2016年10月29日土曜日

ウィリアム・ホープ・ホジスンと花やしきの秘密



ある日のこと。
天気がよかったので仕事をまるっと休みにしまして、浅草の花やしき遊園地に行ってきたんですよ。こういう自由がきくのがフリーランスのメリットであります。デメリットはって?それは多すぎてとてもここには書ききれない。





ともあれ。
開園が1853年といいますから、実に江戸時代。まだ日本人がちょんまげ結ってた時代です。もちろんそんな時代からローラーコースターがあったわけではなく、徐々に今の形を整えていったわけですが、どこかの時点でぴたりと時代に歩調を合わせるのを止めた感があって、それがとても心地いい。寂れていないのに、懐かしい。活気があるのに、古くさい。





一人でスリラーカーに乗りましたが、これが恐ろしく、乗ってから降りるまで「ぐええええ、止めてくれよおおおお」と悲鳴をあげておりました。誇張でもなんでもなく。作り物のお化けに触られる、傷つけられる、という恐怖感がずっとぬぐえず。あの怖さはなんなんでしょう。フィクションのホラーならいくら化け物やナメクジが出てきても平気なのに。
自分って臆病なのだなあ、とつくづく感じた秋の一日。


で。
ふと空を見上げますと、おお、あれは……「石の船」ではないか……!






「『聖ジョージにかけて、こいつはまごうかたなき石の船だ――〈永遠〉の中からさまよいでてきたんだ、この広い太平洋のまっただなかに……何と! 船のほうが荷より千トン以上は重いはずだぞ。考えられん……まるで――」(W・H・ホジスン「石の船」井辻朱美訳)


ホジスンの海洋ホラー「石の船」と、花やしき遊園地の間に一体どんな関係があるのか?
はたまた一切関係がないのか?
あるわけないという説もあるが、近くの浅草寺には岡本綺堂の功績を称えた「半七塚」が建っているわけで、半七老人ならぬカーナッキを称えるために、日本怪奇作家有志が花やしきに石の船を建立した、という推測もかろうじて成り立たせようとすれば成り立ちうるのだ。


花やしきはこのままの姿であって欲しい。そして花やしきのスリラーカーは怖い。ホジスンの「石の船」も怖い。という3つが、最高にためになる今日の結論なのである。


帰りたまえ!






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