2023年2月19日日曜日

怪老人日乗:2月19日(日)

荷風の『断腸亭日乗』は近代日本の文化風俗を知るうえで一級の資料とされる。ではこの怪老人日乗は? 平成・令和のどうでもいいエピソードを知るうえでの、実にどうでもいい感じの資料となることであろう。南無阿弥陀仏。

さて金曜日は対談に行ってまいりました。最近は書くのみならずしゃべる仕事が多少入るようになってきまして、自分のようなインチキな人間がこんなことをしていいのか、虚業に浮かれているではないのかと不安・羞恥を覚えたりもするわけですが、世に求められるのはありがたいことであります。飯田橋の某版元にて某ホラー作家氏と対談、2時間ほど。先日もお会いしたばかりの慣れた方ですし、終始濃いホラーな話ばかりで大変楽しうございました。

ところで資料として関連本を十五冊ほど持って歩いていたが、もう重いのなんの。グラニフでもらったトートバッグを使ったが、マチがなくていまいち使い勝手がよくない。早く国書刊行会50周年記念のトートバッグを入手しなければと思った(うちに帰って注文した。アマゾンだとなぜか1000円ほど安い)。

対談終わってまだ時間早かったので中野で古本チェック。めちゃくちゃ荷物が重いのに、まだ本を買ってしまうという。藤原審爾『妖怪の人間狩り』という狸小説のようなものを買う。あらすじ、目次などなくて結構あやしげな作りの本なのだが、あとでツイッターを見たら深堀骨氏が詳細な紹介を書かれていて「あ、買って正解だったやつ」と思った。




そのほか、東雅夫氏の『クトゥルー神話事典』など。同書の学研M文庫版はおそらくすべての改訂版を所持しているはずだが、初刊の単行本はなんとなく買い逃していた。情報量の多さでいうと文庫版なのだが(クトゥルー神話作品の創作・邦訳が増えるにつれて年々改訂されていったから)、初刊本は若き日の東さんの著者近影が載っている、というだけで手元に置いておく価値がある。恐竜型の電話機、おれもほしい。しかしこの頃の東さんはいかにも白皙の天才青年という感じであって、万事胡乱な自分との差を感じる。

妙に混んでいる店でお昼食べて「中野は混んでいるなあ」と平凡な感想を抱きつつ帰宅。池袋で新刊チェックもしたかったけれど、荷物が重すぎて無理。外が明るいうちに帰宅するなんてずいぶん久しぶりで、家族にも驚かれてしまった。部屋にこもって解説書きに取りかかる。土日でなんとか目処をつけなくては。

さてツイッターを見ていると、世間にはイラストのうまい人が多く、私からみるとみんなプロのようだが、一方私はめちゃくちゃに絵が下手で、小学1年からまるでレベルが向上していない。数日前、ふと思い立ってペンタブを用いて絵を描いてみたら、これがまた例によって例のごとくの画風だったので、なんだか楽しくなってきて、これからもちょいちょい絵を描いてネットにあげていこうと思う。将来はちいかわのようなヒット作を生んで、不労所得で暮らしながら、温泉旅館で謎を解きたい。南無阿弥陀仏。




今日は19℃まであがる由。春近し。隣は何をする人ぞ。彼は何もしていない。なぜならもう死んでいる。

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