2018年1月21日日曜日

怪老人日乗:1月19日(金)

快晴。
週明けは東京も雪らしいが、それが信じられないほどの青空である。


午から取材2件。まずはJRを乗り継いで、普段あまり縁のない大井町まで。あ、この駅はずいぶん前に降りたことがある。そうだ、怪談専門誌『幽』主催のイベント「怪談ノ宴」を見るために、きゅりあんという駅前のホールまで来たことがあったのだ。
調べてみるとイベントが開かれたのが2009年9月12日。うわあ、もう10年近くも前……。わたしも上京して間もない時期、バイトで糊口をしのいでいた頃である。パンフレットを探したら、ありました、ありました。蛇腹型で一面にはイベント出演作家のアンケート回答、もう一面には山下昇平さん画の「城南怪談繪圖」が掲載されている。出演陣の皆さん、9年前とほぼ見た目が変わっていないことにも吃驚。怪談にアンチエイジング効果ありや。




大井町で降りるのはあの日以来だ。線路沿いの渋い細道を歩き、某所に赴いて取材一件。JRの敷地内に煉瓦づくりの古風な大きな建物が見え、それがいかにも怪奇映画風で思わずシャッターを切る。あとで検索してみると、旧大井町変電所であるそうな。小一時間で仕事は済み、そこから神田へ移動。次の取材まで3時間ばかあったので、カレー屋とコーヒー屋で時間を潰す。定年近い年頃のサラリーマン2人づれが「よし、ここにするか!」と明るく言い合って雑居ビルに入っていくので、うまい店でもあるのかと思ったら「アジアン美女マッサージ」的なお店であった。世のお父さんはああして発散しているのだなあ。コーヒー屋はたまたま目についた斉藤コーヒー店。ずいぶん古くからある店らしいが、付近をぐるっと歩いてみると、他にもいい感じの喫茶店が多く、さすがは日本有数のオフィース街という感じ。






もう1本、取材を済ませ中央線で帰宅。夜はDVDで映画一本。このところ松本清張原作の『黒い画集』シリーズを続けて見ていて、この日は鈴木英夫監督『黒い画集 第二話 寒流』。 池部良演じる銀行マンが出世して美しい愛人を得たのもつかの間、好色常務の平田昭彦が絡んできたせいで一転つらい目に遭いまくるという話で、その転落の過程が一種のサスペンスになっている。池部良のじめっとした目つきが素晴らしく、ヒロインの新珠三千代ならずとも「みじめね」と感じてしまうのだ。しかしまあ、平田昭彦と志村喬が同じ画面に映ると、やっぱり身を乗り出してしまうよね。


KADOKAWAより工藤美代子さん『怖い顔の話』(角川文庫)が届く。かの感涙の名作「ヨシエさんの霊感」を含む怪談実話集『ノンフィクション作家だってお化けは怖い』の文庫版である。この文庫化に際して追加収録された工藤さんと荒俣宏さんの巻末対談(「日常の中に〝死者〟と〝あの世〟を探して」)の取材・構成を担当しております。
1月25日発売。印象的なカバー装画は、嶽まいこさんによるもの。



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