2016年7月6日水曜日

ほんとにあった!カルトなビデオ⑤ 『首飾り』



見てはいけないものを見た!
そんな放送事故のような気分を味わえるのが、今回紹介するオリジナルビデオアニメの『首飾り』である。
どうしてかって?このジャケを見れば分かる。問答無用で感得できる。






一応18禁のアダルトアニメなのだが、こ、このジャケは商業作品としてどうなのだ!?
ストーリーがなにひとつ伝わってこないし、背景も曖昧。下描きのエンピツ線も残ったままだし、色塗りもひどくいい加減だ。


そもそもこの作者は人体というものを見たことがあるのだろうか。ひょっとしてすべて想像をもとに描いているのではないか。そう思いたくなるくらい、バストから腹部、足にかけてのラインが独創的だ。太もものかたわらに張りついている白いミトンみたいなのは……右手、なのだろうなあ。
この青シャツを脱いだら、彼女はいったいどんな体型なのか、にょろりと長い触腕が現れるのか、想像してみるとちょっと怖い。


これはすごい!アウトサイダーアニメだ!と大興奮、即座に購入しました。深夜営業の郊外型ビデオショップで中古価格1500円くらいだったが、この絵が40分間も動いているなら定価でも惜しくはない。ついに念願の悟りが開けるかもしれないぞ。


で、ドキドキしながら再生ボタンを押したんですが……あれ?絵が違う。
再生された本編は、いわゆる萌え絵で描かれたごく普通のアダルトアニメなのだよ。
内容的に多少笑える部分はあったものの(冒頭、ヒロインの着替えを覗いた主人公のBOYが、たちまち官憲に連行される極端な展開とか)、おおむね平常運転のエッチなアニメ―ションであった。いやまあ、本来そういう商品だからそれはそれで構わないのだし、流れていれば興味深く拝見するが、拝見しまくるが、しかし見たかったのはこれではない。




(ヒロインの顔が全然違う!)




じゃあ、このジャケはなんなのだ?
考えているうちに、ぞーっと背筋が冷たくなってきた。
普通に考えたら、中身を作っている業者がジャケも手掛ければいい話である。なぜそうしなかったのか。そう思って見るとこのジャケット、明らかに平素アニメを作っている人間の手になるものではない。裏ジャケのわけの分からない構図といい、局外者が見よう見まねで描いたような……どこかしらアンダーグラウンドな気配さえ漂わせるジャケである。


まずい、と思った。
わたしは触れてはいけない領域に触れかけているのかもしれない。すなわち、裏社会とアダルトアニメ業界のボーダーランドに。
わたしには聞こえるような気がするのだ。頭に拳銃を突きつけられ、これまで一度も描いたことのない萌え絵を描かされている、男の叫びが……。 「や、やめてくれっ、精一杯可愛い絵を描くから、こ、殺さないでくれっ」……。危ないのでこれ以上の妄想はやめておくが、これほど流通過程に興味をそそられる作品もそうないであろう。
ジャケと本編の落差がいいようのない怖さを生む、真のカルトビデオである。







なんかこわいので★5つです!



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