2022年4月10日日曜日

怪老人日乗:4月10日(日)

快晴。さて細かな仕事片付けるぞ。朝食、家で焼いたパン。子どもを野球のグラウンドまで送り、怪談聴きながら帰宅。怪談聴きながら珈琲豆を挽いて湯を沸かし、怪談を聴きながら珈琲を飲む。いかん、怪談を聴いてばっかりだ。

イヤホンを彼方に投げ捨て、今日やることをリストアップ。まずは解説のゲラを戻し、某競作集の目次決め、合間にインタビューの質問作り。朝刊を読んだら「これからは縄文人しか生き残れない!」と宣言する新刊の広告が出ていて、もう好きにしてくれという気になる。おそらく著者は縄文人なのだろう。

午後もコーヒー屋で作業つづき。日曜でも混雑しており、みんな仕事があって大変だなあと思う。ノートパソコン広げているから、フリーランスの人が多いのだろうか。よく言われることだが、フリーランスというのは土日祝も関係なく仕事で、忙しいわりに儲からない。よく分からんブロガーやインフルエンサーに騙されて、軽々に仕事を辞めない方がいいですよ。とは言いつつも、怪奇幻想系のライターは足りていないので、志ある方の新規参入をお待ちしております。

仕事の合間、昨日届いた遠藤周作『怪奇小説集 恐怖の窓』読む。遠藤周作の小説は「自分の罪がいつか露見するのではないか」という底知れぬ罪悪感がどの作品にもあって、それが『沈黙』『海と毒薬』などの作品を生む一方で、独特の暗いサスペンスや怪奇小説を生んでいるのだろう。狐狸庵先生的なユーモアはそのコインの裏返し、という気がする。

今日読んだ中では「詐欺師」という作品が面白い。夢野久作の「少女地獄」ばりの虚言癖の男が出てきて、作者の前で次から次と嘘をつく。嘘が積み重なっていけばいくほど、読み手はきたるべき破滅を予感してハラハラする。例によってどこまで実話か分からないのだが、妙に印象に残った。

帰宅したらもう五月人形飾ってある。お夕飯を食べて、ZOOMイベント聴講、これは明後日の取材のための下準備。今日はなんだか暑かった。もう26℃もあるのだ。小学校の入学式にドカ雪が降った北国の人間としては、本州の春→夏の切り替わりの早さがいまだに慣れない。もうちょっとゆるゆる行こうぜ、と毎年思う。



引っ越し前の仕事部屋は暑いわ寒いわ狭いわで、朝から晩までコーヒー屋に出ないと仕事にならなかった。引っ越したらぐんと快適になり、エアコンだってあるし、田辺剛先生直筆のクトゥルー画も飾ることができたのだが、快適になったらなったでリラックスしすぎて作業はかどらず、結局コーヒー屋に日参することになるのだった。前もどこかに書いたが、息子のお友だちの保護者からは「朝宮くんちのパパはコーヒー屋で働いてる」と勘違いされていたほどなのである。


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