さて、テレビの生放送出演という大仕事が終わって、やっと一息ついているところであります。出演時間自体は15分くらいだったのですが、そこにいたるまで台本のやり取りがあったり、なんだかかんだありまして先月から少しだけそわそわする日々を過ごしておりました。
何のことかと言いますと10月11日(金)の午前、TBS「ひるおび」でホラー小説特集がありまして、その解説役としてスタジオに呼んでいただいたわけです。某日には背筋さんのインタビューにも立ち会い、台本もなんとか頭に入れまして、当日は朝9時半に赤坂のTBS入り。通しでリハができたので(あってよかった!)本番もまあとちらずにできましたけども、テレビというのは大勢の方がかかわっていて、ひとつの番組を作り上げるのは大変なことだなと思いました。書籍も大勢の手が加わっていますが、テレビもそうですね。出演者だけでなく、企画を立てる人もいれば、撮影する人もいて、マイクを付けてくれる方もいれば、メイクをしてくれる人もいて。はあ、皆さんありがとうという感じでありました。ギラギラの照明と明るいセットの中でもそんなに緊張しなかったのは、小学3年生の時、学芸会で和尚の役をやった経験があるからでしょうか。まあ昔からあまり人前では上がらないたちなのです。
番組内容については、現代のホラーブームを「モキュメンタリー」中心に紹介するというもので、背筋さんのインタビューが的を射たものだったので、それを補足するかたちで90年代のホラーブームとの違いとか、今のホラーの特徴なんかをお話ししました。ディレクターの方がホラーについて色々調べてくださって、こちらの意を汲んで台本もあちこち修正してくださったので、安心してお仕事できました。よくテレビに協力すると酷い目に遭う、的な話が聞かれますが、「ひるおび」の場合まったくそんなことはなく、丁寧なお仕事ぶりに感謝感激することしきりでありました。ちなみに着ていた服は上下アーバンリサーチで前日に慌てて手に入れたもの。お店で見たら光沢のあるグリーンに見えて、これじゃワニ人間だよ、と面白がって買ったのですが、画面で見たら全然ワニっぽくなかったですね(むしろ茶色に見えた)。
諸々こなして、塗りたくったメイクも落としてもらい、楽屋おべんといただいて帰宅。そのまま帰るのもなんだったので、疲れをいやすべく池袋東武デパートの屋上へ。晴天の下、おべんと食べました。ふう。時間が経つとじわじわ疲れが。こういう場は割と平気なのですが、それでも朝が早かったし緊張もしていた模様。せっかくだから映画を観て帰ろうと思いまして「ホラー映画」で検索。『悪魔と夜ふかし』を池袋のtohoシネマズで観た。
『悪魔と夜ふかし』はモキュメンタリーというかファウンドフッテージ系で、視聴率低迷に悩む70年代のテレビショーの映像を入手した、という体。生放送中に超常現象とか悪魔憑きとか、いろんなことが起こってしまったぜ、という話で聞くとすっごく面白そうなのだが、実際観るとそうでもない。ゲオで150円くらいでレンタルして「うむ、なかなかいいじゃないか」といって返す感じの映画というか……。もっと面白くなりそうなところが、踏み込みが甘いせいで出落ちで終わっている印象。勿体なし。超常現象の描写ももうちょっと工夫できそうだし、モキュメンタリーという枠が崩れちゃったのも半端な気が。70年代っぽさを楽しむ映画でしょうかね。
で今日は神保町へ。倉野憲比古さんと待ち合わせて東京古書会館の「小栗虫太郎展」に行く。鈴木優作さんがスタッフとして入っているというので会場で集合し、鈴木さんにいろいろ説明していただきながら展示資料を拝見。受付をされている二人の女性、小栗虫太郎のお孫さんだそうで、なんだか不思議な気分になる。小栗虫太郎というのは作品だけ読んでいると天から降ってきたか、活字の海から現れ出でたか、という感じがして、人生とか身体性という部分を見失ってしまいがちなのだが、生原稿や校正刷りを見たり、家族と撮った写真を見たり、お孫さんがスタッフでいたりというのを見ると、当たり前だけど小栗虫太郎を人間としてとらえないといけない、いたずらに神秘化してはいけないと思うのでした。その意味で、「黒死館殺人事件」に人生を捧げた素天堂さんの資料(「黒死館」の元ネタとされる本)を見られたのもよかった。小栗もコツコツ資料集めして、あれを書いていたのだなあと。会場では成蹊大学で探偵小説の研究をされている浜田雄介さんともご挨拶できました。受けつけではお孫さんのお一人から「朝宮運河さんですか?」と声をかけていただきビックリ。
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