今日もまた日記を付けるのである。といってさっきも付けたばかりなのだが、台風が接近していてどこにも出かけられず、本を読むばかりであるから、日記くらい多めに書かせてくれい。さて『十二国記』の最新刊『幽冥の岸』が売れている。2000冊売り切った書店があるとか、10万部の増刷が即決まったとか、今時信じられないようなヒットであり、『十二国記』というタイトルの大きさをあらためて感じずにはいられない。その最新刊『幽冥の岸』に解説を書かせてもらった。大変にありがたいお話で、それだけに緊張もし、力も入ったのだが、おかげさまでXなどで読んでいると感想もよかった、ということを書かれている方が何人がいて、ホッとしているところなのである。
今年はあと4冊くらい解説の仕事があると思う。解説は大変だ。責任重大だから。本文そのものではないけれども、それに準ずるものであるという位置づけで、一度本に載ったら半永久的に残る。だからおかしなことは書けない。たまにタレント的な人が著者とのつながりをさらさらっと書いているタイプの解説があるが、あれは知名度のある人が書くから意味があるのである。知名度のない書評家があれをやったら、「お前はどこのワカメじゃ」とワカメラーメンに言われるだろう。だから解説はきちんとしようと思うのだが、きちんとしようとすると時間がかかり、締めきりにいつも遅れてしまうのだった。うーんむ。
さて、さかのぼり日記であるが、9月17日(木)までさかのぼる。18日(金)と19日(土)にも何かがあったはずなのだ。特に金曜日は外出した覚えが……あるのだけど、カレンダーに書いていないから分からない。で17日は雨でしたね。このところずっと雨なのだけれども、その日も結構強い雨だった。夕暮れどき、渋谷に出る。松竹さんにご招待いただいて「酔狂満願」という怪談イベントを拝見した。セルリアンタワーの地下に能楽堂があり(知らなかったが立派な能楽堂があるんです)そこで怪談イベントをやる。しかも演目は牡丹灯籠。出演は落語家の三遊亭わん丈氏、怪談師のぁみ氏、牛抱せん夏氏、松原タニシ氏、吉田悠軌氏。第一部がわん丈氏による円朝の牡丹灯籠、というか入り組んだストーリーの牡丹灯籠の分かりやすい解説である。昔読んでいるはずだがコロッとストーリーを忘れているので、いいおさらいになった。第二部が怪談師による実話怪談で、牡丹灯籠やお札にまつわる話を。吉田悠軌さんはとある事故物件アパートに住んだ人の彼女がどんどん衰弱していくという話、松原タニシさんはお札のある宿の話など、ぁみさん(初めて拝見した)は事故物件でお札の貼ってある押し入れに男が座っていたという話、牛抱せん夏さんは古典の牡丹灯籠を口演。古典怪談と令和の怪談ブーム、いまいち繋がっているような繋がっていないようななのだが、そこに橋を架けるような企画で、こういうのはどんどんやってくれたらいいなと思った。出演者も皆、円朝や牡丹灯籠へのリスペクトがある人たちばかりで、ベストな人選だったのではないでしょうか。
楽しくなって帰宅したが、雨の渋谷でお夕飯を食べるところを見つけられず、結局最寄り駅まで帰ってきて何か適当に食べたのではなかったか。一人で外食するのは好きだけど、お店を探したりするのはあまり得意じゃない。

