2022年3月2日水曜日

怪老人日乗:3月2日(水)

アンソロジスト・評論家の東雅夫氏は以前ウェブに詳細な日記(東雅夫の幻妖ブックブログ)をつけておられて、それをリアルタイムで愛読していた。今でも何かの折にふと読み返したりするのだが、2000年前後の東氏の仕事量といったらものすごいものがある。一日にいくつ取材、打ち合わせ、〆切があるのだという忙しさ。それらを落とさずこなして、今振り返っても素晴らしいアンソロジーや書籍を送り出しているんだから、これはもう端から脳の作りが違うとしか言いようがない。

私もここ数日活動記録めいたものを書いているけど、原稿全然進んでないものね。20年後幻想文学ファンの若人が読み返しても「この人、怠けてばっかだなあ」と呆れることであろう。未来の若人、スマン。

それでも今朝は午前2時に起きまして、といっても昨晩寝たのが早かったので誇るようなことでもないのだが、むっくりと死体のように起き上がりまして、リビングに移動して原稿を書き進めた。朝方までに4枚。もう少しで遅れている某社の原稿が完成する。

それが終わったら某企画の目次案をメールして、ムックの原稿を進めてという感じ。今日明日は都心で編集仕事のある日なので、午後からちらっと電車で出かけねばなりません。文章書きの仕事というのは乗るまで本当に辛気くさく、げんなりするような時間の積み重ねであるが、ひとたびスイッチが入るとこれほど手応えのあるものはない。問題はそのスイッチがいつ入るか当人にも分からないということで、完成度にそう違いはないのだから、とっとと書けよと私は強く言いたい。

昨日はほとんど仕事だったので夕方30分だけ公園へ。息子と野球の稽古。うちにはグローブがひとつしかないので、一人は素手でキャッチしないといけない。戦後か。息子がノックを打って、私が捕るという、どっちがコーチなのだかよく分からない練習だった。

お夕飯は揚げ出し豆腐、山芋の焼いたやつ、ごぼうとにんじんとツナの炊き込みご飯。最近ご飯を土鍋で炊くようになって、わが家のご飯レベルが3あがった。お風呂では戸川昌子『透明女』の続き。主人公のプロモーターが顔に火傷を負い、人工皮膚のようなものを被ることになる。それが夜光るというのが乱歩チックでいい。

毎朝1、2冊ネットで古本を買う。私が買うものなのでそう高い本ではないのだが、日課のようなもの。忘れた頃に届いて、『あ、これ買ったんだ」と嬉しい驚きがあります。ぼけてるだけかも。昨日は高橋克彦『蒼い記憶』、半村良『夢の底から来た男』が届いた。本棚に欠けている国産ホラーをぽつぽつ埋めているのである。国書刊行会からはアレイスター・クロウリー『法の書 愛蔵版』をお送りいただく。ありがたし。





すばらしい造本で開けるのが怖い。すべての男女は星である。


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