告白してもいいでしょうか。今日はセーターを着ていたのだが、その下にはパジャマが隠れていたのである。私は原稿が差し迫ってくると、日常的なあれこれができなくなるタイプで、つまりひとつのことにしか集中できない、若干精神にポンコツな箇所があるということなのだろうが、家事と原稿書きは両立できない人間なのである。
なのでできるだけお風呂や着替えもしたくない。いや、することに異存はないのだが、そして人間はちゃんと着替えた方がいいのだが、そうするとそこで意識の集中が途切れ、心が「着替え」「お風呂」に向けられてしまうので、原稿が差し迫っている時は、下手にあれこれやらない方が安全なのである。
かようなわけで一日どこへも出ず、パジャマの上に洋服を着るという聖闘士星矢みたいなスタイルで仕事をしていた。今日中に一本、インタビュー原稿送りたかったがどうにもうまくまとまらず。最後まで書くが面白くなし。深夜まで粘るが、寝た方がいいなあと思って諦めた。結局、22時定時あがりなんていうのは夢で、起きている間ずっと書いていなければならない。前にも書いたけど、これ自分が無趣味で外に出るのが嫌いな人間だからいいですけどね、出歩くのが好きな人だったら耐えられないよ。
さて解説を寄稿した斎藤潤一郎『武蔵野』1巻が届く。斎藤潤一郎さんは漫画を読むより先にツイッターをなぜか見ていて、片岡鶴太郎のヨガ画像などを貼るので「面白い人だな、ふふっ」と認識していたのだが(私と同じで浅香光代の台詞もよく呟いている)、ついでに『死都調布』を読んでみたらもう死ぬほど絵がかっこよく、台詞回しもキレキレのノワールで、こりゃすごい、面白いぞと興奮してファンになったのであった。
新作のお散歩漫画『武蔵野』もトーチwebの連載第1回から楽しみに追っていて、べらぼうに格好いい構図とペンタッチ、不穏でおかしみのあるストーリーに胸躍らせていたら、なんと斎藤さんはこの作品を書くにあたって私のアンソロジー『宿で死ぬ』をヒントにしてくださったらしく、それで解説のご依頼を受けたのだった。いやあ、こんなことってあるのだなあ。
で見本をいただいたが、まとめて読むとあらためて格好いい。こんなすごい本に参加できて光栄だ。自分にとって漫画の解説といえば丸尾末広『パラノイア・スター』の高橋睦郎とか、『薔薇色ノ怪物』の遠藤ミチロウのイメージであって、そんな大役担っていいのかしら、という気がしてびびりまくりだったのだが、思い切って書かせてもらってよかった。末代までの宝となった。12月9日発売。哄笑しながら、読むべし。
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