『ダ・ヴィンチ』4月号が発売中である。
樋口さんが「人生に迷っている人へ」贈りたい本としてあげたのが、山田風太郎の名著『人間臨終図巻』。
お話をうかがってみて、樋口さんの創作スタイルに『人間臨終図巻』がとてもとても大きな影響を与えていることが、よく分かった。樋口作品の特異な世界を読み解くうえで、『人間臨終図巻』は必読の一冊だろう。
ほかに、参加者が本を贈り合うというスタイルが巷で話題を呼んでいる読書会「ブクブク交換」の模様も、4頁にわたってレポートしている。ご覧いただけると幸いだ。
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さて、昨日16日(土)はスクーターを駆って、武蔵野市の成蹊大学に出かけてきた。
成蹊大学創立一〇〇周年記念行事〈成蹊大ミステリ・フォーラム〉なる催しが開催されていたからである。
成蹊大は2005年より「ミステリSFコレクション」として、ミステリ周辺ジャンルの資料を収集している(ということは、このたび初めて知ったのだが)。
今回のフォーラムでは、夢野久作の未公開書簡などを展示しているというので覗いてきたわけだ。
久作の書簡は異母妹である森綾子にあてたもので、第一次資料があまり残っていないといわれる大正5~7年頃に書かれている。伝記研究をするうえで貴重な資料だろう。ほかにも成蹊大では父・杉山茂丸の書簡とあわせて計200通ほどの資料を購入済みらしい。解読が待たれる。できうることならなんらかの形で公刊してほしいものだと思う。
それにしても、久作は達筆である。昔の人はみな字がうまいけれども、久作はさすがに堂堂とした立派な字を書いている。また、「泰道」(久作の本名)に「やすみち」とルビを振っている封筒があるのには、ちょっと驚いた。「たいどう」ではなかったのか。両方使っていたのだろうか。
さらにミステリSFコレクションの閉架書庫も見学させてもらう。
このコレクションはもともと戸川安宣氏の蔵書がもとになっているのだそうで、今後もさらに資料を増やしてゆく予定とのこと。ご近所にこういう大学があるのは、心強いことだ。
午後はそのまま調布に出て、神代植物公園にて、梅見物。のつもりだったが、梅はもうほとんど終わりかけで、桜が咲きはじめていた。写真は上が梅、下が桜である。
深大寺の境内では、ムクロジの樹を見つける。ムクロジというのはまん丸い実のなる植物で、硬い実は羽根つきの羽根に使う。なんでこんなことを知っているかといえば、澁澤龍彦のエッセイにしばしば登場するからだ。澁澤ファンには妙に馴染みのある植物、といっていいのではないか。
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