2022年5月26日木曜日

怪老人日乗:5月25日(水)

快晴。気温26度まであがるという。奥さまがOSAKAへ日帰り帰省。長年実家で飼っていた猫が23歳で天寿まっとうしたので、手を合わせにいくのと、家族のお見舞いである。早めに家を出て、池袋駅まで一緒に移動。そこから奥さまはJRで東京駅。私は飯田橋K社に出て某月刊誌の校了作業をする。西武池袋線の車内では映画『ハケンアニメ』の広告がエンドレスで流れている。アニメ業界に興味ある人は多いだろうし、外国で上映したらヒットしそうな気がするがいかがだろう。って、誰に対して言ってるのか分からないが。

ともあれ早くから校了作業、集中してやって13時半に終わる。子供が帰ってくるので池袋タカセでお昼のパンのみ買い、電車乗って帰る。必要あって読み返している橘外男『ある小説家の思い出』、例の公金横領について詳しく語られていて面白いのだが(ただしどこまで事実なのか分からない)、戦後の混乱期、仕事がなくなって食えなくなった雑文書きの中年男が、家族を養うために編集者となり、しょぼくれた姿で原稿取りに駆け回っている、というエピソードがあってぐっと胸を衝かれる。いつの時代もフリーランスは大変なのだなあ。この人が老後まで生き延びられたのか、気になる。それ以上に自分が老後まで生き延びられるのか気になる。




帰宅したら15時。子が帰ってくるのには間に合わず、鍵開けて入ったらしく、玄関にランドセルだけが抜け殻のように放置されていた。どこに遊びに行ったのか姿はなし。まあよろしかろう。お昼のパン食べつつ録画していた『100分de名著』のE・A・ポーの回をやっと見る。巽孝之氏がゲスト。ついでに心霊ドキュメンタリーも見て、いかん、こんなことをしている場合じゃないぞと仕事に復帰。

追加原稿依頼のあった某案件を片づけていたら、子供が帰ってくる。玄関先でバドミントン少し。ご飯を作り、風呂に入れて、配信で『ミリタリー大百科』という兵器の紹介番組を一緒に観てから寝る。寝床では藤子F不二雄のSF短編を読み聞かせ。「ひとりぼっちの宇宙戦争」など、小学生の頃読んで面白さにドキドキしたものだが、うちの子はどう感じているのか。曖昧な表情を浮かべてページ眺めている。息子よ、おまえはSFより怪奇派なのか?

仕事していたら23時過ぎ、奥さま帰宅。大阪の様子聞きながらリビングで慰労会。思えば今日は12回目の結婚記念日なのであった。早いものだなあ。ノルマ到達していないが、くたびれたので0時に就眠。新規取材のメールくるが6月後半はすでにブルータルデビルな感じであり、これ以上受けると首が絞まりそうだ。悩んだ末「テープ起こしまでしてくれるなら」と返答する。原稿料が安めの場合、この媒体に限らずテープ起こしをやってもらうのは選択肢のひとつですね。でないと時給1000円をあっさり割ってしまうよ。

『ミステリマガジン』7月号届く。高橋葉介特集にエッセイを寄稿した。好きな作品についてというお題だったので『夢幻紳士 怪奇篇』。『夢幻外伝』とで迷ったが、怪奇幻想短編としてのクオリティの高さと、日本的怪談と英米幽霊小説のエッセンスを融合させた(こういう作品はありそうでない)偉大な功績から『怪奇篇』に決める。

以前住んでいた京都の家は、近所の坂の上に大きな洋館が建っていて、それが明らかに漫画に出てくる夢幻魔実也の邸宅にそっくり。おそらく作者がモデルにしたのだろう。当時は暇だったので深夜そのお屋敷の前を散歩したものだった。





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