2022年12月5日月曜日

怪老人日乗:12月5日(月)

ああ、疲れた。肝が冷えた。昨晩は床に毛布を敷き、寝たり起きたりして原稿(いくらなんでも寒い)。朝食後もずっと集中して原稿書き。大きな原稿2つ続けて送る。土日のうちにラフまで済んでいたとはいえ、完成稿を作るのにはそれなりに手間と気合いが必要で、一日ずっと気が抜けなかったのである。ひとつめを2時くらいに送り、ふたつめを夕方5時前に送った。

これで今年の〆切はあと……8個、かな。うち6つが12日までに重なっており、さらにそこから取材が3連チャン。そのあたりが今年最後の山場ということになろう。まずは〆切2つ、取材と入稿という明日を乗り切らなければ。

今日は夕方あたりから冷たい雨。いよいよ一歩も外に出ていない。まだ土日は子供を野球に送ったり、スーパーに買い出しに出たりという用があったのだが。まあ家にいるのが好きだからいいのだけど、いかにも不健康的ではある。

よく自由業の人でも走ったり歩いたり泳いだりしているのを見るが、偉いなあと思いますね。今日なんてお昼があれですよ、ヤマザキのうすかわあんパンですよ。いや、ちょっと嘘をついた。本当はうすかわピーナッツクリームパンです。それをむっしゃむっしゃと食べながら原稿をやっていたので、まあ、あまり誉められた暮らしではない。いや、もしかしたら誉められるのか?ヤマザキとかに。

夕方以降なんとなくホッとして気が抜けたが、まだまだ仕事は多し。食後の休憩で川島のりかず『フランケンシュタインの男』読む。もっとB級テイストなカルトコミックかと思いきや、もの悲しい幻想サイコホラーであった。ラストシーン、主人公が彼岸の世界に行ききってしまう展開は圧巻で、これを描かずにはいられないという執念めいたものを感じる。少年時代の思い出が主人公の一生を左右してしまうあたり、横溝正史の初期幻想ミステリのようでもあり、その過去と現在を繋ぐアイテムがキッチュなフランケンの面であるというのも、薄っぺらいがゆえに生々しくてよい。個人的には大いに好みのタイプのホラーだった。読んでよかった。

90年代後半、この手のホラーコミックは概ねカルト物件としてもてはやされたし、自分もそういう受容の仕方をしてきたところが大いにあるのだが、今回の『フランケンシュタインの男』に資料提供をしているホラーコミックマニアの緑の五寸釘氏がnoteにこう書いていて、いろいろ考えさせられた。

「スカムホラーだなんて蔑称を通じていくら紹介したところで読者の心は動かせないのだと強く思う。その作品に惚れ込んでこそ無上の賛辞が生まれ、人々の心を打つのだ」

90年代的な逆張りの文化、ツッコミカルチャーは何を残したか。サブカル人士として活躍したあの人やこの人のその後の凋落ぶりに思いを馳せるとき、うーむと深く唸らざるをえないのだった。そして思いっきり90年代文化を受容して育った自分にとっても、この問題はまったく他人事ではない。



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