2023年2月26日日曜日

怪老人日乗:2月26日(日)

よく晴れた日曜日である。されど風は冷たし。春までもう一歩。

春が近づくと聞きたくなるのは斉藤哲夫の『グッド・タイム・ミュージック』で、架空のバンドをモチーフにしたビートルズの『サージェント・ペパーズ』風のコンセプトアルバムだが、「君の街に春がくる」という曲があったりして、冬が終わって春がやってくる、ということがひとつのテーマになっている。とてもいいアルバムです。Spotifyになかったから大人しく棚にあるCDで聴こう……ってこういうのを堕落というんだな。

昨日は一日仕事。子どもは野球の試合、午後から野球の保護者会があったが奥さまに行ってもらった。たくさん食べろと発破を掛けられてきたらしい。野球といえば子どもが重度の花粉症で、グラウンドにいても目がかゆくて仕方がないという。夕方、家族で隣町まで出かけ、花粉症用の眼鏡を購入した。

昨日はといえば、好書好日の時評が公開されている。この連載も続けて長い。5年くらい経っているのではないか。時評をやらなければ読まなかったであろう本もあるし、元手(本代ね)はかかるが自分にとって大切な連載だ。今回も時評がなければ『サラゴサ手稿』を完結後すぐに読もうとは思わなかっただろう(積んではいたけど)。

そのほかに紹介したのはウォード『ニードレス通りの果ての家』と山尾悠子『迷宮遊覧飛行』。『ニードレス通りの果ての家』は実はゲラの段階で読ませてもらっていて、サイコサスペンスとして巧緻な作品だなとの印象を持った。あらためて読んでみて、やっぱり面白い。この作品は特に悲惨な現実からのサバイバルというテーマが強いわけだけど、他の作品はどんな感じなのか。

今日はモクモクと原稿。226事件の日なので、山田正紀『マヂック・オペラ 二・二六殺人事件』を再読したいけれどもそんな時間はない。しかし私は山田正紀の検閲図書館シリーズ、とりわけ第一作の『ミステリ・オペラ』が大好きでして、小栗虫太郎を思わせる探偵作家が戦死者に向かって「甦れ!」と声を掛けると、ぞろぞろ死体が立ち上がるという前半の場面なんてもう最高です。

最近描いてみた絵。テーマは松尾芭蕉『奥の細道』であるが、あいかわらず芭蕉の知識はゼロなので、俳句に詳しいらしい高田公太氏あたりに怒られそうな気もする。


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