2014年9月12日金曜日

怪老人日乗・その6 「世界に誇るクトゥルー音楽」



今夜はちらりと大阪へ行ってくる予定。
大阪城を見るのではない。秀吉に会うのでもない。人間椅子のライブに行くのである。
無頼豊饒ツアー、ファイナルの東京公演はたちまちソールドアウトだったようなので、こうなりゃ意地で大阪まで行くのであるよ。







今年は青森の夏フェス「夏の魔物2014」でも人間椅子を観ているのだが、フェスだと新旧取り混ぜて演奏するし、やっぱり新譜の曲をちゃんと聴きたいので。




さて。
以下、例によってどうでもいい思い出話である。
ブラック・サバスとか人間椅子とかのような重いギターリフ主体の曲調というのは、一見作るのがカンタンそうであるが、實はそうでもない。いや、作ろうと思えばいくらでも作れるのだが、聴ける曲に仕上げるのはセンスと技量が要る。


というのもその昔、友人と「それ系」のバンドを作りかけたことがあるのだ。


バンド名はなぜか永遠のアイドル少年隊からとって「仮面舞踏会」と名付け、いかにもサバス&椅子風のおどろおどろしいギターリフの曲をでっちあげた。
やはり四文字熟語っぽいタイトルが重苦しくていいだろう、ということで曲名は「痴漢電車」に決定。
「電車で、お尻を、触られたー」
「また触られたー」
みたいな、頽廃的かつ非生産的な歌詞もできあがった。
重々しいリフに乗せて、絞り出すような声で痴漢の恐怖が歌われるのだ。コワイですね。恐ろしいですね。


が。
いざやってみたらこれがへヴィーでもドゥーミーでもなく、演奏しているうちに飽きてきた。演奏が下手くそなせいか、楽器習いたての中学生がお気に入りのフレーズを延々リピートしているようにしか聴こえない。どうやら他のメンバーも同じ気持ちらしく、あからさまに音はグダグダになってきた。
なんといっても、歌詞は痴漢だ。まるで気分が盛り上がらない。
「不毛だな」ということで意見が一致し、止めた。


やはりサバスや椅子はすごいんだな、と思った出来事であった。 




このブログの読者の多くは(いまだに『ゴクミ語録』の画像検索で飛んでくる人以外)、ホラー小説や怪談、幻想文学に興味のある方だろう。
だとしたら、人間椅子を聴いておいて損はない。
バンド結成25周年を迎え、へヴィーメタル方面からの再評価が盛んなようだが、もうちょっと怪奇小説サイドからも人気が出ていいのにな、と思うことしきりであります。


で、YouTubeからさらに2曲。
「ダンウィッチの怪」「狂気山脈」を貼りつけておこう。
いずれもラヴクラフトの壮大で古怪な宇宙的恐怖のムードを、實によく再現していると思う。ああ、「ダンウィッチの怪」で響き渡る哄笑の忌まわしさよ。


アルバムを聴くなら後者を収めた『黄金の夜明け』がお勧め。西洋魔術&クトゥルー神話を背景とした黙示的な気配ただよう傑作。まるで朝松健の『邪神帝国』みたいです。




 
 (人間椅子「ダンウィッチの怪」/アルバム『頽廃芸術展』より)





 (人間椅子「狂気山脈」/アルバム『黄金の夜明け』より)



※アイフォーンではうまく動画表示されないかもです。おそらく地底人類の仕業。




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