2025年8月3日日曜日

角川ホラー文庫カーニバル2025開催

昨日は「角川ホラー文庫カーニバル2025」が東京都内で開催されました。角川ホラー文庫32年の歴史において初の試み、ホラー文庫を愛するファンと作家たちの祭典です。これが実現した経緯について述べておくと、まず一昨年角川ホラー文庫が30年を迎えて、記念サイトが立ち上がり、グッズが出たり豪華版が出たりと、このレーベルの存在感をあらためて意識させるような展開が続いていたことが伏線としてあげられるでしょう。それを実現していたのはめちゃくちゃ有能かつ熱意のある、現角川ホラー文庫編集部の皆さんなわけですが、その熱意がリアルイベント開催という形に結びついたのは私としても嬉しいことでありました。




で司会進行をやってくださいという依頼をですね、少し前にもらっていまして、ホラー文庫とともに生きてきたような人間としては引き受けざるをえまい、というわけでありがたく引き受けて昨日参加したわけです。以下昨日のレポート。しかし時間がない。イベントに出たから今日3つ原稿を書かないといけない。イベントごとは楽しいけど一日仕事になり、かつあまり金銭的には儲からないので…その分の原稿を前後にぐわっとやらねばならないのだった、ってこれはこちらの事情であって、とにかく大成功、大盛況のイベントでありました。素晴らしかったです。お客さんもスタッフも、もちろん参加された作家の皆さんも。私は河童みたいなものでした。会場をうろうろ、ぬれた手足でぺたぺた歩き回っていました。

ええとですね午前中に会場入りして、楽屋に入ったらすでに織守きょうやさんと原浩さんがいらしてご挨拶。サイン本作りが待っていまして、30冊弱サインを入れる。これは通販で売れた分らしいです。ありがたし。次々楽屋入りしてくる作家さんの皆さんも、お昼を食べる合間にサイン本をせっせと入れていて、まるで受験生の自習部屋のごとし。面白いので写真を撮ってしまったよ。梨さんも登場しまして、今日かぶる覆面の調整をしておられます。澤村伊智さんのTシャツはジョージ・A・ロメロ財団、三津田信三さんのTシャツは『IT』。新潟から櫛木理宇さんも上京されて久しぶりのご挨拶。鈴木光司さん、岩井志麻子さんも登場されて、楽屋が賑やかになりました。『ホラ100』お送りできていなかった方々にお礼とともに手渡し。

11時半からリハーサル、登壇する順番とマイクチェック。そうこうしてたら開場の時間、なんでも暑い外ですでに並んでいる方もいるそうで、ありがたいことでありました。めっちゃ暑かったんですよ、昨日は……。ほんで。開場が12時半、第一部スタートが13時。鈴木光司さんの開会の辞、岡山県和気町に貞子のモデルを探しにいったら、そこが岩井志麻子さんの故郷だった、という角川ホラーにばっちり絡んだネタのスピーチで、さすがだなあと。最後はしっかりホラーの楽しさ、自由さみたいなところに触れていて、幕開けにふさわしい堂々たるホラー宣言。基本、1部と2部でスピーチ内容は一緒だったんですが、2部だともうちょっとエピソードが増えていて、両方参加しているお客さんへのサービスも抜かりなく、すげえと思いました。

で澤村伊智さん、織守きょうやさん、原浩さんのホラートーク。私は司会で入りましたが、基本的にはホラーミステリについてお三方の意見をうかがうという感じ。『ぼぎわん』のショックだとか、いろいろうかがうことができて興味深いトークでした。あと織守きょうやさんがトークをまわすのがお上手なので、お任せしていても心配ないというか。原浩さんがこういう場に出てくるのも珍しく、皆さん楽しまれたのではないでしょうか。澤村さんは緊張してトイレが近い、という話をされていました。

というわけで1部が無事終わってサイン会、本を手に好きな作家さんのところに並ぶアイドル握手会風、しかも時間内なら複数作家さんに並んでも可、その気になれば全員コンプリートも夢ではないというシステムで、これが壮観。皆さん何冊も本を手に持っておられて、中にはバッグの底が抜けるほど本を買っている方もいました。ホラーファンってどこに潜んでいるのか、普段会うことがないわけですが、こうして集まればいっぱいいるじゃん、みんな楽しそうじゃん、という感じでですね、とても見ていて気持ちがよかったですね。

わたしの所にも結構並んでくださいまして、さらりさらりとサインをする。途切れるかと思いきや、最後まで途切れず。ありがたいことでした。『影牢』『七つのカップ』『再生』などのアンソロジーの他、お持ち込みで『ホラ100』を持参された方もかなり多く、ありがたいなあと思いました。なんでも1冊しか持ち込めないらしいんですよ、このサイン会。その貴重な枠を『ホラ100』にしていただいたことに感謝、心をこめてワニを描きましたが、Xを見ていない人も当然いるので、「このワニなんですか」という微笑ましいやり取りもあったのでした。編集Lさん、横で落款押しを手伝ってくださってありがとうございました。

で控え室に戻ってしばし休憩。さすがに人前でしゃべると若干疲れますね。ケータリングのコーヒーをたくさん飲む。楽屋はいろんなお菓子があって嬉しかったなー。澤村さんが差し入れしてくださった北海道銘菓・き花をありがたくいただきました。で4時半から第2部。鈴木光司さんのご挨拶に続き、三津田信三、梨さんが登壇。第2部のテーマはモキュメンタリーホラーについてで、こっちも有意義なトークが飛び出したのではないかと思います。お二人にお任せしていればいい感じでしたので、司会としても大変ありがたかったです。乱歩の「陰獣」がメタフィクションに開眼したきっかけ(三津田さん)とか、モキュメンタリーはどうなる、という話とか、今やる意義のあるテーマのトークでした。梨さんは当然ずっと紙袋。その下に仮面をつけているという念の入れよう。

でサイン会。こっちもお知り合いが結構きてくれて、楽しかったです。Xでつながっている皆さんやホラーな現場でよく会う方々、SF書誌の田中すけきよさんもご来場。1部ほどではなかったですが、それでも列が結構途切れず。終わり近くまで会場におりました。今日何体ワニを描いたんだろ。それにしてもすごかったのは三津田信三さんで、アイドルかディズニーランドか、というくらいの大行列。部屋の外までずらっと人が列をなしていて、海外のファンの方も多かったようです。すごいですねえ。

で全スケジュールがトラブルもなく無事終了。ホラーカーニバル無事閉幕でした。いやあ、よかったよかった。初の試みでしたが、これは大成功といっていいと思います。毎年やってほしいくらいのホラーイベントでした(KADOKAWAさんは大変でしょうが)。ホラーファンってほんとになかなか集う機会がないんですよ。作家さんを生で見る機会もないんです。SFカーニバル、ミステリカーニバルと並んで、ホラーカーニバルにはまだまだ可能性あるなと思った機会でした。

もちろんそれには今、実力ある作家さんがぎゅっとシーンに集中しているという星の巡り合わせみたいなものもあって。これが3年ずれたら実現していなかったと思います。去年鈴木さんの『ユビキタス』が出たこともそうだし、原さんの映画化もそうだし、わたしの『ホラ100』が出たこともそうだしね。そういう色々な天の采配もあって、大成功に繋がったのかなとも思っておりますが、「現代ホラーの新しい波」の盛り上がりを示す、素晴らしいイベントだったのは間違いありません。

終わり際の物販コーナーで貞子のTシャツ、トートバッグを購入。普段あまりこの手のグッズは買わない人間ですけども、今日だけはいいでしょう。そのくらい特別感のあるイベントでした。やっぱりこれはKADOKAWAの皆さんのお陰だなあ。貞子の井戸を持ってきてロビーに展示するとか、そこまでやってくれたのはKADOKAWAさんの熱意ですよ。ほんとに運営の皆さんが素晴らしかった。感動しました。




でおしゃれな中華のお店で打ち上げ。皆さんホラーな作家さんなので、美味しい料理を食べながら未解決事件の話をしたり、本当にあったヒトコワな話をしたりしました。澤村伊智さんとはホラー映画『地獄のモーテル』の話をしました。編集さんに「これからどんなホラーが流行りますか」と尋ねられたので「ワニと河童です」と答えてみました。最初から最後まで楽しかったです。22時半くらいに解散。駅のトイレでスマホを拾ってしまい、改札に届けていたら帰りがすこし遅くなってしまった。楽しい日の最後に、落とし物を見過ごして後々もやもやするのもなあと思ったので、届けてよかったです。寝ないつもりだったけどさすがに疲れて就眠。


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