今みたらもう凍結されていた。通報してくださった皆さんのおかげである。しかしXの投稿、いつも私は意味のわからないことばかり書いていて、それが個性というか、偽物との違いを見分けるポイントになるのだから、何が幸いするか分からない。「こんなにまともな投稿をするのは本物のわけがない」というロジックで、どうにもこうにもブルドッグである。
さて帰省日記の続き。浪月堂で『私は呪われている』を買った後、電車に乗って五稜郭まで。と思ったのであるが、面倒になってきて歩くことにした。昔は柏木町から五稜郭、遠いなーと思っていたのだけれども2、30分くらいである。東京で暮らして歩く習慣ができたのもあるし、大人になって距離感が縮んだというのもある。ともあれ歩いてみようと思った。柏木町から五稜郭、というか繁華街の本町ですね、までは耳鼻科に行くためによく通った道である。わたしは中耳炎の持病があって、吸入したりするために耳鼻科に週何回か通っていたのであった。低学年の頃は母親と行き、10歳くらいからは一人で自転車で通った。小さい頃は帰りに電車通り沿いの商店で20円のがガチャガチャを買ってもらうのが楽しみだった。その昔ガチャガチャの定価は100円であったけれど、安価な(どこか偽物くさい)20円のガチャガチャもあったのです。
そのようなことを思い出しながら五稜郭まで歩く。このあたりも通学路であり、高校の圏内でもあるので見慣れた景色だ。遺愛高校という女子高校が電車通り沿いにあるけれども、ここは『夢野久作の少女地獄』という映画のロケ地だったりする。あの映画、全編函館ロケで(原作は「少女地獄 火星の女」)初めて見たときはびっくりしたものだった。市電の運転席に上半身裸の女性が乗っているのだ。確か。
五稜郭にきたら丸井今井に行く。市民がいうところの「丸井さん」で有名な地元百貨店である。子供の頃、親が買い物するといえば丸井さんか西武で、どちらにも本屋があったので、買い物している間立ち読みして待っていた。そしていつも1冊本を買ってもらって帰った。そういうことを思い出しながら丸井さんの本屋に行く。今は栄好堂という書店が入っているようだ。行ってみるとこれが立派な書店で、ちょっとしたジュンク堂くらいの規模がある。漫画も文庫も単行本も多く、翻訳ものもしっかり取りそろえており、人文書も多い。函館出身作家コーナーがあって、わたしの『日本ホラー小説史』『現代ホラー小説を知るための100冊』も積んでくれていた。ありがたいことなり。レジの方に許可を得て撮影する。
せっかくだからもうちょっと散歩して帰ろう。高校(函館中部高校)のあった方に歩き、電車通りの店並みを眺めた後、中央病院前から電車に乗る。さすがにちょっとくたびれた。函館駅前を越えて十字街まで。このあたりはいわゆるみんなが想像する函館で、教会があったり海があったりレンガ作りの倉庫があったり函館山ロープウェイがあったりというエリアになるのだが、私の実家は観光地と遠いので、あまり普段の生活と繋がりはない。だから心理的な距離も遠く、函館に住んでいた18年間は初詣のときと、どこか遠方からお客が来たときくらいしか行かない土地だったのだが、あらためていってみると美しい街並みで、神戸や横浜ともやはり似ているのだけれども、そこに漁港感と寂れ感、錆び感が相まって、北国の潮風が吹きつける荒涼とした厳しさもあって、なんともいい感じである。
十字街には函館工芸舎という素敵なお店がある。器とか工芸品とかを扱っているセレクトショップで、とてもいいものが並んでいるのだ。そこで家族へのちょっとしたお土産を買い、Xのフォロワーさんに教えてもらった古本屋さん(庶暮書房)も覗いて、岡崎武志『読書の腕前』(光文社新書)を買う。せっかくここまできたら海を見てかえろう。西武地区、つまり赤レンガの倉庫があって海が見えるあたりまで歩いていき、目の前に広がる海にうわーっといい気持ちになった。以前はなかった新島襄のブロンズ像ができている。私は同志社大学出身なのであるが、函館に住んでいる頃は、ここから出国してアメリカに渡った新島襄のことなんて1ミリも意識していなかった。不思議なものである。
電車に乗って帰宅。父と母と肉じゃが、イカ刺しなど食べながら、日本ハムとソフトバンクの試合を見る。あり得ないミスの連続でチャンスをふいにしていたのが日ハムらしい。仕事しようかなあと思ったけれども疲れて10時すぎには寝てしまった。岡崎武志『読書の腕前』おもしろし。
そうこうしてたら東京に戻る日となる。午前中はトランクに荷物を詰めた後、近所を散歩。「ボンゴ豆」という北海道にしか売っていない豆菓子がある。落花生に衣をつけて甘辛くあげたような、まあ「でん六」とかに似たようなお菓子なのだが、ボンゴ豆は他にはない美味しさで、豆好きのわたしはこれに目がないのだ。でセイコーマートにあったはず、と思って歩く。最寄りのセイコーマートは昔通っていた中学校のそばにあり、これまたノスタルジーな散歩となった。ところでセイコーマートにボンゴ豆は見当たらず、昔は不良の巣窟だったタコ公園を眺めてただ帰る。
お昼頃、母に空港に送ってもらって今回の帰省は終了。実家の老犬は思ったより元気そうだったし、父もまだ仕事を続けているし、母もあれこれ充実していそうだ。不肖の長男としてはほっと一安心、なのであった。空港には離陸の3時間くらい前に着いてしまったので、ラーメンを食べたり、お土産をゆっくり選んだり、電源のあるテーブルで仕事をちょっとしたりする。空港に来るのはいつも出発ぎりぎりだから、こうやってのんびり過ごすのは珍しい。



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