2022年11月5日土曜日

怪老人日乗:11月5日(土)

普通の時間に起床。昨日は0時くらいに寝たので、やっと睡眠のリズムが戻った。しかし人並みに寝たらその分たくさん働かなくては。うーんむ。とりあえず文鳥を見る。家族3人、文鳥の一挙手一投足、というか鳥類に手はないのだけど、に注目してほとんど西洋のアイドル歌手が来日したかのような状態。雛のうちは寒さに弱いらしく、使い捨てカイロを近づけてやる。

さて書きかけの原稿を仕上げよう。たびたび思うことであるが、原稿を書くというのはどんな短いものであっても、1000メートルくらある山に登るとか、20キロくらい歩くとか、息を止めて50メートル泳ぐとか、そういったくらいの苦労があるもので、原稿用紙1枚だからさらさら書ける、ということはない。

いや、これは人によるのでしょうな。知り合いの作家さんは事前に考える時間というのがないそうで、書く時間と書きあがる枚数が比例しており、「だから絵本の仕事が一番楽だ」とおっしゃっていたが、とても私はそうはならない。短いものでもう~んと悩んで、歯を食いしばって、気分を作り上げていくことが必要なので、そんなわけで午前は気合いを入れるのに費やすことが多い。

その間ついインテルネットを見てしまうと時間泥棒になるので、SNSの類は基本ログアウトしているのだが、しかし仕事をするコンピューターと私用のコンピューターが同じなので、さて原稿をやるかと思っても、「あ、あの本欲しいんだった。古本で在庫あるかな」と検索してしまったりして、なかなか本題に辿り着かない。結局、古本1冊買ってしまう。昭和2年に出た本、高いだろうと思ったら900円で出ていた。そんなことじゃ碩学の著者も報われないだろうが、まあ当時の900円というと一財産だろうから許してほしい。

仕事が詰まってくると、どこにも行けないので古本をついバカバカ買ってしまい、まあバカバカといっても私のことだからせいぜい1冊数百円から1500円までだが、塵も積もればエンパイヤーで、翌月「どうしてこんなにお金がないんだ?おまえはどこのワカメじゃ?」と蹌踉と波打際をさまようことになる。

それでも、以前に比べて多少本にお金を使えるようになったのは、引っ越して仕事部屋が快適になったことが大きい。この話は前にも書いた気がするが、以前は毎朝コーヒー屋に出勤、お昼も外で食べて、夕方まで別のコーヒー屋で原稿、という暮らしを送っていたので細かな出費が嵩んでいたのである。

ただ古本購入がネット中心になったのは、楽しい反面味気なさもある。西荻窪に住んでいた頃は、毎日のように3,4軒の古本屋を巡って帰宅していたが、ああいう生活ができる町は東京でももう数少ないだろう。神保町を除くとそれこそ西荻と、三鷹と、吉祥寺と、早稲田あたりだけではないのか。東京に住んでいるならもうちょっとリアル古本に触れたいという気持ちがある。とはいえリアル古書店は積ん読が増えるだけ、という側面もあるので(古書市で買って、結局読まずに売却した本もずいぶんある)まあたまに神保町や中野に行ける、今くらいの暮らしがちょうどよいのかな。


古本好きにはおなじみの、もったいない本舗太郎。同封されてくるこいつのカレンダーを使っている猛者はいるのか?



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