2017年10月7日土曜日
井上雅彦氏に初インタビュー!於『ダ・ヴィンチ』11月号
本とコミックの情報誌『ダ・ヴィンチ』11月号(KADOKAWA)が発売されました。
日本ホラー小説界の雄、井上雅彦さんにインタビュー。
先ごろ刊行された待望の短編集『夜会 吸血鬼作品集』(河出書房新社)について、1時間以上にわたりお話をうかがってきました。
井上先生とはライターを生業とする前からご縁があり、上京して以降も文学賞のパーティなどで時々お目にかかっておりましたが、こうしてインタビューするのは初めての経験。
インタビューの席上で本人にもお伝えしたのですが、わたしは昔『ダ・ヴィンチ』でやっていた「井上雅彦の異形対談」 という企画が大好きで、毎号楽しみにしていたのですね(『夢魔たちの宝箱』としてメディアファクトリーより単行本化)。
あれを読んで、ホラー小説っていいなあ、とあらためて思ったところがありますので、『ダ・ヴィンチ誌上でで井上さんにインタビュー(しかも担当さんは「異形対談」と同じS氏)することができたのが、非常に嬉しかったわけです。
同号ではデビュー作『颶風の王』がヒットした北海道の新鋭、河崎秋子さんにもインタビュー。
最新作『肉弾』(KADOKAWA)は本州の若者が北海道の原生林でサバイバルするネイチャー・ロマン。
父親と北海道に狩猟にやってきた主人公が、豊かな自然のなか自分を見つめ直してゆく……そんなよくある小説なのかなと思って読んでいくと、わわわ、予想をはるかにうわまわるシビアな展開に。大自然との血みどろの決闘を通して、解放されてゆく主人公の精神。戦うことでしかいきられない異形の動物たち。要注目の作です。
2017年9月29日金曜日
柚月裕子さんにインタビューしました。於『ダ・ヴィンチ』10月号
やや報告が遅くなりましたが。現在書店に並んでいる『ダ・ヴィンチ』10月号(KADOKAWA)にて、柚月裕子さんにインタビューさせていただきました。
新刊『盤上の向日葵』(中央公論新社)について。
同作は藤井四段の活躍や『3月のライオン』であらためて世間の注目を集めている、将棋界を題材にした、長編ミステリーです。
財界の寵児として知られた青年は、それまで築き上げてきた地位をなげうち、プロ棋士として再スタートを切ります。鬼神のような戦いぶりでめきめきと頭角を現してゆく青年。その過去には知られざる大きな秘密があった……。
信州を舞台にした情感豊かな物語性、手に汗にぎる対局シーン(駒の動きもリアル!)、壮絶な「真剣師」たちの生きざま、そして松本清張の名作『砂の器』へのオマージュと、読みどころ満載。一作ごとに新たな世界に挑み、最高新記録を更新してゆく柚月さん。
インタビュー記事では取材時のエピソードやキャラクター誕生の経緯、幼いころから親しんできたという将棋への思いについてうかがっています。本編のお供にぜひご一読を。
出てきたついでに近況でも。
今日のおやつは鎌倉紅谷の銘菓、クルミッ子。世に木の実好き(&ドライフルーツ好き)という人種が確かにいて、わたしもその一人なのであるが、クルミッ子はそんな人人にはたまらない愛らしく美味しいお菓子なのである。ほろりと崩れる焼き菓子でサンドしたクルミとキャラメル。その絶妙の食感と甘さ、ほろ苦さ。類似のお菓子はあちこちで売られていますが、ここのは包装もふくめてパーフェクトではないかと思われるのです。
鎌倉に行かなければ手に入らないかと思いきや、これは池袋に職場のある友人が見つけて買ってきてくれました。
作家の黒史郎さんから新刊『ダンジョンズ&ガールズ』(プラスマインド)をお送りいただきました。
女子高生が主人公のダンジョンもの。
わたしはゲームの世界に疎いんですが(アナログも電子も)、そこは職人黒さんのこと、グロくて、幻想的で、マニアックで、わたしのようなゲーム音痴が読んで読んでも楽しめる、詳しい人なら二倍も三倍も面白い、そんな作品に仕上がっているに違いありません。さっそく読ませていただきましょう。
この場を借りてあらためてお礼を。
2017年9月1日金曜日
【怪老人日乗】 九月某日
言われてみるとたしかに、路上にはよく片方だけの手袋が落ちている。
今日も落ちていた。
アスファルト手袋くずれ落ちにけり (曾良)
扠。
今日は仕事でSF(すこしふしぎ)の世界に出かけてきたのである。
ピー助がいるなあ。
噫、その奥にはバウワンコ像がいるなあ。
前にも書きましたが、わたしは秘境冒険ものの『のび太の大魔境』が好きなんですよ。
バウワンコ像はファミコンソフト『ドラえもん』にも出てきたような記憶があるが、わたしはファミコンを持っていなかったので定かではない。持っていたのはゲームウォッチのみ。
で。
そうこうしていたらダ・ヴィンチニュースで「新本格ミステリ30周年」特設ページが公開された。
こちらで作品レビューを書いております。現時点で綾辻行人氏の『十角館の殺人』のレビューがアップされているが、近日中にさらに数本あがる予定。
というわけで。
今夜はやや唐突に新本格とわたしの思い出を書こうと思います。
新本格ムーブメントがスタートしたのが今から30年前の1987年。
わたしはその当時10歳なので、残念ながらリアルタイムで『十角館の殺人』を体験した世代ではない。
とはいえ、わたしが大学に入った90年代後半にもまだまだ人気は健在で、いわばユースカルチャーの一部という感じであった。そのあたりは今日のSF、ラノベに近いものがあるだろう。
国文科で同じゼミだったYくんも本格ミステリにはまっていた一人で、「僕、こんなトリックを考えたんだよ」と小声で話しかけてきたけれど、彼はどうしてるんでしょうか。ヴァン・ダインとヘビメタを愛好する好青年だった。
当時、京都に住んでいたわたしがミステリ本をよく買っていたのは、近鉄線新田辺駅の開けたロータリーとは反対側にあった新刊書店、同じく新田辺駅の古本屋「一Q」(いっきゅう)、それと伏見大手筋商店街の一番街にあった書店で、もちろん梶井基次郎が爆破した河原町の丸善や、四条通沿いのジュンク堂にも足を運んだけれど、大学の行き帰りに暇さえあれば立ち寄っていたこのあたりの小型店が思い出深い。キャンパス最寄りの興戸駅わきにも古本屋があったのだが、ここは教科書が主だったような記憶がある。
「一Q」では竹本健治の『ウロボロスの偽書』を、P・K・ディックの『ヴァリス』と一緒に買った。ミステリじゃないけど、森由岐子の『魔怪わらべの唄』も買った。ちなみに「一Q」というのは妙な店名だが、新田辺駅界隈は一休さんゆかりの土地で、銅像なんかも建っていたのである。いま検索してみたら、「一Q」はいまだ現役のようで驚く。なお京都にはほかに「コミックQ」という似たような名前の古書チェーン店があって、こちらにもすごくお世話になった。学生時代は京都中のコミックQとレンタルビデオ店が頭に入っていたものだ。
新田辺駅前の新刊書店(名前失念)では、平台で山口雅也の『生ける屍の死』を見つけて、通学の近鉄電車で読んだ。手もとにある文庫本の奥付を見ると97年11月刊の第4版。このカバーを見ていると、薄暗い蛍光灯で照らされた近鉄線のホームが目に浮かんでくる。
と。
思い出話はつきないのであるが、そんなわけだから新本格30周年企画に携わることができて、ちっと嬉しかったのだ。わたしにとって新本格はいわば青春の文学なのである。Yくん、元気かな。
2017年8月29日火曜日
荒俣宏氏にインタビュー 於ダ・ヴィンチニュース
お仕事の告知が続きます。
ダ・ヴィンチニュースにて、荒俣宏さんにインタビュー。
7月に刊行された『お化けの愛し方 なぜ人は怪談が好きなのか』(ポプラ社)について、お話をうかがいました。
ダ・ヴィンチニュース、大幅にデザインをニューアルしていて、今なら荒俣さんのインタビューがトップにどーんと出ていますね。なるほど、画像がこういう感じで入るようになったのか。
扠。
一応ホラーの世界で生きている私ですが、荒俣さんに直接お会いするのはこれが初めて。
そりゃあ感慨もひとしおでした。団精二……『怪奇幻想の文学』……『世界神秘学事典』……『本朝幻想文学縁起』……『帝都物語』……「俺はこれから大連に行く」……いろんなことが頭を駆け巡り、テレコのスイッチを押す指が震えました。
『世界神秘学事典』、大学図書館に通って読んだなあ。
『お化けの愛し方』は中国から日本へと伝わった「恋愛怪談」の系譜をたどり、お化けと人間の共存を説いた著者最後の「お化け学」著作物。その探索の手がかりとなったのが、乱歩の「怪談入門」というのが興味深いです。どれだけ日本のホラーに貢献するんだ、乱歩。
さらに詳しい内容についてはインタビューをご覧ください。
インタビュー中に「人間、死期が近づくと賢くなるから」という発言があって、まだまだお若いじゃないですか、と思ったんですが、団精二さんももう古希になられたんですね。噫、月日の経つのは早いもの。
むぎわらしんたろう氏にインタビュー 於ダ・ヴィンチニュース
出ーたんだよ、出たんだよー。
といえば、懐かしの『藤子不二雄ランド』のコマーシャルソングである。
で、『月刊コロコロコミック』で活躍中のマンガ家むぎわらしんたろう氏の新刊『ドラえもん物語 ~藤子・F・不二雄先生の背中~』(小学館)が出た。
これは藤子・F・不二雄のアシスタントとして、その創作を支えたむぎわら氏が、亡き師との日々を回想した実録コミックである。単行本は今年『コロコロ』に掲載され反響を呼んだ作品に書き下ろしを加え、貴重な資料も多数掲載したものだ。
この作品について「ダ・ヴィンチニュース」上でインタビューさせてもらった。
1980年代の子どもはみんなそうだろうが、わたしもご多分にもれずドラえもんファンで、劇場版ドラえもんは『のび太の宇宙開拓史』から映画館で見ていたし(H・R・ハガード風の『大魔境』が好きだった)、『FFランド』も毎週楽しみにしていた。『コロコロ』も読んでいた。
そんなわけなので。
様々なドラグッズに囲まれてのインタビュー取材は、光栄かつ嬉しいお仕事でありました。
むぎわらしんたろう氏インタビュー【前編】
むぎわらしんたろう氏インタビュー【後編】
ロングインタビューになったので前後編で掲載。すでにYahoo!ニュース、ライブドアニュースなど、あちこちに配信されているようですね。
藤子不二雄ファンの皆さんはご一読いただけると嬉しいです。
深町秋生氏と薬丸岳氏に取材しました。『本の旅人』9月号
KADOKAWAのPR誌『本の旅人』9月号が発売されました。
巻頭のカラーグラビアは深町秋生さんと薬丸岳さんのツーショット(@廃墟ビル)。
こ、これは……迫力ありすぎですわー。
同誌上では深町さんの新刊『地獄の犬たち』(KADOKAWA)の刊行を記念して、薬丸岳さんとの対談が行われました。
で、その取材と執筆をさせていただきました。
『地獄の犬たち』は警察小説版『地獄の黙示録』とでもいうべき、すさまじい作品。
普段からあまり「傑作」という言葉は使わないようにしているんですが、この作品に関しては大いに使ってもいいのじゃないかしら。傑作です。
刊行記念対談ではお二人が愛してやまない“潜入捜査もの”について、『地獄の犬たち』の多彩なキャラクターの魅力について、などなどたっぷりと語っていただいております。
お二人のファンの方はぜひどうぞ。ヤバめな写真も必見です!
2017年7月9日日曜日
『ダ・ヴィンチ』8月号で道尾秀介さんにインタビュー!
本とコミックの情報誌『ダ・ヴィンチ』8月後(KADOKAWA)が7月6日発売された。
今月の特集は川原泉、プロレス、住野よるの3本柱。
わたしはいずれも詳しくないので特集には関わっていないが、新刊インタビューのページで道尾秀介さんに新刊『満月の泥枕』(毎日新聞出版)についてインタビューさせていただいている。
『満月の泥枕』は、大胆な構成(中盤あたりでがらりとトーンが変わる。まるで乱歩の『猟奇の果』!)と、緩急自在の語り口が魅力の人情ミステリーだ。東京の下町に住む主人公たちが、ひょんなことから奇妙な事件の当事者になってゆき、それと同時に停滞していた人生も動き始める。
インタビューではそうした作品の特色についてあれこれと質問をし、その都度丁寧にお答えいただいた。その肉声をどれだけ記事に反映できたかは心許ないが、一読いただけると幸いである。合掌。
2017年7月6日木曜日
怪談専門誌『幽』27号発売中!
いつも仕事させてもらっている怪談専門誌『幽』27号がKADOKAWAより発売されました。
今回の特集は山田風太郎。
一般には忍法帖や明治もの、ミステリーのイメージが強い風太郎ですが、実は怪談とも深い関わりがありました。
この特集では風太郎と怪談の関係が、さまざまな視点から紹介されています。
山田風太郎の原作を水木しげるが漫画化、京極夏彦が彩色を施した豪華コラボレーション「大いなる幻術」も復刻掲載。菊池秀行さん、仁木英之さん、花房観音さんのお三方による、忍法帖トリビュート怪談競作も見逃せません。
わたしは例によって読書案内のページを担当。「山田風太郎怪談ブックガイド」と題して、風太郎の怪談系作品を2ページにわたってガイドしました。読書ライフのおともにどうぞ。
それにしても表紙の文字サイズ……明らかにわたしだけランキング外な感じなのですが、大丈夫なんでしょうか? まあ一生にそうあることでもないので、素直に喜んでおきます。ふるふるふる。
そのほか、特集内では月村了衛さんと東雅夫編集顧問の対談を取材。
特集以外のページでは、新刊ブックレビュー(今回は宮部みゆき『三鬼 三島屋変調百物語四之続』、恒川光太郎『無貌の神』、柴崎友香『かわうそ堀怪談見習い』の3冊を紹介)、加門七海さんへの新刊インタビュー、cocoさん&日高トモキチさん&田中康弘さんの座談会のまとめを担当しております。
2017年7月1日土曜日
青空の悪魔円盤
いやあ、夏風邪をひいてしまって。
しらばくブログを投稿することもできず、臥せっておりました。
大概は寝ていれば一晩で治るんですけどね、今回はなかなか熱が下がらず、小栗虫太郎風にいうなら薬餌から離れられず。お医者に行ってみたところ、血中のなんとかいう数値が高くなっている、どうも何かが炎症を起こしているようだ、という話でした。
「存在しない何かに中毒してしまったらしい」というのは映画『裸のランチ』におけるウィリアム・バロウズの台詞ですが……はだしで錆びた釘でも踏んだかなあ。ぼんやり生きているので、そのくらいのことがあっても気づかない。
昨日あたりからは熱も下がり、平常運転に戻っておりますのでご心配なく。
さて。
6月24日は「UFOの日」でありました。
1874年同日、アメリカ人実業家ケネス・アーノルドがレーニア山上空で9つの白い飛行物体を目撃。目測によれば、物体はひとつ45~50フィート、速度は時速1700マイル(2700キロほど)もあったそうな。
「お皿を水面に投げて、水切りさせたように跳ね飛んでいた」
というアーノルドの目撃証言から、UFOの別称である「フライング・ソーサー(空飛ぶ円盤)」という語が誕生したのはあまりに有名です。
そしてこのアーノルド事件をきっかけに、光を放つ飛行物体が世界各地で目撃されるようになってゆく。
6月24日は「20世紀の神話」であるUFO現象の、まさに発端となった一日なのですね。
今年はアーノルド事件からちょうど70年。
それを記念してカナザワ映画祭2017では、コスモファイル羽咋にて「宇宙怪談大会」が開催されるようだが(これは行きたい!)、このブログとしてもある企画を考えていたのです。
それはおすすめUFO本の紹介記事。
最近わけあって読み返したジョン・リマーの『私は宇宙人にさらわれた!』が抜群に面白かったこともあって、好きなUFO本をまとめて紹介してみたい、という考えが浮かんでいたのですね。
いるかいないかだけでは片づけられない、UFO現象のあやしくもいかがわしい面白さに迫る本をレビューする。そんな記事を24日に公開したいなあと思っていたんですよ。
で、22日の晩あたりから「あれとこれとそれと……」と腹案を練っているうちにみるみる具合が悪くなり、そこから一挙に夏風邪ゾーンに突入。
気づくと24日はすぎておりました。宇宙怪談の祟りかしらねえ。
というわけで。
何ごともなかったようにまたブログを更新してゆきます。
書きたいネタもたまって数日経つと、たちまちトカトントンの吹きだまりに流されてゆきますので、どんどん書いていかなければ。
あ。
本題を忘れていた。
アーノルド事件70周年ということで(そういうことなんだろうと書き手は解釈している)、依頼されてダ・ヴィンチニュース上にUFOがらみの記事を何本か書きました。
・現在公開中の映画『美しい星』との絡みで三島由紀夫のUFO小説『美しい星』をレビューしたもの
https://ddnavi.com/news/373428/a/
・元航空自衛隊パイロット佐藤守氏の新刊『宇宙戦争を告げるUFO 知的生命体が地球人に発した警告』(講談社)のレビュー
https://ddnavi.com/news/377328/a/
・佐藤守氏へのインタビュー
https://ddnavi.com/news/383902/a/
四人囃子「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」(ライブ)
2017年6月12日月曜日
この週末に買った本
ホラー関連の新刊チェックのため新宿の大型書店へ。
以下の3冊を回収してきた。
ホラーとダークファンタジーの専門誌『ナイトランド・クォータリー』9号(アトリエサード)は、「悪夢と幻影」特集。
怪奇幻想文学とは縁の深い“夢”をテーマに、国内外の作品11編を掲載している。
『NLQ』といえば、ホラーの目利きである牧原勝志編集長による作品選定が最大の魅力。
今回もエドワード・ルーカス・ホワイト、М・P・シールらの古典系作家から、リサ・タトル、アンジェラ・スラッターなどの現代作家まで、かゆいところに手が届くセレクションで楽しませてくれる。
国産ホラー界の新鋭・澤村伊智が短編「夢の行き先」で『NLQ』初登場を果たしているのも嬉しい。
この週末に81ページまで読みましたが、いやあ面白いのなんの。1700円+税のもとは十分とれるので、怪奇幻想小説ファンはぜひお手元に。
ところでこれは余談なのだが。
「ルクンド」のE・L・ホワイトって「ジャンビー」のH・S・ホワイトヘッドとよくごっちゃになりません? わたしだけ? だって名前が似てるし、作風も若干かぶるし。しかも『NLQ』の作品解説によれば、ホワイトヘッドはホワイトを高く評価していたらしい。ホワイトヘッドの「唇」はホワイトの「ルクンド」を踏まえており、ホワイトの「アーミナ」の続編を企図したようにも読めるのがホワイトヘッドの「チャドボーン奇談」で……。ああ、ますますごっちゃになってきた!
黒木あるじ『怪談実話 終』(竹書房文庫)は、2010年刊の『怪談実話 叫』以来書き継がれてきた人気シリーズの最終巻。
あとがきによれば、一旦は怪談実話から離れることになるらしい。「これまでとはやや異なる視点で怪談にアプローチしたい」ということなので、黒木さんの今後の動向に注目である。
皿井垂『トラウマ日曜洋画劇場』(彩図社)は、1970~80年代にかけてテレビの洋画劇場で放映された映画49本をレビューしたもの。
この手のB級映画ガイドは見かけるとつい買ってしまうが、ジャンルや監督、制作年代ではなしに、「洋画劇場」というくくりで紹介しているのが新しい。
たとえば第三章「水曜ロードショー」では、『午後の曳航』『世界残酷物語』『ウィークエンド』『ダラスの熱い日』『恐怖のメロディ』『狼男アメリカン』『ウィラード』『ドラゴンへの道』『カサンドラ・クロス』の9本が取り上げられており、 ホラーとエロスとバイオレンスが混然一体となった、往年の洋画劇場の熱気を伝えてくれる。
『ヘルハウス』を「お化け屋敷映画の高尾山」に喩えたり、『カサンドラ・クロス』を「北大路魯山人の器にすき家の牛丼をよそって食べたような、不思議な気分が味わえる作品」と評したり、という作品への愛と知識に裏うちされた文章も楽しい。以前出ていた本の文庫化らしいけど、これは名著でありましょう。
そうこうしてたら椰月美智子さん『消えてなくなっても』(角川文庫)も届きました。
同じ本が2冊。なぜ?
答えは文庫版の解説を書かせてもらったから。
単行本刊行時、著者の椰月さんにインタビューする機会があり、そのご縁で文庫解説にもお声がけいただきました。
わたしが解説を書いていることからも分かるとおり、『消えてなくなっても』は椰月さんの作品にしては珍しい怪談&ファンタジー寄りの作品。それが椰月ワールドに特有の手ざわりとどう関わっているか、そのあたりを書いてみました。
2017年5月28日日曜日
【お仕事紹介】『本の旅人』6月号で武内涼さん×高橋敏夫さんの対談を取材
引き続きお仕事の紹介である。
KADOKAWAのPR誌『本の旅人』6月号にて、武内涼さんと高橋敏夫さんの対談を取材した。
武内さんの新作時代小説『暗殺者、野風』(KADOKAWA)の刊行記念対談である。
(左上にあるのは、武内さんのデビュー作『忍びの森』。妖怪×忍者!)
早稲田大学教授・文芸評論家の高橋さんは、武内さんの大学時代の恩師。
お互いをよく知るだけ間柄に、秘蔵エピソードがたくさん飛び出す和気あいあいの子弟対談となった。「伝奇」と「歴史」の距離について興味深い議論がなされているので、武内さんのファンはもちろん、時代小説好きも要チェック!この記事は『本の旅人』電子版でも読めるはずです。
古よりいかなる武士団にも属さず、中立を保ってきた暗殺者集落「隠り水の里」。戦によって両親を失った少女・野風は、その里で卓越した暗殺者へと成長してゆく。
『暗殺者、野風』は川中島の合戦を背景に超人的暗殺者たちの死闘を描いたエンターテインメント時代小説で、闇にうごめく者たちの姿がなんともカッコいい快作!
2017年5月25日木曜日
【お仕事紹介】『青春と読書』6月号で今野敏さんにインタビュー
集英社のPR誌『青春と読書』6月号が届きました。
今野敏さんに最新長篇『アンカー』(集英社)についてインタビューさせていただいています。
『アンカー』は報道番組ニュースイレブンの名物記者・布施京一の活躍を描いた報道ミステリー。シリーズ4本目となる今作では、布施が未解決のまま10年が経過している大学生刺殺事件に注目。番組で取り上げるようデスクの鳩村に求めます。スクープ記者の布施が一見ニュースバリューのなさそうなこの事件にこだわるのはなぜか?
スピーディな物語展開のなかに、報道の抱えるさまざまな矛盾をえぐった迫真の社会派エンターテインメントに仕上がっています。
今回のインタビューでは新キャラクター栃本誕生の経緯から、今野さんのジャーナリズム論まで幅広く語っていただきました。今野敏ファンのみなさんはぜひご一読を。ネットでも読めるんだそうですのよ。ちなみに取材場所は今野さんのお仕事場。四方の壁が書棚で埋まり、仕事机のそばにギターが数本並んだ素敵な空間でした。
本日、集英社より『アンカー』現物もお送りいただきました。5月30日発売です。
2017年2月13日月曜日
【お仕事紹介】神永学さんにインタビュー
最近へんなことに気づいてしまった。
どうやら自分はキングコングがたいへんに好きらしい。いや、キングコングに限らず猿系のモンスター&怪獣はおしなべて好きらしい。したがって、橘外男の獣人小説も好きらしい。
「らしい」と自分のことながら曖昧に書いているのは、最近はたと「あ、猿が好きなのかも」と気がついたからで、自分でもやや戸惑っているのです。 目ざめかけているのですが、なんだかまだ認めたくない気もするのです。
しかし。特撮ドラマや映画に猿絡みのエピソードがちょいちょいあるのは、一定数こういう人間がいるからなのだなあ。
というわけで『髑髏島の巨神』も行きますよ。
さて。
またまた仕事の紹介。
幻冬舎の小説誌『小説幻冬』2月号でもお仕事させていただいている。
戦国時代を舞台に、怪人妖魔が乱舞する人気の伝奇時代小説シリーズ『殺生伝』。
その第3部スタートにあたって、著者の神永学さんにインタビューさせていただいた。
波瀾万丈な物語の復権を!という意気込みにみちた熱いインタビュー。この号から連載開始した『殺生伝』第3部とともにぜひご一読ください。
そのうち猿も出てくるかなあ。わくわく。
2017年2月9日木曜日
【お仕事紹介】恒川光太郎さんにインタビュー!
おそらくそうするように教育されているのだろうが、スターバックスの店員さんって突如フレンドリーに話しかけてくることがあって、驚きますよね。
昨日も仕事の合間、さて夢枕獏でも読むか、と都心のスターバックスに立ち寄ったところ、いきなり「お洒落なリュックですね!」と若い女店員さんに声をかけられたのだった。
あらかじめ断っておくと、わたしのリュックはなんの変哲もない、黒いナイロン地のリュックである。マアお洒落だわ、と一目見て感じるようなものでは決してない。
「そうでしょう。これはビルマで死んだ祖父の形見なんですよ」とでも切り返せたらよかったのだが、突然のことに心が動揺してしまって、有り体にいうなら「知らない女の人に話しかけられた!」とふわふわ舞いあがってしまって、頭の中が白紙状態になり「いっひっひ」と意図不明に笑うのが精いっぱいであった。
美しい店員さんはムッとした顔になって、コーヒーを渡してくれたものである。
あんな時、澁澤龍彦ならどう答えたのだろうなあ、とぼんやり考えながら、満員電車に揺られて帰った怪奇幻想ライターなのだった。幻想文学の道は険しい。
さて。
これから仕事の紹介がしばらく続く。
まずは直近のところで、2月6日発売になったばかりの『ダ・ヴィンチ』3月号(KADOKAWA)。
ホラー短篇集『無貌の神』(KADOKAWA)を刊行した恒川光太郎さんに見開き2ページでインタビューした。
金色の神を崇める閉鎖的な集落を描いた表題作のほか、灰色に曇った空のもと生あたたかい風がどろどろと吹き抜けてゆくような、怪奇幻想譚が6編。デビュー作『夜市』以来の「隠れ里」趣味も健在で、懐かしき恐怖と幻想を心ゆくまで味わうことができる。恒川光太郎にしか描き得ない世界で、オススメ度、文句なしの★5ツだ。
ちなみに今月の『ダ・ヴィンチ』では北尾トロ氏の連載「走れ!トロイカ学習帳」がたいへんにおもしろい。
毎回出版業界周辺のネタを取りあげているこのコーナー、今月は「出版業界フリーランス物語 ライター・マンガ家のリアルとは!?」と銘打って、フリーランスとお金の関係に迫っている。
おお、おそろしいけど気になる話題!
たまに同業者と会っても、この手の際どい会話はできないので、興味津々で読んだ。
ライターとお金の問題について、もっと生々しく知りたいという奇特な方は(就活シーズンだしね)『編集会議』2016年秋号の特集「編集者・ライター、生き残りの条件」も併読されたい。
2016年12月4日日曜日
ある冬の夜の怪老人 お仕事紹介篇
まずは新しいところから。
★
恩田陸さんの短篇集『私の家では何も起こらない』(角川文庫)の巻末対談(恩田陸さんと名久井直子さんによるもの)の取材・執筆を担当している。
実はこの巻末対談、単行本刊行時に雑誌『ダ・ヴィンチ』に掲載された記事の再録。
ずいぶん前に手がけた仕事が、こうして文庫に収められるのはライターとして嬉しいことである。
ただしどこにもクレジットが入っておらず、ライターとしては若干悲しいのであった。とほほ。
『本の旅人』12月号(KADOKAWA)では、日中共同製作映画『空海 -KU-KAI-』の製作報告会見の模様をレポートしている。原作は夢枕獏さんの伝奇小説『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。会見場では、中国の湖北省に作られた巨大なオープンセットの映像などが公開された。
映画は2018年公開予定。楽しみなことである。
TEAM NACSが表紙の『ダ・ヴィンチ』12月号(KADOKAWA)では、京極夏彦さんに話題作『虚実妖怪百物語』(KADOKAWA)についてインタビューしている。
写真は京極さんのご自宅にある、水木グッズ専用スペースで撮影。妖怪&妖怪関係者が大挙して登場する(水木しげるご本人も登場!)作品世界にぴったりの写真なので、こちらもご注目を。
『青春と読書』12月号(集英社)では、同じく京極夏彦さんにインタビュー。
こちらは集英社から最近発売されたばかりの新刊『書楼弔堂 炎昼』についての記事。
明治期の書店を舞台にした「弔堂」シリーズも2冊目。今回は若い女性を語り手に、明治時代を彩った傑物たちと書物の関わりが描かれてゆく。
同内容のインタビューは、電子版で発売中の『「書楼弔堂」シリーズガイドブック』にも収録されているので、『青春と読書』が見付からないよという方はこちらも是非。
さらにさかのぼると『週刊現代』11月5日号(講談社)内「日本一の書評」コーナーに、長江俊和さんの『東京二十三区女』(幻冬舎)の書評を寄稿した。
同作は、賑やかな東京に隠されたもうひとつの顔をミステリー&ホラー仕立てで解き明かした連作短篇集。編集さんから書評の依頼をいただいた時には、「おれが『放送禁止』の大ファンと知ってのことか!」と嬉しくなったものである。
仕事の関係で並木橋のあたりをよく歩いていた時期があったので、収録作では渋谷の地下空間を舞台にした「渋谷区の女」がとりわけ印象深かった。
『小説宝石』11月号(光文社)では、オウム真理教による一連のテロ事件をモチーフにしたミステリー長篇『コクーン』(光文社)について、著者の葉真中顕さんにインタビュー。
フィクションでなければ描きえない絶望と救済。デビュー以来、「善悪の彼岸」を追い求めてきた葉真中さんですが、3作目にしてこんな境地にまでいっちゃうんだ、という驚きがインタビュー記事にも表れているのではないかと思います。
こちらも是非。
こんな感じであろうか。
そうこうしていたら、そろそろ怪談専門誌『幽』26号が出るのであった。
お次の『幽』は、夢野久作だ!!
2016年10月27日木曜日
『ダ・ヴィンチ』11月号発売中!
お仕事の紹介をさせていただこう。
知らない人も多いと思うので説明しておくと、おじさんはライターといって、人に取材したり文章を書いたりする仕事をしているんだよ。(説明終り)
で。
本の情報誌『ダ・ヴィンチ』11月号(KADOKAWA)が発売中である。
2号続けて表紙が美麗な『ダ・ヴィンチ』。
特集は「男と、本。声優編」と『3月のライオン』。「男と、本。」は人気のある企画らしいので、このまま続けて「怪奇編」「幻想編」もやってくれないかしらん。
今月は3人の作家さんに取材させていただいた。
森絵都さんの『みかづき』(集英社)は、学習塾黎明期から「三日月」として子どもたちの教育に携わってきた一家の姿を、三世代にわたって描いた長編。思い出すと涙ぐみそうになる、しみじみといい小説です。すでに書評もいっぱい出ていますし、今年下半期の話題作でしょう。
長岡弘樹さんの『白衣の嘘』(KADOKAWA)は、著者のテクニシャンぶりがいかんなく発揮された短編ミステリー作品集。そこから騙しにかかるか!と気づいた時には、もう遅い。まるで幻戯のような世界。今回は初となる医療ミステリーですが、そこは長岡作品のこと、よくある「最先端医療サスペンス!」みたいなノリとは全然違います。
長年愛読してきた夢枕獏さんの「陰陽師」シリーズ。その新刊『陰陽師 玉兎ノ巻』(文藝春秋)についてもインタビューしました。記事ではピアニストのスガダイローさんとコラボしたCD+ブック『蝉丸 陰陽師の音』(スペースシャワーミュージック)についても詳しくうかがっております。雅楽の静謐さとモダンジャズの緊張感がミックスされていて、これはカッコいいわいな。
以上でございます。
2015年12月21日月曜日
『幽』24号発売!
このあいだ創刊10周年記念号に書いたと思っていたら、もう12年目なんですね。干支がぐるっとひとめぐり。おなじみ怪談専門誌『幽』24号が(KADOKAWA)が発売となりました。
第一特集は「リアルか、フェイクか。」で、現実と虚構という怪談とは切っても切れないテーマを深く掘りさげています。
そもそも「リアルか、フェイクか。」問題というのは、大半の創作物につきまとう問題でしょうが、怪談ではそれが特に作り手と受け手の意識にのぼりやすい。さまざまなレベルで怪談ブームが叫ばれる昨今、こうした根源的なテーマが取りあげられるのは、たいへん意義のあることではないか、と思ったりします。
なあんて小難しいことは措いといて(書いていてもサッパリ分かりません)、相変わらず読んで面白く、知ってタメになり、触って分厚い、充実の面白娯楽文芸雑誌に仕上がっております。 連載作家陣をぱっと眺めても、ここまで刺激的な文芸誌は今日、そうそうないんじゃないでしょうか。
こんな超弩級の雑誌が、幽霊船のごとく年に2回現れるという奇跡。
今回もいろいろと書かせてもらっています。
まずは同特集内、映画監督の中村義洋さんインタビュー。最新作『残穢【さんえ】―住んではいけない部屋―』公開を目前に控えた中村監督が考える、リアルとフェイクとは。あの『ほんとにあった!呪いのビデオ』のことも含めて、たっぷりうかがっています。
また、「必読必見のFAKEドキュメンタリー・ガイド」も担当。活字編と映像編で、フェイク・ドキュメンタリーの傑作をいくつも紹介しました。心霊ビデオを借りまくっていた青春時代が、まさか役に立つ日がこようとは……。
それ以外のところでは、『山怪 山人が語る不思議な話』(山と渓谷社)が話題の田中康弘さんと加門七海さんの対談、初の怪談小説集『きのうの影踏み』(KADOKAWA)に関する辻村深月さんへのインタビュー、「ニコニコホラーゲームフェス」の審査員を務めた黒史郎さんへのインタビューを、それぞれ取材&執筆。
また、ブックレビューコーナーにて、佐藤春夫『たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集』(平凡社ライブラリー)など、巨匠の怪談3冊をまとめてレビューしています。
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