2016年9月19日月曜日

ガガーリンの頭蓋骨


タイトルは特に意味なし。


先日、神保町で取材があって、珈琲店でその準備をしていたのである。具体的にいうとノートに質問項目を書きつけ、取材の流れを確認し、という作業だ。


ふと。あたりを見渡すとさすが神保町、自分以外の人間はみんな本を読んでいるじゃないですか。いずれも難しそうな人文書だ。中には分厚い、文字がびっしり詰まった洋書を読んでいる女性までいる。


一方、わたしはというと100均で買ったノートに、ぐじゃぐじゃと暗号のような、曖昧な文字を書きつけているばかり。まるで子供が落書きをしているようで、「本を読まない人が知の殿堂に紛れこんじゃった」感がものすごいのである。自意識過剰かも知れないが、客観的にみてそうだろう。


「違うんだ!おれだってたまには本を読んでるんだよ!」と心の中で叫びながら、苦い都会のコーシーを啜って、黙々とメモをとり続けた。取材の時間は迫っている。


すると。
若い男性店員2人のこんな会話が聞えてきたのだった。


先輩:「おれさ、昨日『君の名は。』観にいったんだよ」
後輩:「そうすか」
先輩:「ラストでマジ泣きして、外出るとき恥ずかしかったよ。お前、『君の名は。』観た?」
後輩:「はい。最近見出したとこです」
先輩:「?」
後輩:「いや、最近観出したんで。あんまり詳しくないんすよね」
先輩:「……あのさ」
後輩:「はい」
先輩:「『君の名は。』に最近観出したとかねえから。あれ、一回だけのやつだから」
後輩:「えッ、そうなんすか」


あの後輩の方、好きだなあ、と思いました。
ああいう人にわたしはなりたい。というか、もうなっている。

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