2014年10月4日土曜日

怪老人日乗・その9 「『薔薇の迷宮』はカルトファン必見作だ!」




先のエントリーを書いた後、「そういや、日野日出志先生って最近何してんだろ?」と気になって検索してみたところ、なんと映像作品を撮っていたのである。
タイトルは『薔薇の迷宮』
あの『ギニーピッグ』以来、実に26年ぶりの映像作品だという。



http://girls-ch.com/original/hinohideshi.php?transactionid=6cc5a21c29810453fe289520559e37311224678b



しかも。
10月2日(木)、渋谷のアップリンクにて上映イベントをやるというではないか。


なんという素晴らしいタイミング。
「願えばかなう」との名言を吐いたのは、かの野口英世の母であるオシカさんだが(真偽不明。学研まんが「伝記シリーズ」『野口英世』の巻を参照)、日野日出志先生に会いたいというエントリーを書いた直後に上映イベントがあるというのは、これはもう、ひばり書房の神のお引き合わせにちがいない。


というわけで勇んでアップリンクに出かけてきたのである。
昨夜のことだ。


さて、この作品。
女性専用動画サイト「GIRL'S CH」(サイトはこちら)のコンテンツとして制作されたものだそうで、作品内容も女性向けのエロティック・サスペンス、とでもいうべきものになっている。




主人公の女性(友田彩也香)が夜道を帰宅していると、背後からコツコツ、という怪しい足音。はっと振り返るとそこには、般若の面をつけた怪人物(伊佐美)が……。
こんなショッキング・シーンから始まる本作は、全5話の連作短編。
主人公が姿の見えないストーカーに怯えつつ、性的妄想にじわりじわりと絡めとられてゆく、というニューロティックな物語で、最終話では彼女を怯えさせていたものが何だったのか、その正体が明らかになる。


このラストの展開は、日野日出志ファンならお馴染みのパターン。
ここで作品名をあげることはできないが、往年の名作あれこれとも共通するサプライズがあって、ちょっと嬉しいのであった。
こちら(→GIRL'S CH当該ぺージで無料視聴できるので、18歳以上の女性は是非どうぞ。





さてさて。
以下、本音で書きますが、これははっきり言って相当なカルトムーヴィーです!ううん。これはすごい。かなりすごい。


般若の面をつけたストーカーが、黒いマントをつけ、赤い薔薇の花束を持って追いかけてくるんですよ。しかも、このストーカーがアップになるたび、JOJO広重による轟音ノイズミュージックが「ギョワワワーッ!!グエエエーーッ!!」と爆音で鳴りひびいて……頭の中が因数分解されてゆくような、ものすごい衝撃映像なのですよ。


そもそもなぜ、ストーカーが般若なのか。それが分からない。
しかも、途中で一度だけ、天狗の面に変身するのがもっと分からない。
主人公のマンションの風呂場のシャワーヘッドに「お客様へのお願い」というシールが貼ってあったのも分からないし、寝室のクマのぬいぐるみが異様に巨大なのもわけが分からない。
ああ、分からないことだらけだ……。


そんなわけで、一応オトナの女性向けということになっており、もちろんそうした目的でも楽しめるはずだが、カルトな映像を好むファンにも見逃せない作品となっている。
般若と薔薇が裸形が織りなす『イレイザーヘッド』な世界、といったら言い過ぎだけど、ヘンテコで鮮烈な映像美学に何度ものけぞること請け合いだ。
(君は薔薇のなかで女性を抱く、般若を見たことがあるか!?)
この週末。脱法ハーブなんて吸う暇があるなら、『薔薇の迷宮』を見て、彼方までぶっ飛ぼう。


ちなみに。
生の日野日出志先生はフランス人みたいな素敵な帽子を被った、とってもダンディな方。
JOJO広重さんの生演奏も、「蔵六の奇病」への思いがこもっていて感動的だったし、愉しき夜でありました。




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