2022年5月12日木曜日

怪老人日乗:5月12日(木)

多忙につき日記が数日空いてしまつた。ショックである。

ショックといえば――とこうやって脱線するからいつも日記が長くなるのだけど――小学生の頃、ビックリマンシールって流行ったじゃないですか。うちの小学校でもご多分に漏れずみんな土曜日になると近所のローソンに行って、ビックリマンの入荷を今か今かと待ち構えてですね、箱の何番目にキラキラが入っているとかいないとか、そういう都市伝説みたいな噂を頼りにお菓子を買っていたわけですが、そんなある日、すごいショックな出来事があったんですよ。

うちの小学校を挟んで反対側にある街に住んでいる友だちの家に遊びに行ったら、やっぱりみんなシールを交換したり、見せ合ったりして遊んでるわけです。で、「ビックリマンだな」と思ったけどそれ、これまで一度も見たことのないシールだったんですよ。「ガムラツイストか?いや、違うな。何だあれは?」と思って友だちに聞いたんです。

そしたらそいつはこう言ったんですよ。「ああ、これ?ショックマンだよ」。ショックマン!!その街だけで流行っている、超マイナーなシールだったんですよ。ビックリマンと同じようにヘッド(キラキラシール)もあれば、悪魔も天使もあるらしいのに、何一つ知っているキャラクターがいない。あの時、私はパラレルワールドに迷い込んだような現実崩壊感を味わいました。

という余談はいいんだってば。手早く日記を付けておく。今夜もこれから原稿仕事なのだ。この数日、遅れ気味の原稿を進めつつ、Zoom取材が一本、某誌入稿作業、それから母の日と奥さまの誕生日があった。母の日は子どもと料理、誕生日には近所で外食。考えてみれば奥さまとは知り合ってもう20年にもなる。知り合った当時向こうは10代ですからね、月日の流れとはおっそろしいものである。

それ以外ほとんど自室にこもって原稿。ヨガもせず。映画も観ず。いたって地味な暮らしである。合間に古本いくつか届いた。『SFマガジン』1997年11月号はヴァンパイア・ホラー特集で、東雅夫氏の原稿が2本も載っていた。いずれも吸血鬼文学史を広くカバーした労作で、こういう単行本未収録の文章が読めるから古い雑誌漁りはやめられない。朝松健氏のナチ・クトゥルーものの名作「夜の子の宴」もこの号が初出なのね。




原稿一本送った後、山吹静吽さんより戻ってきたインタビュー原稿の確認。進捗うかがいあった書き下ろしの件、ひええすみません来週には、と返事をする。新たにインタビュー原稿に着手したところで深夜に。むーん。ぐったり疲れているがお昼のワイドショーで小倉優子を見られたから多少元気。私は結婚して以降の小倉優子が雰囲気含めて好きなのである。

芦花公園さんの『ほねがらみ』文庫版、本日発売。さすがにツイッターでの反響大。現代ホラーのあれやこれやを参照しまくったマニアックな作風について、解説では語っています。芦花さんがすごいのは、2作目の『異端の祝祭』で『ほねがらみ』的なメタの手法を潔く手放したことで、3作目『漆黒の慕情』になるとストーリーテリングの上手さにますます拍車がかかっているが、やはりホラーへの偏愛と情熱がメラメラ燃えさかっている『ほねがらみ』のインパクトは格別。これはデビュー作にしかない特権的な輝きだろうと思う。




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