2024年3月8日金曜日

怪老人日乗:3月8日(金)

ほよよ~、3月8日であります。3月8日といえば皆さん、あの日ですよ。美輪明宏の日ですよ。っていうのは今思いついたのですが、まあ何かの記念日なんでしょう。今日が誕生日という人もいるでしょう。おめでとうござい益荒男。

えーと、そんなわけで20日くらいぶりに日記を付けている。もうこうなると日記とはいえず、月記である。そのうち年記になって、世紀記にならないように気をつけたいと思い益荒男。なんなんじゃこれは。誰が流行らせたんだ。そもそも流行っておるのか。おれには分からねえ。何も分からねえ……。

というわけで久しぶりに日記を付けたのは他でもない、仕事があれこれありまして、何から始めるかなあ、まいっちったなあ、と虚空を見たり、YouTubeで音楽を再生したり(しかもこういう時に限って中学生の頃に聴いていたようなやつを延々聴いたりする)で午前が終わり、このままじゃ今日は一日終わってしまうじゃないのよ、というわけで、久しぶりに有意義に日記を付け、文章を書くカンのようなものを取り戻しておきたい、と思ったわけである。

そう、わたしはインフルエンザになっていたのでした。経緯を書くとだね、あれはまだ2月の寒い頃のことじゃった……村でインフルエンザが猛威を振るってのう、子供が熱を出し、奥さまが熱を出したのじゃ。おそろしいことよのう、カカシサマの祟りでのう、わしだけはなんとか逃げ切ろう逃げ切ろうと、側転などしてのう、カカシサマに祈っておっていたのじゃが、忘れもせんわ、2月23日の夜じゃ、みんなが熱を出しているので、わしだけ別の部屋で寝ておったのだが、なんだか妙にゾクゾクと背筋が寒くてのう、「今日は寒いのう、まるで小泉八雲の怪談の『兄さん、寒かろ……』としゃべる布団のごときじゃ」と思っていたのだが、そのうちどうにもアカンくなりまして、この部屋が寒いんだな、と結論づけて結局、いつも寝ている部屋にもどったわけですよ。でもそれは部屋のせいではなく、気温のせいでもなく、疫病流行記の第三章だったのですねえ。

24日(土)の朝からやたら寒気がしまして、頭もぼわーっとしてきて、あ、これは熱が出たな、と思ったのですがその日は出かける用事があって、バイクで市内の某小学校まで。子供の絵が選ばれて掲示されているというので、それを見に行ったのだが、運転しながらもふらふらよろよろだし、これはまずいぜえと近くに見えたスーパーのような村の祠のようなところで食料品をいくつか買いまして、巣ごもりに対応できるようにしたのです。で帰宅して熱を測ったら、やっぱ38℃くらいあり、そっからはもうずっと寝てたですよ。

日曜には発熱外来にいき、調べてもらったら案の定インフルエンザのB型。日月火水と寝てたのかなあ。水曜はZoom取材があったけど、いまひとつ本調子でなく。木曜は飲み会の予定があったけどキャンセルで、しかし締め切りがあったので一日中ベッドで原稿書きをしていたのだった。金曜あたりでやっと熱が下がりまして、インフルなので熱が下がるともう元気……と思って3月2日(土)の日中、少年野球の試合の応援になどいったら、そこが日陰で寒かったのか、それともまだ風邪ぶり返しみたいになったのか、分かりませんがまた具合が悪くなりまして、水曜くらいまで寝ていましたね。結局熱っぽさとだるさが消えたのは、3月6日ですからね、都合10日くらいは寝ていたのではないですかねえ。

6日(水)は市ヶ谷の方で取材、御茶ノ水方面で古本など見てきたかったけれども、帰りが遅くなるのもイヤだったので早めに帰ってきて、隣駅のミスドで本読み。コーヒー飲んだりドーナツ食べたりするという欲も、元気でないとまったく湧いてこないので、体調というのはいろいろ趣味まで変えるなあとあらためて思った次第。7日(木)は昨日ですけども、朝からZoom取材でこちらも順調に終わり、あとは原稿書くばかり。という感じで今日なのでありました。

しかしねえ、このところずっと休みなく原稿書きをしており、朝起きてから夜寝るまで、ずっと仕事をし続けていて、それでなんとか回してきたのですが、強制的にそのサイクルから離れることになって、ほっとしたところはあったですね。ほっとしただけで仕事が回ればいいのだけど、そんなわけにもいかないので、馬車馬のように走らないといけないんですが、5つも6つもの仕事を常にジャグリングのように回しながら生きているというのは、脳にだいぶん負荷がかかるはずで、気づかないうちに疲れていたんだなあ、とインフルになってみて気づいたのでした。

じゃあひとつの仕事に集中できたりするのか、といえばそれはまあ、原稿料の単価が100倍くらいにならない限り、無理でありましょう。どんな物書き業者も、いやフリーランスなら誰しも、ひとつの仕事に集中したいと思いつつ、複数の仕事を同時並行で走らせているのが現実なので、そういうものとしてやっていくしかないのですが。

しかしだね、わたしは若干脳の質(たち)にちぐはぐなところがあって、複数のことを同時にこなすのが難しく、昔からいわゆる三角食べができなようなタイプの人間なのですが、そしてそういうマルチタスクの苦手さゆえに普通の就職を諦め、ひとりでできるライター業に就いたわけなのですが、なったらなったでめちゃくちゃマルチタスクが必要とされ、こうしてブログに逃避しているのですから、うまくいかないものだなあと思っております。

2024年2月18日日曜日

怪老人日乗:2月18日(日)

ソフトクリームを食べながらお風呂に入っている人がいたと思ったら、それはひげそりクリームを手のひらに出し舐めている人だったということだ。そのようなことを村の人から聞いた(超遠野物語)

というわけでなんとなく日記を書き始めてしまったが、今日はあまり仕事が捗っていない。やるべきことを裏紙に書き並べ、あみだくじをつくって優先順位をつけてこなしているが、ブログ書きが2番目になったので、こうして日記を付けている次第なのです。

疲れている原因は分かっていて、昨日は神保町の三省堂書店でトークイベントだったのである。ホラー作家梨さんのお相手で新刊『自由慄』について30人ほどのお客さんの前でお話しし、楽しい時間だったのであるが、締め切り明けだったのと解散時間が23時だったこともあって少々くたびれたようだ。『自由慄』は自由慄俳句・短歌からなる連作ホラーで、その裏にあるストーリーや言葉へのこだわりについていろいろうかがった。個人的にも楽しい会でした。それにしても梨さんの人気は圧倒的ですね。ファンの皆さんの熱心なことよ。

Q&Aも含めて無事終了し、22時からサイン会。整理番号順にサインをするのだが、梨さんはついたての向こうでサインをして、書店員さんがそれを手渡すというシステム。面会のようで面白い。私も『影牢』『七つのカップ』や『家が呼ぶ』などに10冊ほど署名しました。お買い上げいただき感謝。よく知る編集さんやXのフォロワーさんも参加されていた。

そんなわけで今日は少しくぐったり。また温泉にでも行きたいところだが、原稿あるのでぐっと我慢の子で、部屋で原稿をやっているのであります。

縄飛びをしている人がいて、その人がどんどん地面に沈み込んでいき、ついには見えなくなったという。そのころ地球の裏側のアルゼンチンでは人間の形に土がもりあがり、みんなびっくりしてその前に店を建て、商店街として発展したということである。これはボルヘスもびっくりして、シェーのポーズを決めたということだ。ということを昔、古老から聞いた(超遠野物語Z)



2024年2月13日火曜日

怪老人日乗:2月13日(火)

なんだかねえ、と唸っているうちに2月も半ば。おっそろしいことである。世間では皆さん確定申告の準備を始めているようだが、私は3月半ばになるまで着手しない。ぎりぎりでもいいならぎりぎりでいいじゃないか。

3連休は原稿ひとつあげたのみ、もうちょっとあれこれ進めたかったが、まあ現実はこんなものか。天気のいい連休で、バイクでどこか遠乗りでもしたいところではあった。しかし時間がないのでぐっと我慢である。奥さまは調子よく豚を見に行ったり(いなかったらしい)文明堂の直売所に行ったりしていて、今はすっかり私よりバイク暮らしを満喫している。

連休初日、あまりに体がボキボキだったので日帰り温泉施設に行く。原稿を書いてはお湯につかり、出てはまた本を読んで、というミニ湯治生活である。これを毎日続けると確かに健康にいいかもしらん。本を読んでいると血行不良になるし、目の使い方がうまくないのか、頭が痛くなってくる。その都度お風呂に入れるから、文章書きの生活と湯治の相性はとてもいいような気がした。下手にファミレスなんざ行くより安いから、またちょいちょい仕事しに来よう。

この3日間本は買わず。古本も届かずで平和だったが、しかしもう文庫の棚がいっぱいだ。なんとか増えた分を減らす努力をせねばと思う。昨日のおやつは文明堂のカステラ。直売所でしか売っていない、焼きたてのカステラというのがあるんだそうで、それをいただきました。あと近況としては一旦やめたアマゾンのオーディブルに再加入した。ちょっとした移動の時や家事の間に本を読める(聞ける)のはとても便利だ。すすんで手に取らない作品を聞けるのもいい。

2024年2月9日金曜日

怪老人日乗:2月8日(木)

もう木曜日ではないですか。なんか今週は前半バタバタで妙に早かった気が……。というわけでふり返ってみますが、月曜日は大雪。2月の降雪は東京では数年に一度ありますが(226事件を思いだそう)去年が降らなかったので、ずいぶん久しぶりに雪景色を見たような感じ。昼頃から降り始めて、夕方には結構積もっていたが、そんな日に限って外出の用を入れていたのだった。

浅草橋のワインバル的なところにて作家の緑川聖司さん、黒川裕子さんとご飯会。緑川さんが打ち合わせのため上京されたので、食事しましょうと黒川さんが誘ってくださったのである。お二人はいうまでもなく『てのひら怪談』の参加作家で、そのお礼も直接お伝えしたかったので大喜びで出かけたわけです。

同じ出版業界で生きているといっても、児童書の世界のことはまったくといっていいほど知らず、いろいろと興味深いお話が聞けた。あとはホラーの話。黒川さんが異様なほどホラーが好きで、Netflixとアマゾンプライムのホラーはほとんど全部見てしまった、という猛者で、そういう話をする。たのしくお話しして、ヤドンのぬいぐるみも見せていただいて外を見ると、おお積もっている。21時頃散会。

総武線は幸いまだ動いていたが、西武池袋線がやはり遅れている。電車に乗って待つことしばし、のろのろ運転で動き始めた。と思ったらゴン!とそれなりに大きい音と衝撃があって、電車が止まった。「倒木~倒木~」というアナウンス。そうか、倒木駅に着いたのか、と思ったが違うようだ。雪で倒れてきた木(そんなことがあるのだな)に乗り上げたようで、それを撤去する作業で15分ほど停車。しかし脱線などしなくてよかった。帰宅して22時すぎ。

さて、そのまま風呂に入って寝たいがそうもいかないのが人間社会。原稿書きを深夜までやる。好書好日のインタビュー。火曜日も早朝からその続きをやって午後まで。昼過ぎに家を出て、浜松町のあたりでお仕事。慣れない場で少しく疲れたが、まあ珍しい経験であったよ。帰宅してそのまま原稿書き。

で水曜日、じりじり書き進んでいた原稿完成。先方に送ってすぐに護国寺方面へ。長めの取材×2つ。詳細は追ってということにいたしますが、責任重大なお仕事でした。その後の食事会にも参加し、いろいろ食べて、ぱくぱく食べて、ワニの話をして、おみやげまでもらって帰宅したら23時前。こっから某誌の原稿書きと今日が期日の入稿作業……をする元気はさすがになくて寝ましたね。

木曜の早朝にやろうと思ったけど、起きたら7時。うーん、少し入稿が遅れる旨連絡してせっせとやって終わったら昼。ほっと一息入れて、昨日の取材現場でもらったサンドイッチでお昼。録画していた午後のロードショーの『アナコンダ対殺人クロコダイル』を見る。ああ楽しかった。どっちが勝つんだ、と思いながら見てのいたら、最後に蛇が爆発した。ヒーッヒッヒッヒと片目片腕片足の丹下左膳海外版みたいな男が、大笑いしているシーンの間が不気味でなんかよかった。午後は疲れて寝る。あまり仕事はせず。この日記もアップする前に寝てしまったのだった。




というわけで金曜日なのでした。メール返信あれこれしていたら昼じゃないの。メール返信とか事務作業のところをまるっと抜かして、純粋に原稿書く時間が10時間くらい毎日ほしいよなあ。だから忙しい作家さんはマネージャーを入れたりするんでしょうね。


2024年2月2日金曜日

怪老人日乗:2月2日(金)

そういや最近ブログを書いてなかったなあ、と思い立って戻ってきました。みなさん好きな食べ物はなんですか。といきなりキリストかモーゼみたいなでかい発言をしてしまいましたが、わたしの好きな食べ物はですね、ざっとあげてみますと、落花生、あずき、くるみ、コーヒー、南部せんべい(ピーナッツ入り)、大福(粒あん)、おはぎ(粒あん)などでありまして、結局私は「豆」が好きなんだなあ、ということに思い至りまして、モーゼもびっくりでございますね。というわけで明日は節分ですよ、節分の豆も結構好きです。

じゃあそれ以外に好きなものはないのか、といえば普通にご飯とかも好きですが、豆は食べるのが面白いというのもありますね。なんか形が面白い。口に運ぶという動作も面白い。すべてが面白い。アハハハハハハハ。

というわけで、日記を付けてみるのだが、ええとだな、この1月後半はいつになくのんびりしていたような気がする。というのも普段なら締め切りがギュッと詰まってきたり、取材がグワッと入ってきたりするのだが、あまりそういうこともなくてですね、書き下ろしの作業に少し時間を使うことができたからだ。合間合間で細かい対応があり、いろんなメールを返信したりしていたが、おおむね落ち着いて作業ができた気がする。

昨日、一昨日は取材2連続で、あとは7日に取材が立て続けに2件。そのあたりの原稿をざざざとやりながら、合間に企画Aと企画Bを差し挟んでいくというのが2月序盤のスケジュールということになろう。

その他ですね、何か面白い話題はなかったかな。朝ドラの『ブギウギ』を毎日楽しく見ております。主演の趣理さんの演技がいいのよ。これまで朝ドラはそれこそ『おしん』くらいしか見てないというか、何なら『おしん』も見ていないんですが、説明過多でない脚本、俳優の演技に大事なところを預けているような演出が好ましく、もともと好きな芸事の世界の話ということもあって、とても面白いですね。女性は基本、小倉優子にしか興味がないのですが、趣理さんはそれとは違った意味でとてもよいですね。


2024年1月22日月曜日

怪老人日乗:1月22日(月)

今日は朝から都心仕事へ。さすがの西武線も混んでおり、地球にはこんなに人がいるのかと怯える。南無阿弥陀仏。飯田橋に着いて編集作業すこし。そのまま出先で書き下ろし(企画A)。集中してやった割にはあまり量は書けず。しかし着実に進んでいるので気持ちがいい。前書きを書くまでに3年かかるってどういうことだ、と思うが思考が近視で乱視の私としては、ピントが合うまでにそれだけかかるということなのだろう。

池袋ジュンク堂に寄って恒例の新刊チェック。『アーサー・マッケン自伝』など気になるもの、必要なもの3冊買ったらそれだけで1万。他にもいくつか欲しいものあるが、まだ小遣いをもらったばかりである。いきなり金欠になるものイヤだったので先延ばし。これはいよいよnoteを始めるしかないかと思う。それと今年は動画もやっぱりやろかなあ、と思う。

復活した『映画秘宝』を読んでいたらネットにおける「映画語り」の時代にどう向き合うか、という小特集があって、その中で切通理作氏が、雑誌のレビューはしばらく経つと参照されなくなるが、ネットの記事はいつまでも現在形として残り続ける、ということを書いていて深くうなずいてしまった。

私は世代的に紙媒体とネット媒体のちょうど過渡期を生きてきたライターで、仕事量も紙が半分、ウェブが半分というバランスであるが、ここに指摘されているようなことは痛感していて、同じレビューでも紙にしか載らないものは(いかに数十万部売れているという週刊誌であっても)「点」や「面」ではあっても「線」ではないというのか、時間の経過を超えてまで読まれることは難しい。もちろん図書館などに行けば読めるのだが、そういう話ではなくて気楽に参照されうるかどうか、という話だ。

じゃあどうするのがいいのか。幸いわたしはウェブの連載をやっているので、そのあたりは恵まれている環境にあると思うが、媒体任せというのもなあという気がしないでもないので、自力でウェブに出せるものは出す。プロモーションの意味合いもあるが、やはりホラー小説の新刊情報や基本的な事柄が、カジュアルな場(検索してすぐ出てくるところ)に置かれていることの意味は大きいように思うのだ。

私がSNSを始めたのは、前にも何度か書いているが某ビジネス書の作家に取材した際に、「ツイッターやフェイスブックにいない人は、自分にとって存在しないも同じだ」と言われたからで、そんな阿呆なことがあってたまるかと内心思ったけれども、それまで避けてきたSNSを始める踏ん切りがついたのはその言葉のおかげなので、まあ感謝はしているのだ。

でツイッターを始めて5年、この間にネットをめぐる環境も変わったし、レビュー的な事柄のメインが少しずつ文字から動画の時代に移ってきているような気もするので、そっちにも少しずつ慣れていかねばいかん。もちろん合う合わないはあるのだろうが、まあやってみないことには分からない。というわけで色々新しいことを始めたい気分の1月なのだった。

帰宅したら古本届いている。今月だけで何冊本が増えたやら、考えたくもない。夜はさらに企画Aの続きと、なんとなく時評原稿の準備。お夕飯は鯖の焼いたので、角上魚類のお魚なので新鮮で旨い。多摩地区の人間はみんな大好き、角上魚類。

2024年1月20日土曜日

怪老人日乗:1月20日(土)

土曜である。ドードー鳥である。昨日は2時くらいまで起きていたので、今日はなんだか眠いのさ。このところやたら早起きすることはあっても(4時起きとか)、夜更かしすることはほとんどなかった。若い頃は朝まで起きているのが普通だったから、まあ体質って変わってくるのですね。そのうち早朝の暴れん坊将軍を楽しみにするようになるのだろう。

さて今日も変わらず仕事である。書き下ろしの作業がある限り、仕事のない日というのはしばらくなさそうだ。企画Cもいよいよ動き出し、こちらはこちらで書く分量がそれなりにあって、それと併行して企画A、企画Bを進めないといけない。そんなわけで昨晩は依頼をひとつ断ってしまった。やりたかったが、まあ、仕方あるめえ。

さてさて、昨晩はお仕事関連のツイート。『実録!世界オカルト音楽大全』1&2の発売について正式リリースがあったので、それに関連していくつか投稿した。このアルバムはベルギーのレーベルから出ているアナログ盤のCD化で(CDは日本盤のみ)、交霊会だのポルターガイストだの悪魔憑きだの悪魔主義者の儀式だのコンタクティの歌と演奏だの、そういったオカルト的な録音をずらりと並べたアンソロジー。私は解説を執筆している。ディスクユニオンのプログレ隊長にしてオカルト部長のNさんとのお仕事。CDのライナーノーツを書くなんて、ロッキングオンの編集者みたいやんけー、と思いながらせっせとオカルト情報を盛りこんだ。





今日は午前中、下水道の掃除と床下点検の業者さんがやってくる。台所の点検口から床下にもぐっていき、すごいなあ、あんな狭いところに潜るんだなあと感心していると、やがてウッとかアッとか苦しそうな声が聞こえてきた。苦しいんだ……。挟まって大事故にならなければいいが、と心配していたが無事生還。プロはすごいものだ。床下に湿気がありますよ、と言われたがリフォーム工事の類は詐欺も多いと聞くので、さいでっか、サイデンステッカー、と曖昧な返事をしてお茶を濁す。

午後仕事。たまっていたメールの返信やっと終わり、さて書き下ろしの作業に戻る。今日は寒いのでおやつはお汁粉に。なんか普通の日記ですね。もっと竹藪が歩いたり、人形の脳天から血が噴き出したりしないのかしら。しないんですねえ。日常というのはつまらないものなんです。あなたの後ろに建礼門院の霊が……。



2024年1月18日木曜日

怪老人日乗:1月18日(木)

あっという間にすぐに沸く、というのはティファールの宣伝文句だが、あっという間に死体に蛆が湧いたらこわいなと思った。なんでこんなことを書いているんだ?疲れているのか?

というわけで怪老人日乗でございますが、一昨日は終日原稿書き。なかなか考えまとまらず、スマートフォンをぽちぽちと打って400字ずつ進める。農耕的というか、ブロックを積み重ねていくような作業。半分までやって夜になる。このまま書き進めばなんとかなりそうだが、一旦止まれという指令がどこかから出ていて、休んだ。

で昨日は朝から原稿続き。また頭から書き直し、いい雰囲気に流れてきたところで外出の時間。14時から護国寺で打ち合わせ。今年から動くことになっている某企画について。今後こちらを企画Bと呼称しよう。一方、数年来出せ出せといわれているものを企画Aと呼称します。で企画B、内容も固まってきてもう一息という感じ。社内の企画会議も通過したし、手土産までいただいてしまったので、もう逃げることは許されない。2時間ほどしゃべって無事終了。

ところで打ち合わせでは読者層の確認を兼ねて「朝宮さんの読者って、ゴスロリの人が多いんじゃないですか」みたいなことを尋ねられたが、いやいや、それはないだろうなと思う。耽美的な方は私に興味がないだろう。夜な夜なワニ絵を描いたり、怪老人日乗を書き付けたりしている人間は、ゴシックというよりただの……変人……。

打ち合わせ後は飯田橋に移動して、某社でせっせと文庫解説書き。じりじりと書き進め、最後までなんとか到達したら20時。そのまま編集部で某誌編集作業を片づけ、終わって帰宅したら23時だった。タンメン食べてお正月に録画したNHKの演芸番組をすこし見て寝る。

して凶、じゃない狂、じゃなくて今日。9割方終わっていた文庫解説を整えて送信。ふう、これでなんとか肩の重荷がおりた。このままだらけてしまいそうだったので、というかすでに半分だらけだしていたので、あわてて外出。バイクに乗ってショッピングモール内のファミレスっぽいところへ。お昼を取りつつ書き下ろしの作業を進める。これまたぽちぽち携帯を打っているので、遊んでいるようにしかみえない。古本3冊買って帰宅。

というわけで現時点までたどり着きましたが、まとめると今年前半は企画Aと企画Bと、あと昨年末に打診があった企画Cとがほぼ同時に動くことになり、ただでさえのろまなローラーである私としてはすでに「オーノー!オノヨーコ!」という叫びが洩れそうになっているが、神がかった気分でがんばらねばなりますまい。私は下積みの長い演歌歌手のようなライターなので、すこし世に出たあたりでもう爺さんになりつつあるが、側転しながら川辺を駆け抜けていきたいと思っている。ちなみに側転はできない。名前もまだない。喝!

2024年1月15日月曜日

怪老人日乗:1月15日(月)

怒濤の英語力、というのは某宗教団体系の学習塾・みすず学苑のキャッチコピーだが、先週はいうなれば「怒濤の締め切り力」であった。

先にも書いたと思うけれども3連休明けの9日あたりに締め切りが押すな押すなの大行列で、ファミリーコンピューターのカセットを買い求める小学生のように、ハローマックの入り口に密集していたのである。おそろしいことであった。こういうといわゆる忙しいアピールのようだが、そうではなくて、お正月休みの間に終わらせておけばよかったのにまったく終わっていない、夏休み最終日の子どものような生き方は一生変わらないなあと痛感しているばかりなのだ。

これも何度か書いているが、大学の何かの授業(いわゆる大教室での一般教養で内容は覚えていない)で教授が「夏休みの宿題を最終日まで溜めておく人がいますね。ああいう人は、一生そうなので覚悟しておいてください」と不吉なカサンドラ的予言をしたことがあり、「なんて夢のないことをいう大人なんだ」と当時はぶつくさ思ったものだったが、あの人のいうことは正しかった。私は四十路となってもいまだに夏休み最終日の子どものような暮らしを送っている。

というわけで怒濤の締め切りを火曜から毎日ひとつ書き上げるペースでこなしてきたが、土日にいたって気が緩んだ。「走れメロス」ってあれテーマが友情だとかなんとか言われてますけど、私は締め切りに追いまくられてる時の危機的心理を描いた話だと思うんですよね。うわあもうアカン、脳から血が出そう、というぎりぎりの苛烈な状況がある一方で、ふいに時間が停止したような「もう、なんかいっか、寝るか……」みたいな空隙が訪れることもあり、メロスもめちゃくちゃ急いでるはずなのに酒飲んでごろ寝したりしているし、あれはそういう話なのだと思う。でこの土日もメロスのごろ寝になりまして、いや、やってはいたんだけどひとつしか原稿仕上がらず。ふたつ仕上げるつもりだったのだがなあ。

日曜は少しだけ気晴らしに外出。バイクで少し走る。行く先はでかいホームセンターなので夢がないドライブであるが、わたしはホームセンターが好きなのでまあいいのです。たき火グッズなど眺めてコーヒーを飲んでたら、子どもを連れて出かける時間になって慌てて帰宅。

夕方から茶道教室。ちなみにうちの子の行っている茶道教室、うっすら国粋主義的な主張のあるところで、先生はいい人なのだが「日本人でよかった」的なポスターががんがん貼ってあり、足を踏み入れるのがちょっと怖いぜ。

お風呂では『蛮人コナン』を新紀元社の全集で読む。お風呂タイムはこのところ、手あたり次第に積んでる本を読んでいるのだ。ネットではホラーと小説の相性が悪いみたいな発言がバズって、大勢のホラー関係者がホラー小説擁護の論陣を張るという感じになった。相手にしない方がいいという人もいるが、しかしそれを真に受けてホラー小説を軽くみたり、ホラー小説の創作を諦めたりする人が出るとしたら問題なので、きっちり反論するのは大切なことだと思う。南無阿弥陀仏。

そんなわけで月曜となりました。急ぎの仕事は残り2つ半。半というのは昨日提出した原稿で、「余力があれば別バージョンを」と依頼されている分。これは楽そうだから先にやってしまおう。というわけでコーヒー屋に来て、逃避して日記つけているんだから世話ない。



ツイッターに上げた書庫の写真をカラーでこちらに載せておこう。目をこらせばタイトルが読めるかもしれません。

2024年1月10日水曜日

怪老人日乗:1月10日(水)

あっという間におとそ気分が車窓の彼方にぶっ飛んでいき、周囲にあるのはただただ日常。いや、町中に行くと冬物バーゲンなどやっているので、そのあたりはまだ冬休み気分ですが、仕事のうえではすっかり2024年始動という感じでありますね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

さてこちらは3連休明けに〆切が集中しており、その数7ツ。まあできるわけがないので順にやっているが、そんなわけで早朝から動いている。前にも書いたかもしれないが毎月、月初(2週目の前半)は某月刊誌入稿とレギュラーの〆切が重なって忙しく、今月はそこに不定期の仕事がいくつか載っかってきた状況。まあなんとかなるべえ。

昨日(9日)はそんなわけで朝からコーヒー屋を転々。3軒まわって原稿を書き続ける。ほぼほぼ入稿作業で潰れてしまって、2ツ目(CDのライナーノーツ)の仕事にかかれたのが夜になってから。すさんだ気持ちになって服を1枚買う。忙しくなるとお金遣いがなんか雑になってよくないね。

帰宅してお夕飯食べ、お風呂ではウェリントン・デイヴィッド『妄想感染体』読む。スペースコロニーが舞台のホラーSFで、まだ序盤だがバババババーっとロボットが3Dプリンターみたいので成形されていくシーンが面白い。人物配置などはオーソドックスな感じで、このままエンタメ路線で突っ走るのかな。どこまでホラー色が強いかが楽しみなところです。

ところで、前から少し思っていたが、noteに書評を書こうと思っているのだ。好書好日では毎月末、その月の新刊を4冊ほど取り上げて紹介しているが、編集部から「統一したテーマを設けてくれ」と言われているので、「家」とか「動物」とか頭をひねって多少なりともキャッチーなテーマを設けて紹介している。すると当然、そこから洩れてしまう本は紹介できないわけで、それをなんとかしたいなあと思っていたのでした。

どこかの媒体でホラー時評の連載でもできないかな、と思っていたが、新しい〆切が増えるのも負担だよなあ、今でも手一杯だし、というのもあり積極的に働きかけてこなかったのだが、なんのことはない、noteという手があるじゃないですか。書くだけならこのブログでもいいんだが、ここは主にくだらないことを書く場になっているし、noteは記事を有料にできるので、商売としても成立する(かもしれない)。

あとオープンな場の書評だとどうしても「これは……いかがなものか!」というマイナス評価の話はしづらいもので、そういうことも書けるからいいんじゃないでしょうか、とも思っている。それが今年の目標ですかねえ。早ければ1月から始めたいところ。

さていつもお仕事をご一緒している凄腕カメラマン、有村蓮さんから写真を送っていただいた。取材現場でのテストショットだが、偶然にも背景と服の色味がサイモン・ペッグの映画『変態小説家』のポスターにそっくりで、おれは変態なのか、と思った。