2025年12月22日月曜日

怪老人日乗:12月22日(月)

朧月夜であった。まっすぐにこちらを見ている者がある。芭蕉であった。禿頭である。そこからタールのような鉛が垂れていた。隻眼であった。動いた。相対する女も動く。親鸞であった。斬った。芭蕉が跳んだ。天守の上で剣と錫杖が交わった。ふたつの首が落ちた。そのまま親鸞が土に埋まった。何かが浮き出てくる。もぐらであった。もぐらは猫のようだった――。

というわけで、今日もわけがわからない日が始まった。わけの分かる日は一日としてないのである。怖ろしい。怖いよう。最近中野に行ってないなー。西荻窪にも行ってないなー。東京在住でない方は分からないかもしれないが、中野というのはおもちゃとか古本がいっぱい売っている町であり、西荻窪というのはミステリー小説とかの古本がいっぱい売っている町である。本の町で有名な神保町には仕事もあってちょいちょい立ち寄るのだが、人間贅沢なもので、それだけでは満足できない。冬だしぶらりと出かけてきたいものである。

それにしても古本屋も減りましたよねえ。東京でこうなんだから、どーなってるの、この島は、ドレミファドレミファドレミファどーなっつである。まずブックオフが減った。地元にあったブックオフ本通店もなくなっちゃったからね。帰省するたび立ち寄って色々買っていたんだけど。残っているブックオフもカードゲームとかフィギュア、古着にシフトしている店舗が多く、まあそれだけ本が売れないということなのだろう。昔はブックオフが出版業界を脅かすなんて言われていたけど、今はブックオフですら売れないんだから、いわんや新刊をやである。あ、親鸞っぽい。親鸞であった。

ええとですねえ。昨日は仕事をすこしやった。原稿書きは終わらず。まあ下書き程度である。それでもいいのだ。いいことにしてくれ。頼むよ。こっちはね、へろへろなんだよ。何かがこう、オシログラフっていう言葉がありますけど、お城のグラフなのか、お尻のグラフなのか、どちらでもないのか。それを知りたいくらいの気持ちですね。

あ、そうそう。午後はご依頼のあったワニ絵(しばらく忘れていた)をぱぱっと描いてスキャンして送る。1点でもいいということだったが、思いついたので6枚描く。ワニ絵はいくらでも思いつくし、1枚10秒くらいで描けるから非常に効率がいい。京極夏彦さんが「君はこっちの方が才能あるよ」とたまに言うのはそういうことなのだろう。文章は毎度うーんうーんと呻吟して、シンギングロンドンしてなんとか完成させる感じだが、ワニ絵はさらさらっと余裕をもった感じで描き上げられる。おそらく京極さんにとっての『姑獲鳥の夏』とか『魍魎の匣』もそんな感じなんだろうなあと推察。だからあんなに筆が早いのだろう。クオリティの差にはものすごいものがあるが。

夜は北海道から送ってもらった鮭を焼いて食べる。子供の頃、父に連れていってもらって、鮭祭りみたいなのに行ったことがあった。川を上ってきた鮭のつかみ取りなのだが、なんだかもうボロボロになってるし、弱ってて、気の毒な鮭たちであった。つかみ取りには参加せずに帰った。

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