2017年8月22日火曜日

雨だから『コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生』を読む。


今年は全国的に雨の多い8月となっている。
日照不足による農作物の不作など各方面でさまざまな影響が出ているようだが、わたしにとってもこの長雨は困ったものだ。


なぜって、先日阿佐ヶ谷の古本屋で購入した『デニス・ホイートリー黒魔術小説傑作選』をまだ受け取りに行けていないのである(購入のいきさつについてはこちらを参照)。


晴れた日にバイクで受け取りに行こうと思っているのだが、いまにも雨が降り出しそうな空模様を眺めていると、なかなか踏ん切りがつかない。買ったばかりの『傑作選』がびしょ濡れに、なんてことになったらショックで娘を悪魔に差し出すしかないぞ!(娘いないけど)
で、ずいぶん経つのにいまだお店に預けっぱなしになっている、というわけ。


そんなわけなので。
曇天の下、新刊本を読んで過ごしている。
昨日ネット書店より届いたのは岡本和明、辻堂真理『コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生』(新潮社)。
1970年代、オカルトブームの牽引役をつとめた中岡俊哉の評伝である。
著者の岡本氏は中岡俊哉の実子にして演芸研究家、辻堂氏は放送作家で中岡の「最後の弟子」にあたる人物であるという。




実は以前、岡本氏とお仕事をご一緒したことがあって、その打ち合わせの席上「親父の評伝を書いているんだよ」とおっしゃっていたのをよく覚えている。猛烈に「読みたい!」と思ったものだが、それがついに叶ったというわけだ。


戦前、馬賊を目指して中国大陸に渡り、終戦後は北京放送局にアナウンサーとして勤務。その後は著述家となりベストセラーを連発する。
オカルト業界の巨人にふさわしいそんな波乱に富んだプロフィールはなんとなく知っていたが、そもそもなぜ北京のアナウンサーがオカルト研究の道に? という肝心要の部分は謎のベールに覆われており、長年の疑問だった。


これを読んでその疑問が氷解。
本書は中岡本人の肉声や親しかった関係者の証言を交えながら、 その知られざる人生の軌跡をたどっている。
3度の臨死体験、内外の超能力者との交流、自腹を切っての海外取材、ヒーリングパワーへの深い関心。そんなエピソードの数々から浮かび上がるのは、「実見型超常現象研究家」としての中岡の素顔だ。
生前、幅広いジャンルのオカルト本を執筆し、コックリさんや心霊写真のブームを巻き起こした中岡だが、決して超常現象全般を肯定していたわけではない。むしろその真偽については厳しい目をもっており、自分で確かめたものしか取りあげようとはしなかった。


行方不明少女の遺体を発見したことで伝説化しているテレビ番組「水曜スペシャル」の舞台裏についても、詳しく触れられていて貴重。超能力者クロワゼットへの依頼から遺体発見、番組放映までの経緯が、時系列で語られている。このあたりはテレビマンである著者(辻堂氏)の面目躍如という感じがする。
それにしても中岡が楳図かずお『へび少女』の原作まで手がけていたなんて!!驚き~。
オカルトファンには無類に面白い一冊なので、お天気の悪い日にぜひどうぞ。


なお。
本書単行本のカバー裏にはコックリさん文字盤が印刷されている。
中岡と二見書房が『狐狗狸さんの秘密』にコックリさん文字盤を、『ピラミッド・パワー』にピラミッド模型の型紙をつけたひそみにならったものだろうが、こういう遊び心は嬉しいですね。

……お……も……て……な……し……。

あ! 10円玉が動いた!
そう、こういうのをおもてなしの精神というのである。
 




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