2012年12月6日木曜日
『ダ・ヴィンチ』1月号
珍しく連続投稿。
『ダ・ヴィンチ』1月号が本日発売である。
巻頭特集が恒例の「BOOK OF THE YEAR」。
それにあわせて「文庫ダ・ヴィンチ」コーナーも「2012年の注目文庫はこれだ!」という企画を展開している。
その中の「目利きが注目!ジャンル別これからアツい3冊」という欄に、〈怪談・ホラー〉担当でコメントを寄せているので、よければご覧いただきたい。ほかのジャンルでは〈一般文芸〉を藤田香織氏が、〈ミステリー〉を杉江松恋氏がそれぞれ担当している。
京極夏彦氏の新刊『眩談』の著者インタビューも担当した。
『眩談』は『幽談』『冥談』からつづく〈「 」談〉シリーズの第3作で、時間・空間・記憶などさまざまな「歪み」を描いた短篇集。文字どおり目眩く感覚を味わうことができる。
怪談ファンなら「シリミズさん」「杜鵑乃湯」に注目だろう。ガジェットだけ取り出すといかにも「怪談」なのだが、書き方によってそれを巧みに回避しており、結果どこにも属さない小説に仕上がっている。アクロバティックな試みに驚愕させられるはずだ。
巻末に置かれた「けしに坂」「むかし塚」の2作によって、歪んだ物語が歪んだままの形で不思議と腑に落ちる、という構成の妙もさすがである。
『幽談』『冥談』以上に、いわゆる「怪談」との差異がはっきりした作品集、といえるかもしれない。
著者の野心的な試みについては、インタビューを読んでいただくとより明瞭になるだろう。台湾での京極作品の受容にも触れられている。
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