2022年10月27日木曜日

怪老人日乗:10月27日(木)

本日も晴天なり。しかし今年の寒さは厳しいという。嫌だなあ。

よく北海道人だから寒さに強いという誤解があるが、それはまるで事情を分かっていない話で、北海道の家は東京に比べてはるかに暖かいのである。美味しんぼでもそんなシーンがあったが、冬場は家の中で半袖で過ごす人もいる。それだけ家の機密性が高いし、そもそも車でしか外に出ないので、寒さと闘わなくてもいい暮らしができあがっているのである。それに比べて東京は、家の構造自体が寒さに対処するようにできていないから、トイレも廊下もお風呂も寒い。いや、ちゃんと断熱している家もあるんでしょうけど、うちは古家をリノベーションして住んでいるから、もともとの構造が貧弱なんですね。壁にはんぺんでも貼ろうかと思うくらいだ。

さて今日はその寒い中、夜から取材である。どのくらい夜かというと22時スタート、23時半完全撤収というドラキュラ的なタイムスケジュールであり、なぜそんなことになったのかといえば17時くらいからイベントのようなものがあり、その後で出演者によるインタビュー時間が設けられているからだ。忙しくてとてもイベントは見られない、と答えたら「じゃあ取材だけでも」という話になって、22時に現場に入ることになったわけ。

だから日記を先に付けているわけである。さて、昨日書きかけたが京極夏彦さん『姑獲鳥の夏』が今年で28年、再来年には30周年である。私が京極作品に出会ったのは比較的遅くて、大学2年の時。当時はすでに京極堂シリーズの5作目『絡新婦の理』まで出ていた。京極夏彦さん、今ほど知名度が高くはなかったが、しかしちょいサブカル系の読書好きの中では「これは読んどかないと」みたいな位置づけであり、そういう流れに乗っかって手に取ったのである。

買ったのは同志社大学京田辺キャンパス(当時は田辺キャンパス)の生協の書籍部で、よく知らないなりにシリーズ1冊目の『姑獲鳥の夏』を買ったのは我ながら偉かったと思う。ほとんど予備知識がなかったのに。で、大学のラウンジ(というガヤガヤしたベンチやテーブルが並んでいるところ)で読み始めたら、冒頭のモノローグですーっと周囲の雑音が引いていく感じがあり、関口君と京極堂の対話にぐいぐい引き込まれ、例の関口君が姑獲鳥の絵に血の色を幻視するシーンあたりで、「これは、ヤバい」と思って本を閉じた。家でゆっくり読もうと思ったのである。

リアルタイムで読んだのは『塗仏の宴 宴の支度』からで、感想を語り合いたくて、普段まったく交流のないミステリ研の人たちのところにしゃべりに行った思い出がある。まあやや遅れたとはいえ、京極堂シリーズ後半をリアルタイムで追えたのは本当に幸せなことであったし、それが四半世紀経ってこうしてお仕事に繋がったのだからありがたいことである。



「インフルエンサー」と並んでなんだかよく分からない職業ナンバーワン。「怪奇幻想ライター」。

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