2022年4月7日木曜日

怪老人日乗:4月5日(火)

しばらくメール返信をためてしまったので、あちこちに業務連絡。嬉しいお仕事のご連絡あり、進捗うかがいあり。「あれはどうなってますか~?」という各社担当さんの連絡には「じき着手できそうです」と返事している。嘘ではない。嘘ではないのだが、借金取りから逃げているようでもあり、壁を向いて合掌したまま宙を飛ぶしかないのだった。

さて久しぶりの休日。家族の春休みも今日でおしまいなので外出予定をねじこんだのだった。引っ越したら西武鉄道株式会社がやたらと秩父を推してくる。温泉、神社、カツ丼。いいじゃないの。それでその気になって出かけてみた。

所沢まで出て特急ラビューの切符取る。窓が大きいのは外観から分かっていたが、黄色いシートが可愛らしく、リクライニングできるし、電源もあるしでたいへん居心地よろしい。えへらえへらと笑っているうちに秩父着。

秩父では名物のわらじカツを食べたり、神社に参ったりした。私は隙あらばカツ丼を食べる特殊人間として有名であるが、この街では誰はばかることなくカツ丼を食べられるのでグッドである。桜まだあちこちに咲いており、空は抜けるように青く、いかにも春の旅という感じ。秩父で驚かされたのは山の近さである。町並みの背後ににょっきりと山並みがある。岩石が多いのか、ところどころ灰色になっているのが特徴的だ。




鍾乳洞があるというので浦山口という秩父鉄道の駅で降りてみる。お寺の境内にある、ほとんど人の手の入っていない鍾乳洞で、沖縄とか岩手とかにあるような幻想的にライトアップされた大きな鍾乳洞とはだいぶ趣が違う。もっと原始的であり、地の底に飲み込まれていくような、狭くうねうねとした鍾乳洞である。時代劇の罪人が延々掘らされているトンネルのような、アーサー・マッケンの魔物が潜んでいそうな、暗く湿った空間である。

しばらく上ったり降りたりが続く。頭を下げないと通れないような通路、滑ると危険なはしご段もある。事前に十分くらいと聞いていたから「そろそろ終わりかな」と予測を立てることができたが、予備知識なしで歩かされたらあれは怖いよ。ここを延々歩いたら発狂するだろう。

鍾乳洞まで続く山道に古い空き缶が転がっている。時代がかった貸衣装屋の看板がブロック塀に貼ってある。瓦屋根の家が点在し、村の集会所が見える。こういう集落で育つのはどんな気持ちなんだろうか。住人はみんな顔見知りだろうし、お店だってないだろうし。でも今は通販があるから不便はないのかな。などと旅行先でよく思うことをここでも思った。

温泉に浸かって仕事の疲れを癒やした後、ラビューに乗って帰宅。ほぼ直通なので、えらい楽である。3月からこっちずっと仕事だったので、いい息抜きになりました。また来よう。





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