2023年7月7日金曜日

怪老人日乗:7月7日(金)

 七夕である。ところでど「七」に「夕」って書いてどうして七夕って読むんだろう。昔から「ナナタ」じゃないか!と思っていましたが、そこんとこどうなってんですかね。誰が決めたんだ。孔子か? まあいいや。そういうわけで今日は快晴、織り姫彦星その他大勢ごじゃっと倉庫に集まることでしょう。

わたしの郷里函館シティでは七夕の晩、子どもたちが家々を歩き回ってお菓子をもらうという行事がありまして、米国のハロウィンによく似ている。どうしてハロウィンによく似た行事が北海道だけで広まっているのかについては、以前このブログでも推理したことがあるけれども、まあ結論としては「よく分からない」に尽きるらしい。21世紀でそんなことあるのか。

さて昨日は終日家で原稿書き。午前中に一本送って午後は書評の本読み。外は暑いが書庫は比較的風が通って涼しく、外で人がぎええぐええと暑がってるのを見ながら平井呈一訳のホフマンを読む。「古城物語」、お城での怪異とロマンスで面白い。うつらうつらしながら読んでいたので、途中で筋が分からなくなった。湿度のせいか夏場は眠たいなあ。

夜は子どもが学校図書館から借りてきた江戸川乱歩『恐怖の魔人王』を一緒に読む。そろそろ活字の本を自分で読んでもいいようなものだが、まあ無理強いするのもいかんだろう。苦手なら苦手で読み聞かせればいいや。そのうち気になって自分で手を伸ばすかもしれない。

それにしても『恐怖の魔人王』はひどい話。若死にした女性の死体を盗み出し、美しく化粧したうえでゴリラみたいな男と結婚写真を撮影し、それを婚約者のもとに送りつけて、父親から五千万円の身代金をせしめる。娘がまだ生きていると信じた父親は、廃屋で気絶させられ、目を覚ますと腐乱した娘の死体を発見することになる……。よくこんなこと考えるなあ。

原作は『恐怖王』で、米粒に恐怖王、恐怖王、恐怖王……と書いて挑戦してくるので有名な長編だが、今回は魔人王だから画数が多くてよけい大変だ。なぜこれを借りてきたんだ、と思うけれどもうちの子は子供だましに割と敏感で、児童文学みたいなものには一切興味を示さないので、このくらいアダルトな乱歩の方が合っているのかもしれない。まあこれではまればこの先、『赤い妖虫』とか『魔術師』とかゾクゾクするような猟奇スリラーが盛りだくさんなので、期待したいところ。それにすぐには好きにならなくても、子どもの頃に乱歩を読んだ経験は、心に落ちたインキの一滴のように消えることはないだろう。



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