記憶をたどってみますと、月末までに終わらせなければいけない仕事が幾つもあり、「今日は2つ!明日は3つ!がんばるぞ!」とかけ声ばかりは勇ましかったのですが、現実問題、人間そんなにたくさん字を書けるわけじゃないので、まあヘロヘロになって一日1つ終わらせるのがやっとで、ずるずると予定はゴミ缶から溢れるスライムのように伸びていき、だらりだらりと処女地の8月を侵食し、泣きながら原稿を書く日が続いていたのです。
このブログ、昔はこうじゃなかったんですよ。10年くらい前は「ゴールデンウィークに近所の甘味屋をめぐってたくさん和菓子を買いました。さてどれが美味いかな」みたいな平和な記事が多かったんです。最近はどうも殺伐とした話題が多く、よろしくないことだと思っております。
で「月末までに」という仕事はまだ終わっていないのであるが(あと2つ)ずいぶんお待たせしていた原稿が徹夜作業によってなんとか完成し、昼前に送信できたのでほっと一息。このところ休んでいなかったので繁華な方面へ出かけることにした。目的地は幽霊画展が開かれている谷中の全生庵である。
日暮里駅から谷中の商店街を下り、途中あれこれ買い食いなどしつつ全生庵に着。平日の真っ昼間ということもあり空いている。以前は毎年来ていたのだけど、子どもが小さかったり、コロナ禍だったりで、結構間があいてしまった。靴をぬいであがるとつんと心地良いお線香の匂い。小学校の頃、T君というお寺の息子と仲がよく、しばしば彼の家に遊びに行ったので、お線香にはほのかにノスタルジーを感じるのであった。今頃はお寺を継いで住職になってるのかなあ。と思って訪ねてみると、荒れ寺に昔と変わらぬ彼が座っていて、「よくおいでなさいました、このあたりは戦ですっかり焼けてしまいましたが、わが古寺だけだけはこのように残っております、一晩ゆっくり昔語りをいたしましょう」と楽しく飲み語らい、ふと目を覚ますと目の前には枯れ草に覆われたしゃれこうべが……というようなことはない、と思う。
子どもは初の幽霊画展。どれが怖いか聞いてみると伊藤晴雨の赤子を抱いた幽霊が「☆4つ」とのこと。たしかにあれは表情がすさまじいからな。幽霊画、何度見ても心が浮き立つ。昔の人がこれだけ創意工夫を懲らして幽霊を描いたということ、それを三遊亭圓朝がコレクションしたということ、それが21世紀になっても毎夏展示され、多くの人が見にきているということ。すべてがなんだか微笑ましい。
その後、イリアスにて開催中の「第20回お化け物産展」を覗く。造型作家の天野行雄さんのアートプロジェクト「日本物怪観光」によるお化けグッズの展示会も今年で20回目だそう。そうか、上京して割とすぐ覗きに行ったものな。そのくらいになるか。メモリアルイヤーということで、歴代のおばけカードも展示されていた。
写真撮ってもいいですよ、とのことだったので、撮影しました。天野さんのレトロお化けの立体造形物はほんといい。なかなか買えないんだけど、富豪になったら買いたいですよ。ウシオニロボの魁偉な容貌にぐっときますね。
いかしたクトゥルフとユウレイロボのカードを購入しました。
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