2012年8月18日土曜日

 『クトゥルフ神話への招待』はラムジー・キャンベル作品集だった!


夏の夜は近所の書店をぶらぶら。今日は〈ブックセンター荻窪〉を覗いていると、おっと、『クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X』なんていうアンソロジーが出ているじゃないの!


書店に行くたび、創元→早川→扶桑社→文春→朝日と海外ホラー棚を巡回していたはずなんですが、これはうっかり見のがしていました。8月10日発売ですから、半月ほど前には並んでいたんですね。


さて、内容はというと、タイトル通りクトゥルー神話作品のアンソロジーでありまして、目玉は大きくふたつ。

ひとつはジョン・W・キャンベルJr.の「遊星からの物体X」(あの映画の原作。これまでは「影が行く」のタイトルで訳されていました)をはっきりクトゥルー神話作品として位置づけていること。
南極探検隊がグニョグニョの巨大モンスターに襲撃される、というストーリーはラヴクラフトの「狂気の山脈にて」を連想させますよね。
キャンベルがラヴクラフトを意識しているかどうかは、海外でもいろいろ議論されているようですが、訳者のひとり、尾之上浩司氏は、ラヴクラフトとクトゥルー神話へのトリビュート、あるいはオマージュなんじゃないのという立場。実際、こうしてアンソロジーに収められても、全然違和感はありません。


もうひとつが、英国ホラーの雄、ラムジー・キャンベルの未訳作品がまとめて5作も収録されていること。これは局地的にビッグニュースですよ!先日、『ナイトランド』創刊号をこのブログで紹介した際に(→こちら)、ラムジー・キャンベル、そろそろまとめて紹介されないもんかねえ、と書いたばかり。書いたからには、じっくり読ませていただきます。愉しみらー。

アンソロジーのラストには、ラヴクラフトの代表作「クトゥルフの呼び声」を配し、初心者にもやさしい設計。クトゥルー神話への入口であると同時に、実は本邦初のラムジー・キャンベル短篇集としての顔もあわせもつという、渋い技の決まったアンソロジーなのでした。

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