでもさらりさらりと梅酒のように原稿が書けるのであろうが、わたしは頭があまりよくないので、うーんうーんと呻吟しないと書けないのである。カエルである。

昨日はあまり雨降らず。昼から外出、東村山のお祭りを覗きにいく。ご近所さん一家と現地で待ち合わせていっしょに子供を遊ばせ、大人は特売のソースをたくさん買った。地元のソース工場で開かれているお祭りなのだ。このソース工場、広い敷地の中に戦時中の防空壕がいまだに残されていて、ちょっと降りて覗いてみた。いやあ、狭い、暗い。こんなところで空襲が終わるのを待つのは辛すぎるな。雨がぽつぽつ降ってきたので午後3時頃には散会。

帰宅してまた仕事。お夕飯たべながら日本シリーズ見る。さすがに日本一になろうというチームは立派なもので、いつも見ている西武とか日本ハムに比べると明らかに選手層が厚い。これでもう終わりだろう、という場面で点が入って局面がひっくり返るから、目が離せない。どっちも同じくらい強いのだ。

ご近所さんに借りた『さすらいくん』読む。藤子不二雄Aが週刊誌に連載していた時事ネタ多めのユーモア旅マンガである。だいぶ昭和な笑いであり、そもそも笑えるのかという問題もあるのだが、藤子不二雄Aが好きになると面白いとか面白くないを通り越して、「ありがたいありがたい……」と拝むような気持ちになってくるので、ワンパターン続きのこれも私には全然アリなのだった。超面白かった。

また絵を描きたいという気持ちがあり、近くラインスタンプ第2弾を出したいと思っている。あとは色を塗ったアナログ絵を描きたい。画材屋に行ってみよう。絵はまったく上手くならないから楽しい。何事も上手くなろうと思わなければ楽しいものである。人を苦しめるのは上昇志向であり、よりよくなろうという煩悩である。