2023年3月17日金曜日

怪老人日乗:3月17日(金)

 昨日は終日原稿書き。夜は野球の試合を見る。日本軍団対伊太利亜軍団。これまで野球を見たことがないので新鮮で面白い。いや、野球くらい小学生の頃に見るだろうと思うかもしれないが、私は本当に見なかったのだ。数回同級生の影響で、というか「見た方がいいのかな」と思ってチャンネルをあわせたが、よく分からなくてやめた。そもそも私は外で遊ぶのが嫌いで、友人が誘いに来たら「居留守」を使って隠れていた人間なので、スポーツ全般まるで思い出がないのである。

居留守といえば本当に私は人生のある時期まで人付き合いがまったくできなくて、大学時代も京都からわざわざ某という同級生(大学なので同学科ですね)が北海道旅行の途中で地元に立ち寄ってくれて、帰省先に電話をかけてきたのだが、私は怖くなってガチャ切りしましたからね。あの時はごめんね、Hくん……。大人げなかったよ……。

人と多少しゃべることができるようになったのは、逆説的だがライターになってからで、インタビューを日々こなすうちコミュニケーションが取れるようになった。人としゃべれないので物書き業に就くしかなく、そうしたら意外と口をきく機会が多くて、結果的に真人間に数センチ近づくことができたので、ありがたいものだと思っている。

終日原稿書きなのでこれといって特記事項がないが、そうだ、いただいた本を紹介しておこう。まずは橘外男『人を呼ぶ湖 橘外男海外伝奇集』(中公文庫)。昨年刊行され話題を呼んだ『蒲団 橘外男日本怪談集』に続く、橘外男のベストセレクションで、外男の十八番であるエキゾチックな怪奇幻想小説を8編収めている。

作品選定は前作同様、中公文庫編集部のNさんで、この方はもともと幻戯書房で橘外男の作品集を作っていたという筋金入りの外男マニア。最近中公文庫で探偵小説系の企画が相次いでいるのは、みんなこの方の暗躍のおかげなのである。外男の作品、必ずしも品がいいとはいえず、また現代の道徳倫理からするとマズいんでないの、という作品も多々あるのだが、解説で倉野憲比古さんが述べておられるとおり「人間社会の窮屈な論理とは無縁の作品」は奇怪な夢に浸ることの楽しさを教えてくれる。たとえばアラビアン・ナイトなどと同じような効用があるように思う。3月25日頃発売。




他にも何冊かお送りいただいているが、長くなりそうなのでまたあらためて。

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