2025年12月7日日曜日

怪老人日乗:12月7日(日)

あーああー。とターザン風に登場してみたがターザンというのはどうして骨しかないのだろう。肉はどこにいったのだろう。おそろしい森じゃ。人の肉を溶かしてしまうのだ。というわけでですね、Spotifyを聴いていますが無料プランなので広告がぴゅんぴゅん入りますね、でもこのたまに広告が入るのがですね、なんか音楽に集中するのを防いでくれるというか、はっと現世に気持ちが戻ってくるので、仕事をするうえではいいのではないかと思います。しかし音楽サブスクというのは本当に罪深くて、「アルバム欲しいなあ」と思っても、買いに行く前に聴けちゃいますからね。それはいいことなのか、悪いことなのか。一応お金は支払われているというけど微々たるものだというし、悩ましいです。

と怖ろしいことを考えながら仕事をする。午前中はすこし部屋の片づけ。部屋がごちゃごちゃしているとそこに脳のパワーを吸い取られて、ミキサーのように身体が回転してしまうので、たまった本などを書庫に戻したり、各出版社から届いた「マイナンバーカードをコピーして送れ」という本当なのか詐欺なのか分からない手紙に返事を書いたりしていました。こういう手紙が各社から届きますが、出版社が委託しているデータセンターみたいなところから届くので、「ほんまかいな」と思いながらいつも送っています。

コーヒーを午前中に2杯のみ、そういう作業をしていたらお昼。午後はベストホラー2025の準備に着手、各社から出たホラー系の新刊をざっとチェックする。数が多くてまだ道半ば。明日にでも続きをやろう。今年は国内だったら産業編集センター、海外だったら河出書房新社がホラーに力を入れた版元であります(もちろんKADOKAWAもそうだけど、あそこは毎年なので別枠)。ともに表彰状を送りたい。ぱんぱららーん。おめでとうございます。宇宙人の干物を進呈したい。

もうじきクリスマスである。河童がね……こう背中のあたりから……じんわりと……迫ってくる季節だよおお……。


2025年12月6日土曜日

怪老人日乗:12月6日(土)

どどーんと土曜がやってきた。あんたの家、今頃なめくじに襲われているぜ……。そんなわけでですね、今日も元気にくるっと顔の皮を剥いでいきたいと思う。するとどくろが見える。どくろだけは見せてはいけない。親にも、孫にも、恋人にも、どくろだけは……。

というわけでですね、日記っぽいことを書いてみたい。ところで誰か怪老人日乗をまとめて本にしてくれないだろうか。ダ・ヴィンチで連載でもいいよ。もっと世の中の人がこれを読んで、変な気持ちになればいいと思う。変な気持ちになったら、車の運転をしていても、ハンドルがぐらぐら揺れて、飛び出してきた鹿に喰われると思う。おっかないねえ。

そういうわけで日記を書きますが、ええと昨日はですね、その前だ、一昨日はですね、お招きあって映画の試写『この本を盗む者は』をKADOKAWAで見せてもらう。そのまま仕事して帰るつもりだったがパソコンなど一式持つのを忘れて、とんぼ帰り。電車賃をかけて何しにきたんじゃ。帰宅して原稿書きなど。夜は寒いからおでんだった。好書好日の原稿書いて、仕上げておくる。ホラー時評を書くのはかなり久しぶりで3000文字くらいになってしまった。取り上げた本も4~5冊といつもより多い。この夏出ているホラー、全然紹介できていないのである。そもそもホラー時評を定期的に書いているのは私の他、東雅夫氏、笹川吉晴氏だけで、もうちょっとホラーの時評が増えてもいいのにね。これだけ作品が出ているんだから、定期的な書評・時評コーナーがいろんな雑誌にできてもよいと思う。

それで金曜日。夜中から原稿書き。対談記事仕上げて送る。そこから仕事でまた飯田橋のKADOKAWAへ。某月刊誌の作業をする。終わったら昼過ぎ。お昼は外で食べようと思ったけど、朝の2時から働いているので疲れてきて帰宅。お蕎麦をゆでてて食べる。もう1本原稿書きがあったのだが、徹夜に近くてへろへろ。ちょっと仮眠ぐセンチュリー。最近またオーディブルに入ったので横溝正史聴きながら寝る。頭ぼんやりしつつも活動再開、そうこうしてたらお夕飯の時間。おでん続き、焼き鳥買ってきてプラスする。おでんっていろいろなものを食べる割に、肉っけがないですよね。ちなみに好きなおでんの具はじゃがいもである。くたびれで原稿途中なれど寝てしまった。なんというか書き下ろしが終わって、ふっつり緊張の糸が切れた感じである。

で今日。寒いですね。夏にも書いたけど、私は暑い寒いという話題を書くのが好きではないのである。けど今日は寒いですねえと言ってしまうぞ。朝から小学校へ行き、児童が作った美術作品を鑑賞する。ひとり「富士山の根元に星が埋まっていて、それで富士山は火山になったのだ」という絵物語を書いている子がいて、すげえ伝奇的な発想だと思いました。ガムテープがなかったのでホームセンターで買って帰宅。ホームセンターとかドラッグストアにいくと、いろんなものが売っていて、それがどれも自分と若干は関係しているから楽しい。デパートなどよりも身近なワクワク感である。デパートに行ってもそこに売っている洋服を一時に何枚も買うわけにはいかないので、どうしても厳選する、試着する、みたいなワンクッションがあるわけだが、ホームセンターのすごそうな洗剤とかなんだか分からないネジとかペンキとかは、そういうのがなくてさらっと買えるからいいよね。帰宅して仕事。電気ひざかけを出してきた。

悪魔の……毒々……おばあちゃん……。




2025年12月3日水曜日

怪老人日乗:12月3日(水)

ショーミーショーミー、というわけで岩の隙間からお経が聞こえてくるような夜だぜ。まだ朝だけど。昨日はねえ、まあ某月刊誌の入稿日でその作業。終わったら深夜近く。その後は書評書きをする。合間に本読み。なんというかまあ、平常運転である。そうこうしていたら師走も本式的に始動し、じりじりと年の瀬という崖が見えてきた。その向こうにはあれがある、アマゾン川が。

最近の出来事といえば、ファイヤーキングのマグカップを買った。私はコーヒーを日常的に飲む人間で、一番飲む水分が間違いなくコーヒーなので、マグカップは結構好きなんですね。いくつもほしい。アメリカ製のファイヤーキングは以前も使っていたのだが(これは復刻版だと思う)使いまくっているうちに割れてしまったので、新しいのを欲しいとずっと思っていた。なかなか選びに行く時間がなかったのだが、先日やっと時間ができたので高円寺のお店にさっと行ってきたのです。あれこれ迷ったけど結局1950年代ヴィンテージのやつを思い切って買う。『日本ホラー小説史』をがんばって書き終えたから、思い出の記念品として。気に入って使っております。割らないようにしないとなあ。

そういえば最近、テレビをつけるとしょっちゅう幽霊の番組をやっていますね。朝から晩まで。あれは何なんでしょうか。今日も「車の窓硝子に心霊の子孫が」という番組を8時間くらいやっていました。その次には「取り調べ室に現れた血まみれの心霊のレントゲン写真が」という番組を4時間やっていました。他のチャンネルをつけると「おどる心霊」「わらう人形」「逆立ちする内臓」という番組をエンドレスでやっていました。こわいですねー。昨日のお夕飯はチリコンカンで旨かった……。


2025年12月1日月曜日

怪老人日乗:12月1日(月)

これが恐怖の味噌汁じゃ、ひっひっひ。というわけで師走でございます。サザエでござえません。ござえませんってなんだ、斬新な敬語だな。東野敬語。どうもこうもない。

というわけでですね、今日から心を入れ替えまして、河童になろうかと思います。これまでは人だったんですけど、しかるべきタイミングで人をやめまして、河童になればいいんじゃない。ウーバーイーツで棺桶を運んでもいいんじゃない。マカロニウエスタンみたいで。

もうおれの日記は中身がないことで有名だ。いや、全然有名じゃない。アクセス数は依然少数だ。この日記を読んでるあなたはすでに中毒だと思ったほうがいい。血の中にめちゃらくちゃらな文章を欲する何かが発生している。それは目黒寄生虫館に行かないと治らない。行っても治らないけどね。

ええとですね、日記だ日記。そうそう、菊地秀行さんがブログを書いているのを知っていますか。これが結構頻繁に更新されていて、あの世代のビッグネームの日常が覗けるのは貴重だ。昔はいろんな作家さんがブログをしてて楽しかったなー。SNSもいいんだけど、やはりこれからはブログですよ。ところで「これからはブログで稼ぐ」みたいな威勢のいいことを言っていたインフルエンサー(という言葉は当時まだなかったと思うけど)みたいな人が2000年代にいたけれども、あのへんは全員ワニに喰われて死んだのだろうなあ。南無阿弥陀仏。今はあれですか、AIで稼ぐですか。そのへんもみんなワニに喰われるだろなあ。くだらないなあ。トウモロコシのようにみんなサウナで茹だればいいと思う。

ええとですね、それで朝起きましてゲラ返しそこねた一部をせっせと校正。スキャンして終わったらお昼過ぎ。疲れたのであるが、まだ今日は始まったばかり。お昼ご飯、うどんをゆでて食べ、合間に録画してあった『100分で名著 ドラキュラ』を少し見る。4回すべて録画してあるのだがまるで見る暇がなかった。やっとご飯食べつつテレビ見るような余裕ができて、15分だけ見た。小川公代先生がシェリダン・レ・ファニュにも言及しつつ、アイルランドの歴史と吸血鬼を絡めて説明しておられる。ちなみに100分で名著のスタッフの方はホラー好きで、私のイベントにもよく来てくださるのだ。いつもお世話になっている。そのうち『100分でワニ』も放映してくださることだろう。

お昼後、コーヒー豆がなくなったので自転車を走らせて大きなスーパーへ。ここで売っているブラジルだか産の豆は安いが結構美味しいことを発見し、がぶがぶ飲む時はここで買っているのです。それにしても豆も高くなった。これまた2000年代くらいにコーヒーブームがあり、ロースタリーがいっぱいできたし、雑誌もたくさん出て、自家焙煎とかそういうのをする趣味人みたいな人も続々現れたけど、ああいうお店はまだ大丈夫なのだろうか。豆がこんなに値上がっては大変だろうなあと思う。コーヒーというのは贅沢品だから、全体に物価が上がってしまうとなかなかそっちまでがんばれない、先に米とか野菜を買うよ、という人も多いのではないか。それを言ったら書籍も同じですけども。

飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』を読むと、それでもまだ本の値段は安い、というか書店が今の利益率のまま続けていこうと思ったら、もっと本が高くないときつい、ということらしいのだが、しかし売値が上がると今度は読者離れを引き起こすので難しいところでしょうね。もう今の時点で外国文学なんて宝飾品のような扱いである。つるつる気軽には読めないよ。沐浴して正座して、内臓をひととおりなで回してから読む感じだよ。


2025年11月30日日曜日

怪老人日乗:11月30日(日)

ゴロニャーン!(頭蓋骨が外れる音)というわけで今日も30日がやってきた。あれ、この言い方は何か変だぞ。今日も、30日が、やって、きた。これでいいか。よくないか。句読点でごまかしただけだ。それもいいでしょう、いいでしょう。茶でも飲んで、骨でも溶かしていきなっせえ。

一昨日の日記で「焚き火でもするか」みたいなことを書いて、ふざけているのだなと思われたかもしれないが、昨日はほんとに焚き火をしていた。焚き火セットみたいのが家にあるのである。それをもって川原へ行き、一人でぼーぼーと薪を燃やしてきた。燃えるとあれである、煙と匂いが出る。気分はお正月の「どんど焼き」だ。いきなり新年感である。各地の神社にいる誰もしらない爺の顔が浮かぶ。お札が燃える。

上級者になったらマシュマロなどを焼きたいですが、まだそこまでの技倆はないので、火を見ながら菓子パンを食べていました。それでも楽しかったですが。しばらく本を読んで帰る。ゲラをやろうとも思ったけど、机もないしWi-Fiもないしできる状況ではなかった。まあいいです、本が少し読めたから。

で昨日は丸一日かけて単著のゲラ確認作業。夜は赤軍派のドキュメンタリーを見る。こういうテレビを見たりするのも春先からまったくできてなかったので、なんだかえらく久しぶりな感じだ。ゲラは4章の終わりまでやったところで寝て、今朝早くに起きて続き。宅急便で平凡社に戻す。

昼から麻布十番に出て荒俣宏氏と慶応愛書家倶楽部主催の「紀田順一郎先生を偲ぶ会」に参加する。紀田氏との出会いについてはあちこちで書いている気もするが、京都の丸善で買った『現代怪奇小説集』(中島河太郎氏との共編)が最初である。立風書房の3000円くらいする本で、当時の私にはなかなか高価だったのだが、えいやっと買ったらこれが人生を変える一冊となった。でそこから日本ホラー小説の深みにはまり、巻末の「日本怪奇小説の流れ」に大きな刺激を受けて、25年以上経って『日本ホラー小説史』をまとめることになるのだから、我ながらしつこいというか、まあそれだけ『現代怪奇小説集』の影響が大きかったということだろう。

ホラー好きにはそれぞれ特別な一冊があり、人によっては『怪奇小説傑作集』であったり『暗黒のメルヘン』だったりするけれども、それが私には『現代怪奇小説集』だったということだ。私がやっているアンソロジー仕事も評論仕事も、すべてこの本の延長線上にあるとずっと思っている。ただ生前の紀田氏には一度もお目にかかる機会がなく(『幽』の海外特集の際などにチャンスはあったのだが)、『日本ホラー小説史』執筆中に訃報に触れて、たいへんショックを受けたのだった。直接教えを受けたわけでもない私が行ってもいいのかなあ、と遠慮する気持ちもあったけれどもお誘いいただいたので参加。会場にはお知り合いのお姿もあちこちに。

紀田氏ゆかりの方々のスピーチを拝聴し、荒俣氏は紀田氏小学6年の時の作文(これがなんと昭和24年に出た本に収録されているのだそう)を朗読されていた。意外だったのがジャストシステム創業者の方のスピーチで、紀田氏が一太郎に関わったということはなんとなく知っていたけれども、ここまでコンピュータでの日本語入力のために尽力されていたとは初めて知りました。私はATOKユーザーなので、普段こうしてパソコンで文章を打っている時点で、日々紀田氏の恩恵を受けていることになる。「パソコンやタブレットを使うたびに、紀田先生のことを思い出してください」と創業者の方はスピーチされていて、とても感動的であった。あとは東京創元社戸川安宣氏、北原尚彦氏など。


(会場には紀田氏の著作や記事が並べられていた。色紙には「偶然と暗合」)


その後、同じビル内での懇親会でいろんな方とお話。主に怪奇幻想方面の方々とお話ししたが、それ以外の分野のゲストも多数来られていて、紀田氏の幅広いお仕事に触れられるいい会であった。荒俣氏の紀田氏への愛情と尊敬がこもった空間で、なんだかしみじみしてしまった。主催・運営の皆さまに感謝いたします。会の終わりに荒俣宏氏にご挨拶にいき、『日本ホラー小説史』についてのご報告とお礼をお伝え。紀田氏には直接お伝えすることがなかったので、献花しつつ心の中でお礼を。『日本ホラー小説史』は紀田氏に捧げる一冊となりました。

帰宅して18時。お夕飯食べてお風呂で本読み。ホラーを読むのであった。そっからブログを書いてさあ、頭蓋骨を折ってさあ、重箱に詰めてさあ、仕事するのさあ。ひっひっひっひっひ。


(会の帰りにお花をいただいた)

2025年11月28日金曜日

怪老人日乗:11月28日(金)

指一本で逆立ちができるかい?と先生に言われた彼は、そのまま饅頭を呑みこんで、火山に消えたという。そんなわけでして今日はもう金曜日、ええと3連休はいいんですけどね、いいんでうすけどその分ウィークデーが少ないですね。少ないとその分、原稿を出せる日が減るわけで、いいのかな、駄目かなあという気もします。

まあやれるペースでやるしかない。疲れがまだ身体に残っていて、仕事のペースはがた落ちである。ちょっと締め切りを過ぎてしまった書評を今朝方送り、即時さらにもうひとつ。時評もあるなあ。うーん。うーん。

ところで1月に本が出るのですが、その関連で少しずつプロモーションごとが入ってきております。また人前に出る機会が増えそうですが、よろしくお願いいたします。もう来年の予定がなあ、ちらほらとなあ、埋まっているんじゃなあ。

そんな中、明日は焚き火をしようと思う。一人で。あんたの家の前で。ぼーぼー。



2025年11月25日火曜日

怪老人日乗:11月25日(火)

お星様はどうしてクルクルピカピカしているの?それはね、脳みそを素手で触っているからだよ。というわけで今日も火曜日がやってまいりました。あなたの友、お口の友、内臓の親友こと宇宙人であります。ええとですね、今日も銭湯の湯がうまい。

そういうわけであなた、今日も火曜日の11時ですよ、昨日はあれでした。ボクシングの試合。じゃないや、酉の市。酉の市って関東、というか東京の風習ですよねえ、きっと。うちはいつも練馬の大鳥神社に行くんですが、昨日が二の酉でしたので行ってまいりまして、熊手をいただいてきましたよ。熊手というのは年々大きくしていき商売繁盛を願うという縁起物でして、うちも去年より大きなのをいただいて、お店の人とと周りの方々に手締めで送り出してもらって、来年もがんばるぞという気持ちになったのですが、しかし毎年大きくしていくといつかは家より大きくなって、最後は熊手に住むことになるわけで、そういえばあのへん妙に熊手っぽい家が並んでいるなあという一画がありますが、あれは熊手だったんですね。

世の中にはエッセイがうまい人というのがいて、あれは絵が上手いというのと似ていると思うんですよね。物事の輪郭をさっと掴んで、それを線にして出力する感じというのが。私のこの日記はですね、そう考えるとやっぱり自分の描く絵に似ていて、輪郭も何もめちゃらくちゃらですね。万事めちゃらくちゃらが好きだからいいといえばいいのですが。いずれにせよ世の中に対する解像度が粗いので、絵でも文章でもこういう感じにならざるをえない。むしろ私のようなぼんやりした人間がよく文章書きの仕事についているなあと思って、驚愕することもしばしばであります。くぇくぇくぇ。お待たせしました。脳みその味噌汁でございます。

それとですね、今週は仕事がええと3つかなあ、そのくらいの締め切り量でして。それが一般的だよなあと思う今日この頃なのであった。いやはや、春からこの11月後半まで、ずっと忙しかったぞ。思い出し白髪になりそうだもの。思い出し白髪というのは、ああ、大変だったなあと思い出すことで、ひやりとして寿命が縮んで、毛髪が白髪になるという超常現象です。あ、そういえば最近パーマを久しぶりにかけました。昔はよくかけてたんですけどね。20代の頃は。そのうち「長髪の時代でもないか」となって短髪になっていたのですが、最近また「長髪の時代でもあるか」という気持ちになってきて、パーマをかけました。この先はしばらくパーマでいく予定です。


2025年11月17日月曜日

怪老人日乗:11月17(月)

忘年会の申し込みをした今日なのだった。もう年末である。およよのよ。何というか年末は毎年忙しくて、新年に虚脱して風邪を引くんだよね。今年はそうならないように、そろりそろりと、薄氷の上でおひょひょ踊りを踊りたいと思う。おひょひょ踊りというのは南米で始まった武道の一種で、おひょひょと歌いながら相手の背骨を抜き取るというものだ。

そんなわけで、ええとですね、昨日やっと書き下ろしの作業が終わった。いやあ、大変だった。体がぎゅっと小さくなるくらい大変だった。原稿書きの仕事はずっと続けてきたから、文章を書くこと自体はまったく苦ではない、はずなのだが、書き下ろしはまた違った大変さがあるなあと思った次第。しかし250ページくらいのものを書き終えられたので、ひとつ自信がついたというか、こんな感じの苦労をすれば1冊書き上がるんだなという経験ができたのはよかったです。

発売は当初年内を予定していたが、私の遅筆のいたすところで1月発売になりました。戦後80年にぶつけるつもりでしたが、戦後81年にぶつけることになったわけです。まあいいんじゃないでしょうか。そういう整っていない感じも、自分のいいところであると思います。

で昨日はさすがに疲れて寝たんですよ。この一週間は最後の追い込みで、まともに寝ていなかったのですね。あえてリビングの床で寝てみたり。それで体が全体にぐたっと虚脱しまして、やっぱり気を張っていたんでしょうねえ。録画していた「笑点」を見て、魂が抜けたようになって深く寝てしまいました。

といっても今朝は5時半に起きまして、放置していた仕事をやりに飯田橋の某社編集部まで。誰も出勤していない出版社でゲラの作業をする。しかし電車は満員で、みんなこんな時間から働いているのか東京よ、と思いました。6時代ならまだ空いてるかなと思ったけど、全然そんなことはなかったわね。スタバで久しぶりにコーヒーを買って飲んだけど、マシンが変わっていて、いまひとつになっていたので(ドリップからマシンで瞬時に落とす形になっていて、あの手のマシンの味は濃さが足りなくて好きじゃないんだよなあ。コンビニでいうとローソンの形式)いまいち目が覚めず。うーんむ。

仕事10時までやって一段落。これから帰宅して急ぎの原稿、放置していたので7つくらい連続で締め切りがある。気を入れてやらないと。と思ったけど体がまだ虚脱していたので、マッサージを予約して1時間揉んでもらう。座りっぱなしでもあんまり腰とか肩とか痛くならないのですが、その分膝とか股関節が痛くなってきまして、そのあたりを重点的に揉んでもらう。まあ腰と足は繋がっているからなあ。繋がってないとあれだな、合体ロボだよな。

仕事部屋を片づけないとなあ。資料の山が廊下まで溢れている。本を出しては片づけての繰り返しの生活です。








2025年11月14日金曜日

怪老人日乗:11月14日(金)

じゃじゃじゃじゃーん、とベートーベンの曲に乗って現れましたが、さて、皆さまはお変わりないでしょうか。なんというのか、鬼火の季節ですねえ。梨が美味しい季節ですねえ。鬼火の季節ですねえ。

というわけで超久しぶりに日記をつける。この1か月の記憶があまりない。仕事をしていた延々していた。それだけである。遊びには行ったかなあ、一回だけ神戸から友人が上京してきて食事をしたけど、そんなものじゃないでしょうか。家族でどっか出かけた記憶もなし。土日はひたすら籠もって作業していました。いろいろ10月には終わるつもりだった書き下ろし、まだ終わっておらず、それにつれて発売日もずりずりと地虫のようにずれておりましたが、今度こそやっと手離れしそうなので、ほっと一息ついて日記を書いているところである。しかしまだ作業がすべて終わったわけではないし、書き下ろしで停滞していた他の原稿を、怒濤の速度でやらないと心臓がもげるので(皆さんのね)まあまだしばらくは大変である。アンソロジーの仕事も2冊あるのだが、そっちも手つかずだ。

まあ書き下ろしの方は、面白いものになっているのではないでしょうか。疲れましたよ、書いてて。スティーヴン・キング絶賛!という帯をつけて売ってほしいくらいですよ。南無阿弥陀。

ええとですね、それとなんだ、何かを書こうとしていたな。X見ていたら忘れたので、また書き下ろしの話を書きますが、資料をたくさん使ったので部屋にびっしり本を積んでですね、作業机にもずらりと並べて、廊下にも溢れ出して大変でしたね。山ごもりでもすれば仕事が捗るんでしょうが、資料がこんなに必要では無理。図書館にもだいぶ助けられました。しかし買った本も多かったし、まあお金はかかったわね。ただ前にもイベントで言いましたが、同時代に黒史郎さんという資料収集の鬼みたいな方がいて、「黒さんなら買うだろうなあ」と思うことで躊躇なく資料を注文できたのはありがたいことでした。黒さん、ありがとう!

仕事の告知。高野和明『踏切の幽霊』(文春文庫)の解説を執筆しました。絶賛発売中です。佐々木譲『闇の聖域』(角川文庫)の解説も執筆しています。こちらは絶賛11月25日発売予定。






2025年10月11日土曜日

怪老人日乗:10月11日(土)

10月11日である。もうこうなったら経文を唱えるしかない。そのくらい原稿が大変なわけですが、昨日はねえ、徹夜明けでどーんと疲れた出て早くに寝てしまいました。厳密にいうと徹夜ではなくて4時半くらいに布団に入ったんですが、まあ2時間くらいの睡眠ではどうにも調子が出ず。日中もそのまま働いていましたが(飯田橋にも行っていた)帰りにはふらりふらりと亡霊の如くなりにけり。をばれう、をばれう。

でですね、昨日はそんなわけであんまり捗らなくて、まあ大変なのである。こんなことがあっていいのでしょうか、という日々でありますが、気づけば秋ですねえ。10月にはいろいろ目星がついているかと思ったけれども、目玉どころか脳みそもついていなかった。うーんむ。

そんな中、あれこれお仕事のご依頼、ご相談もいただく。まあ落ち着いたらですね、一気に手をつけますので少々お待ちを……。そしてあれだ、ええとね、なんだっけ。まあ忘れましたけど、最近あったこと。そうそう、先週の今日、猫町倶楽部さんに呼んでいただいてトークイベント。会場は渋谷のイベントスペースでして、ビルの入り口を工事中で「どこから入ったらいいんだよー」としばらくさまよいましたけど、なんとか入ることができまして、綺麗で広々とした30人くらいキャパのイベントで満席でありました。ありがたい!しかし今年は人前でしゃべる機会が多かったなあ。

イベントはですね、猫町倶楽部というのは日本最大級の読書コミュニティなわけですが、その中で特にホラー好きの方が企画してくれたもの。ありがたいです。で私を呼びたいと。それまたありがたい話であります。トークはその中心になってくれた方との対談形式で、ホラーの歴史とか、魅力とかですね、そういうことをゼロから分かりやすくお話ししました。会場にはXで繋がっている方々もたくさん。心強かったです。この夏はイベントをたびたびやって、おかげでXの相互フォローの皆さんと会うことができました。X、というかSNS、昔はあまり得意ではなくてですね、何かこう必要を感じていなかったんですけど、こうやって趣味を同じくする人たちが、普通に生活していたら会うことはありえないのに、会うことができるのでいいものだなあと近年は思っております。ありがとうX。

でトークがQ&A含めて1時間半。質問コーナーでは「リミナルスペースが話題だが、筒井康隆の『遠い座敷』もそうでは」という問いなど。鋭い。と思ったらよくイベントにきてくださる方でした。でリミナルスペースとはなんぞや的な話もできまして、幸い大きなぽかもなくですね、お役を務めることができたのではないでしょうか。どうでしょうか。

でイベント後は懇親会、渋谷の居酒屋で。初めての方も、何度かお話ししたことある方も、和やかに楽しく飲食いたしました。さっきの話と重なりますが、私はこういう場がとても苦手だったのです。でも年齢とともに平気になりまして、それとですね、やっぱり直接会えて、お話しできるって貴重なことだよなあとも思うのですね。その機会を逃したくないというか。まあ人生後半戦に入ったからこそ、そう思うのかもしれない。若い頃は飲み会、逃げて逃げて逃げまくっていたものなー。来場者の方もそうなのかもしれないが(ホラー好きはシャイな方が多いから)でも来てくださったことをありがたく思います。本を持ってきてくださった方にサインなどもいたしました。サインを終えたらなぜか「おおー」とその場で拍手が起きまして、初めて立った1歳児のような感じでありました。




上はイベント告知用にcanvaで自作した画像。まあこういう画像があった方が反応はいいような気がいたします。Xのアルゴリズム(よくわかんないけど)が変わって告知も難しくなってきました。言われてみるとタイムラインにもおなじみの皆さんが流れてくることが多く、それ以外のフォロワーさんはあまり流れてこないんですよね。

というわけでここでも告知しますが、猫町倶楽部さんでは引き続きイベントを。11月から6回連続で「朝宮運河のこのホラーを読め!」というオンライン読書会を開いていただくことになりました。イベント名はなんか威勢がいいですが……。まあ私が選んだホラー小説を、みんなでゆるーく読んで、感想をいいあってみようぜいという読書会です。お申し込みが必要ですが、ご興味ある方はぜひぜひ。初回は私も参加いたしますよ。