2015年9月4日金曜日
【怪老人日乗】 九月某日
最近はこんなネットの辺境のようなブログにも、わざわざ人名検索で飛んできてくださる方があるようだ。
理由はよくわからない。
小野不由美さんの『鬼談百景』(角川文庫)解説に関わらせていただいた関係か、それともどこか分からない世界でわたしの名が使われているのか(噂の不倫サイトとか……)、はたまた地軸が傾く前兆なのか、なんにせよありがたい話である。
で。
わが筆名でネット検索をかけると、どうも当ブログのトップページには到達せず、1回目のエントリーに飛んでいってしまうようですね。すこし前に気がついて、一応、ブログのサブタイトルに筆名を含めるようにしてみましたが、ほとんど意味なし。無垢なお客さんがばんばん、大昔のエントリーに飛ばされてゆく。大渦巻に呑まれてゆく。気を付けろ、そこは過去だ!
まあ、ブログ名を日本語にしたらいいんでしょうけど、今更変えるのもなんだかねえ。
ちなみにこのブログ名は「怪老人日乗」をオロシヤ語にしたもの。
といっても、露語は読むことも書くこともできないから、多少意味を解するらしい家人に露訳してもらったわけです。未だになんて発音するのか分かりません。
朝宮家は祖父母の代まで、つまり先の大戦が終わるまで樺太に住んでおりました。21世紀風に言うとサハリンです。
曾祖父は食堂を経営していたそうで、一時はそれなりに羽振りがよかったようですが、ある日火事を出してしまって食堂は全焼。財産を失ってたいへんに苦労した、というような話を父から何度か聞いた覚えがあります。
『ドクトル・ジバゴ』的荒涼とした風景の中、火の粉をあげて崩れてゆく曾祖父の店。
そんなイメージが、夢野久作の『氷の涯』や、小栗虫太郎の『紅毛傾城』、タルコフスキー映画のイメージと結びついて、いつしかわたしの中に漠然とした北方趣味、オロシヤ趣味を育てていったので、このブログのタイトルがオロシヤ語なのも、そうした幼稚な嗜好のあらわれなのであります。
必要があらば変えますが、当分そんな必要も訪れないでしょうから、しばらくはこの読めないブログタイトルのままで行こうと思います。
乞容赦。
なかなか仕事の紹介ができないなあ。
いつもそう思って出てくるのだが……。
そうそう。
人間椅子の和嶋慎治氏が、本を紹介するサイト「ホンシェルジュ」上で、おすすめ怪談本5冊を紹介している。
題して、人間椅子・和嶋慎治が選ぶ「過ぎ行く夏に読みたい怪談」
ポーやH・P・L、江戸川乱歩はまあ当然読んでいるとしても、まさか『新耳袋』や『「超」怖い話』まで読んでいたとは驚いた!定番作を中心とした、読み応えのある怪奇小説レビューなので、興味のある向きはぜひ。
今年は「夏の魔物」に行けないので、ちいと淋しい。来年は子連れで行こう。
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