2023年11月30日木曜日

怪老人日乗:11月30日(木)

今日はよく晴れている。冬の晴れた朝というのはありがたいもので、澄んだ空を見ていると自然両手を合わせて拝みたくなるような気になる。さてもう11月もおしまいだ。グッバイ20世紀というサンタクロースの出てくる映画があったけれども、もう覚えている人もおるまい。昔はレンタルビデオ屋に行くと、「グッバイ20世紀」と「大脳分裂」が必ず並んで置かれていたような気がするが……それもこれも遠い昔の話。寂光院はもう秋なのでございます。

さて昨日はバイクに乗ってイオンモール。中のお店でお昼を食べながら原稿読みする。イオンモールの類、できるまでは反対運動もあるのだろうし、実際地域の小売店を衰退させるという弊害もあるのだと思うが、できてしまうと結構みんな行ってしまうというか、ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」じゃないが、資本主義社会に生きる庶民にとっては何でも揃ってる天国、みたいなところはちょっとあって、実際昼から飲食店は混んでいるのだ。昼からふらふら店内を歩いていると「ここだけありゃ、もういいや」という満たされた気持ちになってくる。そんなことでいいのか。よくない気もするし、一周回ってもうそれでいい気もする。

最近は加齢のためか日が暮れると仕事をする気がなくなり、昨日も早めに寝てしまった。暢気にしていると12月初旬の〆切山脈が迫ってくるので、少しでも前倒しでやらないといけないんだけど……。ホラーワールド渉猟の次回インタビューイ、いまだ決まらず。どうしようかなあ。

さて唐突に風呂に入っていて思いついたことを書く。私は怪談専門誌『幽』出身のライターで、『幽』の方々には創刊以来ずいぶんお世話になっているのだが、その『幽』を出していたのがメディアファクトリー。もともと『幽』はMFが出している『ダ・ヴィンチ』の別冊という扱いだった。

でこのMFが2013年に角川書店と合併してKADOKAWAになるという話が持ち上がり、当時は色々大丈夫かという話も出たのである。実際、いろいろな影響が出て『幽』の発行元はMFからKADOKAWAに移り、その後『幽』は『怪』と合体して『怪と幽』に。編集部の皆さんもそれぞれKADOKAWAの文芸部署に異動することになったが、それから4年半、存続が危ぶまれた『怪と幽』はどっこい順調に続いており、私はといえば『怪と幽』でいまだに仕事をさせてもらっている。

当時『幽』にいた方々は当時とあまり変わらずお化け方面の本(それだけではないが)を作っているし、私は私でその方々とアンソロジーや文庫解説のお仕事でいまだに関わりがあり、『幽』創刊から来年で20年になること考えると、なんというか紆余曲折ありながらもお互いしぶとくやり続けているよなあ、という感じなのです。

こうなると完全に結果論だが、あの時角川書店と合併したのはいいことだったのかもしれない。いや、もちろんMFが存続していたらよかったのは間違いないが、KADOKAWAの中でもお化け方面の本をがんばって出している方々がいて、それが怪談・ホラーシーンを下支えしているのは間違いなく、たとば12月に出る私のアンソロジー『現代ホラー小説傑作集』も『幽』の副編集長だったKさんのお仕事だ。別に結論のない話なのだが、まあ私は人の縁に恵まれていることだけは確かで、南無阿弥陀仏と唱えて生きている。





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