毎日部屋で仕事をしているので、これといって書くこともないのである。しかしそこに活路を見出すのが文学者というものであろう。オモチロイことを書いてやるぜ!と思ったけど眠いので、思いつくままにだらだらと書きますね。
扠。アンソロジー『宿で死ぬ 旅泊ホラー傑作選』(ちくま文庫)が売れているような気がする。あくまで気がするだけで、私の観測範囲内なんですけど、『家が呼ぶ 物件ホラー傑作選』より売れてませんか? どうなんでしょうか、筑摩書房さん。データを示されて「全然売れとりませんよ」と言われたらザ・ショック!なので確かめませんけれども、ツイッターやら読書メーターやらをボンヤリ眺めている限りでは、多くの方に手に取っていただけているような気がします。
理由はいろいろあるでしょうが(と前提を固めないまましれっと論を進めます)、まず身も蓋もないタイトルがよかった。「出る」でも「祟る」でもなくダイレクトに「死ぬ」ですからね。そりゃ怖いよ。そして昨年出した『家が呼ぶ』とシリーズ感が出せたのもよかった。カバーデザインもシンメトリーにしていただき、二冊で一タイトルという感じになりました。
このふたつはどちらも担当編集さんの貢献が大でありまして、タイトルに悩んでいた私に「いっそ『宿で死ぬ』でいんじゃないですかー?」的なことを言ってくださったのも担当さんなら、「来年のホラーシーズン、2冊並べて売れるようにしたい」と提案してくださったのも担当さんなので、ありがたいことよなあ、本は一人じゃ作れないってのはホントウだなあ、と痛感している次第なのです。ちなみに私が考えていたタイトルはもっともやっとした、ぼわっとしたやつで、つくづくやめてよかったなと。タイトル大事。
「『家が呼ぶ』が売れているから2冊目出せそうです」ということになり、西荻窪のそれいゆで打ち合わせをしたのが昨年9月。その前夜に突貫工事で5つくらい企画書を作りまして、打ち合わせに挑んだのです。で、水出しコーヒーを飲みながら(それいゆのコーヒーは山岡士郎も絶賛している水出し式)「こんなん出ましたけど」と泉アツノさんのような口調で一枚、また一枚と企画書をテーブルに置いていきました。
当初は『家が呼ぶ2』をやりましょうということで盛りあがっていたんですが、冷静に考えてみると同じコンセプトで1冊目に匹敵するような怖い本を作るのは難しく、そもそもタイトルも『バタリアン2』みたいだし、だったらいっそ別テーマで続編感のあるものにしよう、思ったのです。
(この項続く)
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