2017年5月29日月曜日

お風呂で読書 (第1回)


風呂で読むのにぴったりの本は何か?


それがここしばらく私の頭を悩ませている天下の一大問題である。
気ぜわしい日々を締めくくる夜のリラックスタイム、入浴。
多くの本好きの例にもれず、私は浴室に本を持ちこむことにしているのだが、さて、この風呂で読む本のセレクトというのが難しい。


お風呂に入ろうと思ってからたっぷり5分。半裸のまま書棚の間を徘徊して、本の山をどけたり崩したり。これでもない、あれでもないと、リラックスするためにたいへんな汗を流すことになる。
この悩ましさ、何かに似ていると思ったらあれだ。旅行先に持っていく文庫本を悩むのに似ているのだった。「NO、これじゃない!」と思っても交換できないから、毎晩が真剣勝負である。


そんな感じで悩んでいるうちに、これはお風呂向きじゃないなという本の系統が少しずつ明らかになってきた。
たとえばシリアスな純文学系は緊張するから国内外を問わず×。
人文系の評論・研究書も頭がこんぐらがるので避けたい。
ではエンタメ小説ならいいのかといえば、そうでもない。新しい物語に入りこむには意外とパワーが必要なのだ。
仕事の資料やゲラももちろん×。
好きな作家や普段なら積極的に読もうという気になる本(たとえば海外のモダンホラー)でも、「風呂場」という関所をなかなか突破できないのが面白い。


じゃあ、どんな本ならいいのか。
具体的にここ数日、お風呂で読んだ本を思い返してみる。


●5月28日(日):田中真知『理想郷シャンバラ』(学研)

中央アジアに存在するとされる理想郷シャンバラについて述べた本。レーリヒ、オッセンドウスキー、ヒトラーとこの手の本に出てくる話題をコンパクトにまとめており、今読み返しても良書。チベット仏教僧侶2名へのインタビューも貴重。




●5月27日(土):矢追純一『これが宇宙人(イーバ)との密約だ』(KKベストセラーズ)

この頃は楽しかったなあ。UFO研究史においてMJ-12関連の出来事というのはまあ、ひとつの大きな迂回路だったのだろうけども、UFO墜落、宇宙人による誘拐、家畜虐殺、政府と異星人の密約、という都市伝説みたいな情報がゴロゴロ出てきて、1980年代末期のUFO本は一種あぶない面白さがあった。
そう思ったのは大人になってからで、小学6年当時はわけが分からないまま市立図書館でドキドキしながら借りていたのですが。この本は「イーバ」という響きが、実に禍々しくてよかったね。
 



●5月27日(金):リチャード・C・ホーグランド『〈火星〉人面像の謎』(二見書房)

1976年、アメリカの火星探査船バイキング1号が撮影した、いわゆる「火星の人面岩」に関するノンフィクション。これも好きだったなあ。宇宙空間を見上げる巨大な人面の大岩、というSFチックなビジョンにたまらなくワクワクさせられた。
初版が1990年だから、上記矢追さんの本の1年後。MJ-12と人面岩はほぼ同時期のブームだったんですね。そういや、人面魚とかも同じ頃か。




うーむ。
地底王国シャンバラにMJ-12、火星の人面岩……。新書版のオカルト本ばかりではないか。
これだと「風呂で読むならオカルト本」という普遍性のなさすぎる結論が出てしまう。入浴時にぴったりの本を探り当てて、ビジネス書を書いてベストセラーにするつもりでいたのに……。


ほかに共通項をさぐるなら「どれも古本屋の100円ワゴンで売ってそう」ということだが、そこはたぶん関係ない。おそらく重要なポイントは、どれも再読本であるということだろう。だいぶ前に読んで面白かった記憶はあるものの、内容をよく覚えていない本。
もちろんそれ以外にも新書版であるとか、さらっと読みやすい文体で書かれているとか、途中でやめても先が気にならないとか、いろいろ要因はあるだろう。


果たして風呂で読むのにぴったりの本は何か?
これからも折に触れて研究していきたい。



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