2023年1月28日土曜日

怪老人日乗:1月28日(土)

今日は何の日でしょうか。すぐ検索するのは現代人の悪いクセなので、ここは頭をひねってみましょう。1+28は29、2+9は11で、1+1は2。ということは忍者の日!かもしれませんね。よく知りませんけど。この手の知恵を使った遊戯は苦手なので、自分で話を振っておいて何ですが、さっと流すことにいたします。

また土日がやってきました。土日はいろいろ世間が止まっているので、この間に原稿の遅れを取り戻すことができ、また催促なども滅多にこないので、心が安らぎます。安心しきって気分が緩むこともありますが、まあ多少はいいでしょう。ウィークデーはずっと借金取りに追われて下北半島まで逃げているような暮らしなので……。なぜこんな暮らしになったのか……。働きたくないから今の仕事に就いたのに……。

まあそんな生活の中にあっても喜びを見いだす男、それが私であります。ええとですね、昨日(27日)は明け方に起きてゲラ確認。『人間レコード 夢野久作怪奇暗黒傑作選』がすべて手離れ。あとは発売を待つばかりとなりました。

この久作選集の成り立ちについてちょっとお話ししておきますと、角川文庫の担当Yさんから「久作の本を出せないか」と打診を受けたのが昨年の晩秋。しかし角川文庫からはすでに多くの久作選集が出ているので、今さら「ベストオブ夢野久作」みたいな本を出しても、それらとの差別化が難しい。というのと『空を飛ぶパラソル』『人間腸詰』が復刊されて好評を博していたこともあって、既刊の『骸骨の黒穂』をベースに新たな久作選集を編みましょう、という方向でまとまりました。

『骸骨の黒穂』をそのまま復刊するのは、やはり差別語問題などで厳しい。とはいえ表題作だけ差し替えるのもつまらない話なので、だったら半分ほどを入れ替え、印象をがらりと変えた別コンセプトの作品集にしようということになったわけです。

「怪奇暗黒」というのは私の方から提示したサブタイトルで、澁澤龍彦の『暗黒怪奇短篇集』の響きとテーマをまねたものですが、どういう地軸のねじれが起こったのか、こちらの提示した「暗黒怪奇」がゲラでは「怪奇暗黒」になっておりました。ま、いっか。今回の本は「暗黒」、つまり「闇を恋う」人間心理をテーマにした傑作選ということで、面白い本になったのではないかと思っています。買ってね。2月刊の角川文庫です。

いやあ、しかし昨日一昨日は忙しかった。好書好日の時評原稿を集中して書いて、金曜になんとか送信し、そのまま電車に飛び乗って飯田橋。金曜夕方までに済ませないといけない某月刊誌の作業があり、冷や汗を流しながらそれに打ち込み、終わったら19時。

奥さまから「文鳥の保温電球が切れたので、売っていないか見てきて欲しい」と言われて、ペットショップや家電量販店を見るもナシ。へろへろと帰宅しました。今週は冷たい床で寝たりしていたから、全身の疲労がすごい。元気を出すべくスーパーマーケットで投げ売りにされていた、コカコーラのソウルブラストという缶ジウスを飲んでみたけど、なんじゃあこの味は!そういえば田中啓文に「怪獣ジウス」っていう短編があったよね。

そして今日。起きてネットを覗いたら、某芸能人のウーマナイザーから複数人のDNAが検出されたという報道があり、実はそれが松尾芭蕉のDNAで、そこから芭蕉のクローンが誕生し……というマイケル・クライトンみたいな夢想をしていたらもう午後。各社から届いた支払調書をまとめ、請求書を発行していたら午前が終わっていてので、ぼちぼち仕事に戻りましょう。しかし支払調書をまとめていてつくづく思うけど、原稿料だけでよく食っているよなあ。なんて危なっかしい暮らしなんだ。早くベーシックインカムを導入してくれ。

画像は江差町名物の五勝手屋羊羹です。





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