2017年11月29日水曜日

怪老人日乗:11月28日(火)


曇天の穴。念のため折りたたみ傘もって出る。子どもが「お腹が減ったらこれ食べて」と柿ピーナツをくれた。
午前早めから外に出て仕事。某社編集部であれこれ細かい仕事を済ませた後、お昼をとって地下鉄で日本橋に移動。午後2時から某オフィスビルにて取材一件。日本橋から京橋にかけての界隈、普段ほとんど縁がなく、日本の中枢を泥足で踏みつけているような気分になり、ひえーと緊張しながらヨロヨロ歩く。姉が住んでいるので人形町の甘酒横丁にはよく出かけるのだが、あのあたりとはまったく違った露骨なオフィース感、金融感。サラリーマンの世界というと「美味しんぼ」しか知らない私は、日本には本当にこういうところで働いている人がいるんだなあ、と感心したのであった。


取材後、都会の風に当てられて思わず「スキャットマン・ジョン」でリアルタイム検索をかける。我ながら意味不明な行動。パーポーペー。21世紀の今日でもスキャットマンの注目度は高かった。ペーポーパー。
そこから某社編集部に戻り、窓の外が暗くなるまで細かい仕事つづき。そこからやっと原稿書きタイムに入れて、星鹿教団ことスターバックスにこもって数時間、某対談記事をやる。お腹は減ったがあえて無視。23時に帰宅してお夕飯。前にも書いたけれどライターというのはつくづく肉体労働である。


『本の旅人』12月号が届いた。小池真理子さんの怪奇幻想小説集『異形のものたち』(KADOKAWA)についてのロングインタビューが掲載されている。聞き手は東雅夫さん。わたしは記事のまとめ役を担当させていただいた。千街晶之さんの書評も掲載されており、『幽』でおなじみのメンバーで『異形のものたち』の世界に向き合った恰好。
『異形のものたち』は傑作『水無月の墓』から連綿と書き継がれている、日本的情緒をそなえた小池怪談の最新の成果で、身近な人の死と、そこから立ち上る妖しの気配を、達意の筆ですくいあげている。小池さんの描く「死」「異界」はこんなにも怖くて美しい。必読です。





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