2016年1月11日月曜日

金属になりたい


まったく私的な話題をしていいですか?


この正月に帰省した際、実家の書庫より懐かしい本を回収してきた。
『ゾイドバトルストーリー』1~4巻、『メカ生体ゾイド 戦闘機械獣のすべて』(いずれも小学館)である。






子供時代のわたしがゾイド狂であったことは、以前にも少し書いた。
わたしは1980年代に子供時代を送った世代だが、ビックリマンにもミニ四駆にもはまらず、ファミリーコンピュータもディスクシステムも所持していなかったので、同時代的なホビーの知識が圧倒的に欠けている。
その数少ない例外がゾイドで、これには頭のてっぺんから足のつま先まで、全身全霊をかけてはまった。


ゾイドというのは、簡単にいってしまうとゼンマイか電池で動く、生物の形状をした兵器メカのおもちゃである。ゾイドには大きく分けて共和国軍と帝国軍のメカがあり、両軍はゾイド星という惑星で長きにわたる戦争をくり広げている、というストーリーがあった。


その架空戦記的なストーリーを裏付けるのが、オフィシャルブックである『ゾイドバトルストーリー』で、これを読むと新しいゾイドがどんな戦況を背景に登場してきたのかが諒解できるようになっていた。共和国軍の従軍記者ロイ・ジー・トーマス氏が執筆した戦記、という体裁で刊行されていたから、いってみればフェイクドキュメントである。


 (こんな感じにジオラマと読みもので構成)


いま読むと、第二次世界大戦の戦記ものを下敷きにしているのだな、ということが分かるのだが、当時はそんなこと考えもせず、とにかく様々な形状の機械獣が火花を散らす戦史を、ただただ夢中になって読んだ。


ZAC(=ゾイド歴)の何年にどんな事件が起こったか、そらで言えるほど読み込んだので、ゾイド星の歴史には小学校の誰より詳しくなったが、一方で現実の日本史、世界史にはほとんど興味がわかず、歴史音痴のまま今日にいたっている。顔も見たことのない侍がどこでどうしたかより(戦国武将は体が金属でできていない!)、共和国軍の追撃を逃れて暗黒大陸に消えたゼネバス皇帝がその後どうなったかの方が、当時のわたしには大切であった。


(地球人が出てくる問題作!)



ちなみに『ゾイドバトルストーリー』に先立って刊行されていた『メカ生体ゾイド 戦闘機械獣のすべて』によれば、ゾイド星の住人に近代兵器などのテクノロジーを授けたのは、巨大宇宙船で植民した地球人ということになっている。


このSFめいた設定は、どうやら1冊でフェイドアウトしたものらしく、正史である『ゾイドバトルストーリー』には地球人に関する言及はない。それを知って、当時大いに安堵したものだった。
金属の生命体が闊歩する夢幻の惑星に、生温かい肌をした地球人類ほど似つかわしくないものはないのだ。
ゾイドとはいわば人間不在のホビーであり、子供時代のわたしが心惹かれたのも、こうした徹底したアンチ・ヒューマンな、金属中心主義の美学によるところが大きかったように思う。



と。
かっこよさげに締めたところで、『ゾイドバトルストーリー4』から投函されなかったアンケートハガキが見つかった。





「ゾイド星の戦いは、これでおわりなのかどうかをしりたい」

…………。
そうだねえ、知りたいよねえ。
でも、高学年だからもうちょっと漢字を使えたらよかったね、うん。




以下、フォトギャラリー。
裏表紙はあまり見る機会がないでしょう。
上から『メカ生体ゾイド』、『バトルストーリー』1~4巻である。当時のムードを味わってほしい。
デスピオンは恰好いいのう。










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