2022年4月9日土曜日

怪老人日乗:4月8日(金)

徹夜するつもりが寝てしもうた。ま、元来夜は寝るものであるから仕方ないのであるが……。それでも大人の世界に〆切はあるので、あわてて原稿仕上げにかかる。9時前までやってあわてて身繕い。今日は外仕事にいかねばならぬのだった。飯田橋K社に顔を出し、少しだけ編集作業。

逃げるように編集部を後にし、そのままコーヒー屋へ、原稿に没頭。夢中で書いて仕上がったら15時半。担当氏にメール送信する。起ちあがると全身にどっと疲労感。ここ数日、むちゃな時間に起きたり、座りっぱなしだったりしたのが祟ったらしい。

ここ数年、体力の衰えを感じることが増えた。もともと原稿が早いほうではないし、体力もある方ではないのだが、昔だったら10枚書いたら10キロ走ったくらいの疲れだったものが、今は同じ枚数で40キロ走ったくらいの疲労感がある。どっちの距離も走ったことがないのでザ・適当な喩えですけども。せめてクオリティが落ちないことを祈るばかり。

ともあれ少しでも歩かないとよくない。江戸川橋まで一駅歩く。初めて歩いたコースだったが、つまりは首都高に沿って歩けばいいらしい。お城の石垣のような土台からにょっきり高速道路の足が伸びているのが、なんだか面白い景色のように感じて写真を撮る。トッパン印刷の印刷博物館、トーハンの社屋などを通り過ぎる。気づけば妙に印刷会社が多い。




広大な東京の知らない街を歩くのは割に好きで、知らない路地をくまなく歩くような仕事があればしてみたい気がする。ところで都筑道夫の怪奇短編「風見鶏」では、ある特徴(窓に星マーク)のある一軒家をセールスマンが探し当てるが、あれって可能なんでしょうか。不可能ではないと思うが、かなりの運と根気が必要だな、という気はします。それほど東京は広い。

江戸川橋でお昼食べようと思ったら16時半。もうすぐ夕飯だけど、まあいいか。池袋に立ち寄るつもりだったが西武線直通の地下鉄が来たのでそれに乗り、どよーんと疲労感を抱えたまま帰る。薬局でリボビタンDを買ってしまうほど、ヘトヘトであった。

行き帰りの電車では梶井純『トキワ荘の時代』(ちくま文庫)読む。寺田ヒロオの評伝。1月末にトキワ荘マンガミュージアムに出かけた際、近くの売店(寺田ヒロオの仕事部屋を再現している)で購入したもの。しばらく積んであったが、読むなら今だと手に取った。

テラさん、自ら「無趣味」「好奇心がない」と語っていて、トキワ荘メンバーが大好きな映画にもほとんど関心を示さなかったらしい。石森章太郎が生活費を削ってステレオセットやレコードを購入し、借金を申し入れてきたのに対して、やんわり苦言を呈したりしている。良心的な作風が少年マンガの時流に合わなくなり、筆を折ることを余儀なくされた不遇のマンガ家、というイメージがあったが、どうもそう単純な話でもないようだ。なおテラさんの奥さま、中村八大の実妹だそう。


帰宅してお夕飯。カレイをピカタ風にころも付けて焼いたもの、サラダ、その他。メールチェックなどして早めに休む。10時間ほど寝て、起きたら元気回復。やはり睡眠不足だった模様。北野誠にラーメンをおごってもらう夢で目が覚めたが、「茶屋町怪談」の音声を聴きながら寝たからなのだった。


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