劇場は大泉学園のTジョイ。初めて行ったが東映撮影所のすぐ脇で、向かいにアニメーションの小さなミュージアムもある。住宅地の奥に突然、どどーんと大きい施設が建っていて、ちょっと面白い雰囲気であった。しかし、うう、今日は寒い。映画館前の店でコーヒー買う。
映画はもう最高。冒頭の移動カーニバルのシーン、雷鳴とどろく下、掛け小屋の中でギーク(獣人)がニワトリの首を噛みちぎる。そこから始まる主人公の地獄巡り。見世物、読心術、心霊ショー、心理学。さまざまなファンタジーと欲望が交錯し、2時間半におよぶ波乱の物語はすべての出発点たる「悪夢小路(ナイトメア・アリー)」へと帰結する。罪と贖罪を描いた物語は、なるほどホラーというよりはノワールかもしれないが、全体に狂気めいた雰囲気があり、デル・トロならではの丁寧な時代考証、ゴージャスな絵作り、美しいヒロインたちの存在感も相まって、幻想度が高い。大満足。
同行した奥さまとは大泉の駅で別れ、私はそのまま都心仕事へ。某誌校了作業を夕方まで。久しぶりに日のあるうちに帰れたので、中村橋駅で途中下車して古書店。クマゴロウというこの店は小説や人文系の本が豊富だが、それ以外にも円盤や徳川埋蔵金関連(なぜかやたら品揃えがいい)の本も多くて、時折帰りに立ち寄るのです。しかしお目当ての某ホラー小説が消えていて、今日は買いたいものなし。お金に困ったら埋蔵金の本をまとめ買いにこよう。夕方から小雨。
お風呂読書は坂東眞砂子『死国』。坂東眞砂子の初期ホラーには『蟲』『狗神』等があるが、やはり最初に書かれたこの『死国』が一番コワい気がする。お遍路を逆回りして死者を呼び戻すという呪術的発想が秀逸なのはもちろんだが、この頃の著者は明確にホラーをやろうとしているのだ。超自然の怪異を描くことで読者を圧倒し、戦慄させようとしている。後年の坂東作品もいいんだけど、『死国』にはスラッシュメタル的気迫を感じますね。
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