2018年5月22日火曜日

怪老人日乗:5月20日(日) 第4回ホラー・アカデミア


快晴。
朝食とった後、日曜の恒例行事。一家でアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』。ちょうど姉の家が泊まりにきていて、3歳の甥っ子は鬼太郎初体験。こわいのか、口を半開きにして固まっていた。息子は慣れたもので「ちゃみのちぇばり!」(髪の毛針)とまわらない口で鬼太郎を応援しておる。前半ホラー、後半アクションという見応えのある回でした。
その後、ふいに天啓にうたれ、ツイッターのアカウントを取得。
とりいそぎ稲川淳二と『幽』公式アカウントのみフォローする。
https://twitter.com/Unga_Asamiya


子どもたちはテント持って近所の公園へ。その間、午後までせっせこ仕事進める。うーん。週明けまでになんとかする、というプロジェクトは大抵破綻するな。神風は吹かない。夕方になったので身繕い、中央線に乗って新宿まで。


まずは紀伊國屋にて新刊チェック。6月から時評めいたコラムを書くことになったので、その下調べ。新刊情報はネットでも見られるが、やはり大型書店で現物眺めたほうが、いろんなネタが頭のなかで有機的につながる気がする。
『夢の器 原民喜 初期幻想傑作集』(彩流社)、『別冊文藝 諸星大二郎 大増補新版』(河出書房新社)など、欲しい本あれこれ目につくが、軍資金に限りがあるのでぐっと我慢。今月、なんだかお金がないなあと思ったら、『夢野久作全集』4巻(国書刊行会)のお金を振り込んだのでした。結局、ブックレビューのネタになりそうな本のみ購入。
夕飯、紀伊國屋地下のモンスナックでカレー。微妙にそっけないいつもの女店員さんが愛らしい。これまで気づかなかったが、壁には美輪明宏のサインが貼ってある。ますますこの店が好きになった。


で。新宿5丁目のトークライブスペース、Live Wireまで。
19時半より「ホラーアカデミア#4 鏡花と怪異怪談」を観覧。ホラーアカデミアは、怪異怪談研究会がプロデュースしているイベントで、訪れるのはこれが初めて。会場は満員御礼。
アンソロジストの東雅夫氏と、新進気鋭の国文学者・今藤晃裕氏&鈴木彩氏が、泉鏡花作品における怪異怪談についてトークをくり広げた。




二部構成で前半は鏡花作品にひそむサブカルチャーとの親和性について。『文スト』『文アル』はもちろん、劇場版『サクラ大戦』、鈴木清順『陽炎座』などにも話が及ぶ。
後半は昨年逝去された鏡花研究者の清水潤氏をめぐるトーク。いい意味でオタク気質の持ち主だった清水氏だからこそ、従来の文学研究の枠組みを踏み越えた、斬新な研究ができたのではないか、というようなお話(大意)。前後編どちらにも「オタク」というキーワードが浮上していたのが、現代の鏡花受容のあり方を示すようで興味深かった。

 
質疑応答コーナーでは、鏡花と能楽の関係について質問。大学時代、田中励儀先生の授業(日本文学講読)で『歌行燈』を読んで以来、鏡花と能楽の関係についてずっと気になっていたのである。怪異怪談的なるものを読者に伝えるうえで、日本人に古くからなじみのある能楽の構成が有効だったんじゃないか(たとえば『高野聖』)、という東氏の回答に膝を打つ。
文学研究の世界から見事に脱落した僕としては、鏡花と怪異についてばりばり研究している鈴木氏、今藤氏がたいへんかっこ良く、頼もしく感じられたのでありました。


すぐ横の席には作家の水沫流人さん、光原百合さん。鏡花といえば水沫さんなので、会える気がしていました。光原さんとは初対面のご挨拶。ナナメ前にはちょうどアニメ演出家の角銅博之さんが座っていたので、今朝の鬼太郎アニメについて感想伝える。
会場では清水潤氏の遺著『鏡花と妖怪』を購入。財布のお金が足らず、パスモのケースからこっそり紙幣を抜き出したのは内緒だよ。一緒にもらった「潭々 清水潤さんを偲んで」という追悼冊子には、恩師・田中励儀先生の書かれた追悼文も載っていました。鏡花とサブカルチャーといえば、当時田中先生とも「『サクラ大戦』行きました!?」って盛りあがった記憶があるなあ。


時間もないので懇親会には出ず。ふらふらと歩く案山子のように帰宅。夜なべ仕事するつもりで諸肌脱ぎになるが、気づくと明け方。スズメの声。むーん。




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