2015年3月6日金曜日

【怪老人日乗】 三月某日



澁澤龍彦がよくエッセイで「記憶の修正作用」ということを書いているが、わたしもたった今、この修正作用に直面し、愕然としているところなのである。
何の話かといえば他でもない、ZOIDSの話なのだ。


ゾイドについて話すと長くなるのではしょりますが、「機械と生命体を合体させたらどうなる!?」 という一部の男子にはたまらないコンセプトを中心に据えた可動式玩具でして。
知ってる? まあ、知らない人は今度どこかでお茶でもしながら、ゆっくりと。


その中に「ゾイドゴーレム」というゴリラの形をしたのがいたわけです。
ゴーレムというのは、ゾイドの中でも斬新なデザイン性をもった「ゾイド24」というシリーズの一体だったんですけど、この話も長くなるのではしょります。
とにかく、グスタフ・マイリンクの魔術的世界すら感じさせる、丸みとメカっぽさの共存した実に恰好のいいやつでした(そういや、グスタフっていうゾイドもいたな)。


でね。
このゾイドゴーレムのテレビコマーシャルが、すっごく素敵だったんですね。
白いボディのゴーレムが基地からゴゴゴゴとせり出してきて、機械音を響かせながらのっしのっしと歩きはじめる。そこに重なる「五感と頭脳を備えたゾイドゴーレム、発進!」という冷徹な女性ナレーション。もう気分は『機龍警察』ですよね。


わたしは子供の頃、空手道場に通っていたんですが、稽古から帰ってきて道着を脱いでいると、ちょうどこのコマーシャルがよく流れていて(夜の8時45分ころ)、ゴーレムの勇姿に「か、かっこいい……」と林檎のようなほっぺをさらに赤くして、まるで赤提灯のようになりながら、ブラウン管の前に立ちつくしていたものです。


で、先刻ふと「今ならyoutubeにあるんじゃないか?」と思い立ち、検索したらすぐにヒットしました。TOMY、えらい! で、期待に胸を膨らませてプレイボタンを押したんです。わたし押しちゃったんです。
そうしたら。


(あれっ、意外に………)


意外に、の先はゾイドファンとして言葉にしたくないのだが、つまりは今みると意外に……なCMなのでありました。うーん。あれはどう贔屓目に見ても、ひょこひょこ歩くゴリラのおもちゃではないか。パイロットも謎のテレポーテーションをするし。ひょうきんな猿と人間のコンビに見えなくもない。


しかし、子供の目にはあれが世にも恐ろしい金属性の魔神に見えていたので、記憶の修正作用というより、単にわたしの想像力が衰えてしまっただけなのかもしれぬ。








さて、記憶といえば、一昨日は久しぶりに池袋へ。
ある仕事の関係からふと重信房子絡みの本が読みたくなり、古書漁りに立ち寄ったのである。


記憶によれば、立教大前のある古書店には、その手の本が豊富に揃っていた……ような気がしたのだが、どこをどう歩いても見つけられない。
とうとう分からないまま、東口のタカセであんぱんだけ買って帰ってきたのであった。
あれは夢の中の古本屋だったのだろうか?
ご存じの方がいたらご教示ください。





で、久々に買ったタカセのあんぱん。
長い方が粒あんで、丸い方がこしあんである。買わなかったけど、アーモンドチュイルもおすすめ。
わたしはこういう老舗のパン屋&洋菓子屋、たいへん好きです。



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