何度か書いているが私の仕事部屋にはエアーコンがないのです。数年前に導入した卓上クーラーここひえと扇風機を併用し、湿った空気を攪拌し続けてなんとか凌いでいるのですが、今年はさすがに暑さが厳しい。どうしましょう。引っ越したら自室にやっとエアーコンが付くのでそれまでぐっと我慢の子、なのである。
暑さを凌ぐには怖い話だ、と思うのだけれど最近は人と会えず、怖い話もあまり仕入れられない。いかんせんと思っていたら、最近引っ越したばかりの怪奇探偵作家・倉野憲比古氏からお茶でもしませんかとの嬉しいご連絡。月末まで〆切六つ、取材三つ、アンソロジーの目次作り一つ、という厳しいスケジュールでありまして、くさくさしていたこともあり、おっとり刀で出かけてきた。場所は中央線の西荻窪。
西荻窪と言えば、このブログを前からお読みの方はご存じでしょうが、私が六年ほど前まで住んでいた街でありまして、あれから駅前の風景などはだいぶ変わりましたが(北口にカルディが出来たのが大きい)のどかでありつつ活気がある街並みは変わらず、「あそこの定食屋のおじさんはカツ丼を作りすぎて手を痛めた」などという思い出話をしながらそぞろ歩いてきました。
といっても私が案内できるのはコーヒー屋と古本屋くらいなので、盛林堂、音羽館、にわとり文庫と梯子しながら、喫茶店2軒(どんぐり舎とそれいゆ)。倉野氏とは怪奇探偵小説の話をしたり、近況を報告しあったり。冬に出るという新作についてもうかがいました。『スノウブラインド』『墓地裏の家』に続く夷戸シリーズ第3弾で、「一番自信があり、気に入っている作品」とのことで楽しみです。「浜尾四郎のアレはいいですよ、大阪圭吉のコレもいいですよ、甲賀三郎のソレはいまいちです」と戦前の探偵小説についてたくさん教えていただき、あっという間に時間が過ぎたのですが、あ、怖い話がないか聞くのを忘れてた!
橘外男『青白き裸女群像』と『陰獣トリステサ』(タイトル違いで中身は一緒の本)を持参、前にツイッターで『裸女群像』を探していると書かれていたのでプレゼントしようと思っていたのですが、『トリステサ』はお持ちとのこと。しかも倉野さんは『裸女群像』と『トリステサ』が同じ本だと気づいていなかった、というオチがつきました。それでも押しつけるように『裸女群像』をお渡しし、それぞれ本をもって記念撮影。
古書店では倉野さん、怪奇小説、探偵小説何冊も購入されていましたが、私は引っ越しが控えているので一冊のみ。山村正夫編『恐怖館 残酷ミステリー集』。半分ほど既読のアンソロジーですが、蝙蝠お姉さんの装画が気になってつい購入。未読作では大藪春彦、草野唯雄などが楽しみです。というわけで今日のブログはここまで。深夜1時だけどこれからテープ起こしやゲラ読みをせにゃあ。浮き草稼業はつらい。
追記:と思ったら草野唯雄の「皮を剥ぐ」は文春文庫の『もっと厭な物語』で既読でした。ドシェー。
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