2018年5月8日火曜日

怪老人日乗:5月8日(火)


曇りときどき小雨。
幼稚園まで子どもを見送り。ときおり自転車の後部座席に手を伸ばして、ちゃんと子どもが乗っているか確認する。ムニムニした腕にふれて安心するが、これがいくら触っても空洞だったらさぞ恐ろしかろう。稲川淳二の「八王子の首無し地蔵」、あるいは小泉八雲の「幽霊滝」が描いている怖さがまさにそれだ。そんなことを考えながら(運転中はついいろいろなことを考えてぼんやり)坂道の先にある幼稚園まで、せっせこ自転車を漕ぐ。漕ぐ。漕ぐ。


午後、取材のため飯田橋。
6月からスタートする新媒体の取材一発目だ。某ホラー作家さんに一時間強インタビュー。この企画が軌道に乗れば、現在国内で活躍しているホラーなクリエイターさんに毎月会えることになる。そうなると嬉しいな。


取材後、市ヶ谷まで一駅歩いて、総武線で高円寺まで。資料用のホラー本仕入れるため例の古本屋を目指すが、はいはい、分かっていましたよ、今日も閉店。チェーンの古本屋にはほしい本がないし(ジェーン・スーが海外文庫の棚にささっていたのは斬新だったが)、しょんぼりしつつ駅前に戻ると、さらなるショックが待ち構えていた。
北口のミスドがなくなっている!
別の喫茶店によろめき入って、呆然としつつテープ起こし。噫、ミスドのない高円寺なんて……これじゃあ何のために雨のなか途中下車したのか分からない。


帰宅して夕飯。明日の遠方取材に備えてあれこれ。お風呂では『マニエリスム談義』を読み進める。ルネ・ホッケと聞くと焼き魚の絵がぼんやり浮かんでくる人間には、ついていくのが精一杯どころか、はるか頭上を銃弾が飛び交っているような案配。


で。お仕事紹介、『本の旅人』5月号(KADOKAWA)。
新刊『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』を上梓した宮部みゆきさんと、『死者との対話』などで知られる批評家若松英輔さんの対談を取材&構成。
『あやかし草紙』は江戸怪談の傑作にして宮部みゆきのライフワーク「三島屋変調百物語」のシリーズ第5弾。次々と三島屋に持ちこまれる不思議でおそろしい話。今回は第1巻から百物語の聞き手を務めてきた主人公おちかの身に、ある転機が訪れて……。尽きせぬ魅力と読みどころについては、『本の旅人』の対談をぜひご覧ください。






ルネ・ホッケ定食650円なり。


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