2022年6月29日水曜日

怪老人日乗:6月28日(火)

まだまだ忙しい怪談シーズンなのである。登山にたとえると五合目、人体にたとえるとヘソあたり、ゾイド星の歴史でいうならまだウルトラザウルスが出てきた前後だが、どうにも気が抜けてしまっていけない。先週、先々週と追いまくられるままに原稿を書き、夜も寝ないで資料を読み、ということを続けた反動で、気づけばガソリンタンクが空になったらしい。月刊誌の作業が一段落し、文庫解説Bもなんとか終わり、責任重大な取材も済んで、といろいろ肩の荷が下りたのも大きい。

とはいえ先述のとおりまだまだやることはあって、休んでいる場合ではないのであった。来月頭までに文庫解説C、C文庫のアンソロジー目次作成、K文庫の新アンソロジーの資料集め、というでっかい仕事があるのと並行して、インタビュー原稿のまとめが急ぎで4本、コラム的原稿と某シリーズ紹介記事、書評などの〆切も月末から7月初旬にかけてやってくる。好書好日取材のアポ取りもしなくちゃだし、どうにも忙しない。何から手をつけていいか分からないので、ついぼんやりネット古書など買ってしまうのだった。先月、古本を買いすぎて(橘外男を買いまくったせいもあるけど)今月はいきなり金欠なり。

日中、来年出る本のアイデアを練って担当さんにメール。まだ素案だけど、手元で抱えているよりはいいや。そうこうしてたら午後。取材の支度にかかる。ビッグな方なので忘れ物などないよう入念に。夕方、まだ暑い中を歩いて駅まで。電車の中では源氏鶏太『招かれざる仲間たち』読む。地下鉄使って待ち合わせの某駅改札。

初顔合わせの編集さんと合流し(河出書房新社のIさんが繋いでくれたご縁)インタビューイのお仕事場まで。1時間ほど楽しいお話うかがう。第一線で描き続けている方というのは、努力才能はもちろんですが、面白いものへの好奇心とそれを咀嚼する力が並外れているのだな、とあらためて実感するインタビューでした。

終わって外に出ると夜。編集さんたちと別れ、夜9時頃に帰宅。大役務め終えてホッとしたので録画していた「笑点」。やるべきこと山積だが、うーんむ、どうにもやる気が起きないのよ。それは天気のせいさ、と歌ったのはサニーデイサービスであるが、今日のところはそういうことにしておいてもらおう。

橘外男『蒲団』の書影がネットで公開されていた。中公文庫のイメージ、橘外男のイメージを一新するカバーデザインは山下昇平氏の作品を大胆にあしらったもの。土俗的のようでモダン、和のようで洋という山下氏の作品は、なるほど橘外男の世界にぴったり。編集部のNさんのセンスが光る一冊。これは本を手にするのが楽しみですね。帯にあるとおり文庫解説を執筆しております。外男の本が文庫で出るのは久しぶりなので、略歴をおさらいしつつ、各編にコメントを加えております。ときに怖ろしく、ときに物悲しい怪談7編。





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