2017年8月8日火曜日

汗みずく棚に囲まれ脱水し(其角)


まったく人生なにが起こるかわからない。
たとえばわたしが突然、売れっ子ユーチューバーになる可能性だって皆無とはいえないだろう。
もし売れっ子ユーチューバーになったらどうするか?
答えは決まっている。
手にした大金で仕事部屋にエアコンをつけるのだ。


わたしの仕事部屋にはエアコンがない。
こう書くとどこか山田詠美的だが(ぼくは空調ができない……)、その理由というのは実に形而下的なもので、ひとつには引越時余分なエアコンを購入するだけの資金がなかったため、もうひとつには天井まである本棚でエアコン取付用の壁穴を塞いでしまったためだ。


引越時は1冊でも多く本が入るように、とそればかり考えていたから、空調や採光なんて二の次三の次であった。 だからエアコンの穴もあっさり本棚で塞いだし、2つあった窓の1つも覆ってしまったのである。その結果どうなったか。夏暑く、冬は寒くてたまらない仕事部屋が一丁できあがった。


扠。
『デニス・ホイートリー黒魔術小説傑作選』を思い切って購入した話は、昨日ここで書いたとおりである。で、目下『傑作選』を入れるスペースを確保するべく、仕事部屋の本を減らしているのだが……いやあ、エアコンのない部屋で本棚整理はするもんじゃないですね。
埃と汗とでたちまちマカロニウエスタンの端役のような姿になってしまった。


苦心の甲斐あって、20~30冊ほどは減らせそうなのだが、それはあくまで部屋全体での話。
重厚な函入全7冊セットを鎮座させられるスペースはなかなか現れない。うーん、参つたな。
部屋を見わたしてしばし悩んだすえ、「キミに決めた!」と指さして叫んだのは海外文学棚のてっぺん。現在白水Uブックスとアーカムハウス叢書が置いてある場所であった。


 (この棚のてっぺんをわんぱくデニスの居場所に決定)


白水Uブックスはノベルスと同サイズなので、国産ミステリーのノベルスを若干減らし、そちらのコーナーに合流させることにした。平積みにされている可哀想なアーカムハウス叢書は、現在混迷をきわめる海外棚を整理整頓することでスペースを確保できるのではないか、と思っている。



(ナイトランド叢書の続きはどこにあるんだろう……)


ところで。
この海外棚の向こうというのがまさにエアコン用の壁穴がある位置で、どでかい『黒魔術小説傑作選』なんて置いたらますます、エアコンをつける日が遠のきそうな予感。
売れっ子ユーチューバーになったらとりあえず、最高級の扇風機と洒落たどてらを買うことにします。


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