移転先はわがホームタウン、国分寺。
うちから歩いて10分、バイクで3分という立地である。
というわけで、さっそく活用させてもらっている。
都立図書館は都内に2館あり、南麻布にある中央図書館が新しめの書籍メイン。
このほどリニューアルした多摩図書館は、雑誌と児童書に力を入れている、という棲み分けがある。
雑誌が多い図書館が近所にあるのは、わたしのような商売の人間にとってたいへんありがたい。
仕事で必要になりそうな各文芸誌のバックナンバーをすぐにチェックすることができるし(文芸誌をきちんと揃えている公立図書館は少ない)、各分野の専門誌も広い閲覧スペースでチェックできる。日々の情報収集にはもってこいだ。
念のため専門分野である怪奇幻想系をチェックしてみると、お、出た、出た。
『幻想文学』も『牧神』も『幻想と怪奇』も創刊号からコンプリートされている。『幻想文学』の創刊号なんてなかなか手が出ないから嬉しいぞ。
雑誌以外でも、エイブラハム・メリット『魔女を焼き殺せ』、ヒチコック『私が選んだ最も怖い話』など、貴重な絶版ホラー本が収蔵されていて、タイトルを眺めているだけで胸がわくわくしてくる。
で、思った。
これだけ大きい図書館なら「あれ」もあるんじゃないか?
「あれ」とは何か。
古本が好きな方なら分かっていただけると思うが、いくら足を棒にして古本屋を巡っても、毎晩のようにネット書店で検索をかけても、なぜか出逢うことのできない幻の本、というのが世の中にはあるものだ。
新しい本屋に入るたび「で、『あれ』はないのかな?」と反射的に探してしまうのだが、それでもやっぱり見つからないライフワーク的探索本。
すなわち「あれ」。
私にとっての「あれ」とは他でもない、アメリカの超常現象研究家ジョン・A・キールが著わした『UFO超地球人説』(早川書房)のことだ。
(原書新装版のカバー)
『UFO超地球人説』は『Operation Trojan Horse』(1970)の邦訳で、UFOは文明の進んだ異星人の乗り物であるといういわゆる「地球外起源説」を否定し、超越的存在としてのUFO像を提示した画期的名著(であるらしい)。
超常現象とキールに興味を持って以来、ずーっと探してきたのだが、これまで一度もお目にかかったことがない。おそらく日本でもっとも超常現象本が多いと思われる中野ブロードウェイ4Fの「まんだらけ海馬」に足しげく通ってみたが、それでもダメ。出会いの気配すら訪れない。むう~。
どうもこの本、流通している数自体が少ないみたいで、稀代のUFOマニア3人による鼎談集『トンデモUFO入門』(山本弘、皆神龍太郎、志水一夫/洋泉社)にも次のようなやりとりがある。
皆神 なかなか手に入らない幻のUFO本、というのもあるね。僕は『UFO超地球人説』(早川書房)がどうしても手に入らない。
山本 あ、キールの! この前、ようやく手に入れた! 偶然入った古本屋で偶然見つけたの。
あの皆神龍太郎氏でさえ持っていないというのだから、いかに珍しい本であるかは推して知るべしである。
で、昨夜のことだ。
ちょっと都立多摩図書館に寄った際に、「そういや『あれ』をまだ検索してなかったな」と思いついたのである。
まさかないよなあ、なにしろUFO本だもんなあ、と心の中で予防線をはりつつ、慣れた手つきで「超地球人説」と打ちこむ。
「UFO」まで含めてしまうと半角・全角の区別でうまくヒットしないことがある、というのは長年の探索で身につけたコツだ。
期待せずに「検索」ボタンをクリック。
あ、あった。
え、え、え? どういうこと? 予想もつかない展開に軽いパニックを起こす。落ち着いて画面を見なおしてみたが……夢でも勘違いでもなかった
全国のUFOファンに声を大にしてお知らせしたい。
都立多摩図書館には『UFO超地球人説』があります!
さっそく閉架書庫から出してきてもらって、カウンターで「あれ」と対面。
おお、そうか、お前はこんなカバーデザインだったのか。卵みたいのが宇宙を飛んでるよ。味があるなあ。ソフトカバーで全体の佇まいとしては、大陸書房のオカルトノンフィクションに近い。なるほどなあ。
昨日は閉館時間が迫っていたのでほんのさわりしか読むことができなかったのだが(都立図書館は国会図書館と同じく貸し出しができない)、相変わらずのキール節でグイグイと怪しい世界に引き込まれた。
今度じっくり読みにゆくことにしよう。
本日の結論。
リニューアルした都立多摩図書館は最高だよ!
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