というわけでだな、気づけば8月も後半ですよ。いろいろ考えたくないことがあるが(仕事が遅れているということです)暑さ寒さも彼岸まで、そろそろ冬になるのでしょう。毎年書いていることだけれども、一年の過ぎるのは早い。マッハの速度で季節がめぐる。いや、季節の循環というのはそもそも超高速マッハの速度なのであって、幼少期にはそれに気がつかないだけなのかもしれない。ぐるぐるぐると、ちび黒サンボの虎のように高速回転しているのが世界の本当の姿で、人間はそれにちらっと手をつけて、およよ、と言っているうちに一生が終わるのであろう。
ええとですね、この日曜日、といっても5日ほども前だが、気分的にはちょっと前だ。加門七海さんの新刊刊行記念トークイベントにゲスト出演しまして、場所は新宿歌舞伎町のロフトプラスワン。お客では行ったことがありますが、出演者として行くのは人生初で、中二階(地下だけど)みたいなところにある楽屋にも初めて入りました。ザ、ライブハウスの楽屋!って感じのたたずまいでよかったです。加門さんはむしろ新宿LOFTの方によく行っていたそうで、「パンク、スターリンとか」を見てたとおっしゃっていました。ちょっといい情報。
(ロフトプラスワンは歌舞伎町のど真ん中、ゴジラビルの近くにある)
さて加門さんといえば怪談・ホラーの第一人者であって、わたしは怪談雑誌『幽』のライターになったあたりから接点が生じ、加門さんが出演されていた怪談イベント(怪談の宴、とか)もお客として見に行っていたので、自分がトークゲストとして呼んでいただくのが不思議な感じ。加門さんの怖い話は絶品なので、それを横で聞けるのは役得だなあと思っていました。
で楽屋で待機していますと、客席の方が加門さんにドリンクを差し入れして「おお、かっこいい、大人のお客さんだ」と田舎者らしく感嘆していましたら、それを見ていたKADOKAWA編集のKさんが、気の毒がってわたしにもドリンクをおごってくださいました。ありがとうございます。12時開場でどんどんお客が入り、端の方まで結構な入り。暑い真昼間、しかも3連休の中日にありがたいことで、加門さんの人気の高さの証でしょう。13時開演で、10分ほどの休憩を挟みつつ、新作のお話を軸に、呪術のこと、神社のこと、幽霊のこと、作品の舞台になった歌舞伎町とネズミのこと、などいろいろと。わたしは霊感の類がまったくなくて、そういうのは鈍感な方だと思っているので、おばけの見える加門さんに素人目線であれこれ質問させていただきました。
いろいろ怖い話が出たのですが、一番ゾッとしたのは加門さんがなぜコロナの感染対策をしっかりやっているか、今日のイベントもなぜマスク必須で開催したか、というお話。初めてする話とおっしゃっていましたが、うわあという内容で、あらためて疫病って怖いな、と思いましたです。配信の冒頭に入っているので、興味のある方は聞いてみてください。
わたしは10数年ずっと気になっていた浅草での出来事(夜の神社で加門さんに声をかけられた話)とか、京都御所でジンギスカンをやろうとして皇宮警察に怒られた話、などを披露しまして、15時前に無事終了。その後はサイン会。わたしの持参した本も結構売れまして、ありがたいことでした(版元からの買い取り本だったので、売れなかったら赤字でしたのよ)。わたしのところにもサインに来てくださる方がちらほら、いろいろ差し入れもいただき嬉しかったです。ツイッターで交流のある方にワニ絵も描きました。中にはずっと原稿をお待たせしている編集さんの姿まで。ペコペコと頭を下げまして、いやあ、ドキドキしましたがこういう場で会えてよかったです。
その後、光文社さんの編集さん交え、加門さんと軽く歌舞伎町で打ち上げ。わたしはお酒が一切駄目なのですが、実は最近ノンアルコールビールを飲むようになり、はははは、我は酒豪じゃ、という気分で2杯飲みました。千鳥足でマンホールに落ちそうになりました。加門さんがプリンを食べていたのがちょっと羨ましく、帰り道、池袋に寄って珈琲館でパフェを食べて帰りました。
そんなわけで配信チケットがまだ買えるので、へえ、そんなのやってたんだ、結構いいじゃん……と不良少女のような口調で呟いた人はですね、買ってみてください。今、ホラー・怪談系のイベントが山のようにあって、こんなにあったらみんなチケット買うの大変だよなあ、給料やお小遣いなくなるよなあ、と氷河期世代としては正直思うのですが、加門さんの怪談・呪術トークは作り込んでいないがゆえの怖さがあって、たいへんおすすめです。
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