怪老人日乗：10月21日（火）

遅れている某原稿、下書きまで終わり。あとは本書きだがなかなか腰が据わらず。乙一さんだったと思うが、文章を書くというのは普通と違う意識に入ることだから、気合いを入れるためにファミレスに行って作業をする、というようなことを書かれていて、その気持ちはよく分かる。えいやっという裂帛の気合いがこもらなければ、文章は書き出せないし、また普通の意識でさらさらと書き始めても私の場合、どこか気の抜けたものになるような気がするのだ。そう、この日記のように……。

というわけで逃避して日記を付けているわけですが、昨日はそんなわけでほぼ終日原稿書き。本をたくさん机に並べて作業する。前に住んでいた部屋は机が小さくて、本を積んだらすぐグラグラ崩れ、そもそもパソコンとA4サイズのゲラを横並びにすることができず大変にストレスだった。それで今の家に越すにあたり、据え付け型のでかい板を作ってもらったのである。これは本当にいい買い物だった。人生のいい買い物ベスト5に入ろうかというチョイスだった。

私はこわがりで倹約家だから、もっと小さくてもいいんじゃないの、と遠慮したのだが、奥さまがいや、ここは妥協しないで奥深くした方がいい、壁紙にも磁石を埋め込んで、資料などを貼れるようにした方がいい、と言ってくれて、そのおかげでいまはすこぶる快適である。

そんなわけで数十冊の本を置いて、それらを順番に参照しながらブックガイドの作成作業。この仕事を長くやっていると少しずつ必要な本も揃ってきて、図書館に行かずともそれなりの調べ物は自宅でできるようになった。媒体は次号怪と幽。今日で完成させて送らねば。合間に編集作業をやり、時評のための本読みをし、金曜日のポッドキャスト収録の準備もしないといけない。加えて今週は文学賞のパーティがある。そんなわけでまあまあに多忙。

そんな日々の気散じといえば通信販売であり、安い古本を買ったりするのだが、さっき確認したらヤフオクからのおすすめメールが来ていた。購入履歴や閲覧履歴をもとに自動送信されるものらしいが「100日後に死ぬワニ」のロングTシャツ。悪いけど……せっかくお薦めしてくれたけど……いらねえええ。